【山形】日常の風景を探しにいこう/家印屋号をたどる
連載
やまがたのまちを探し歩いて見つけた日常の風景をフィルムで撮りゆくシリーズ。
こんかいは、暮らしに息づく家印屋号です。
まちを歩くと、ふと目にする「記号と文字」を組み合わせたこれ。
普段あまり意識してはいなかったけど、いざまじまじと見つめてみると、そこには、実にさまざまなバリエーションがあることに気づきました。
一体、何なのでしょうか?
これは「家印屋号」と呼ぶらしいです。
古くは江戸時代から、農家や商家、職人が、家財・農具・蔵などの所有物を、その家の目印として一目でわかるようにつけた紋章や記号が「家印(いえじるし)」。図形と、漢字・漢数字・ひらがな・カタカナを組み合わせたもの。
商家などでは家印をそのまま屋号にする例が多くみられました。
「屋号」とは、家ごとの呼び名、通称のこと。出身地などから「紀伊國屋」。職業から「鍛冶屋」。神様の名前から「大黒屋」など。
この二つが合わさって「家印屋号」となるそうです。
特に商家ではその店の信頼性や品質を象徴するものとして、一種のブランドマークのような役割を果たすようになり、地域の人々にとっても馴染みのあるものとなりました。
家印屋号には単なる目印の意味だけではなく、商売の歴史や思いが詰まっています。
例えば、丸印の「マル」という屋号には「正しく、間違った商売をしない」。
直角の線で表した「カネ」は「曲尺(かねじゃく)のように真っ直ぐであること」。
三角形の屋根の形をした「ヤマ」は「山のように盛り上がり、その頂点を極めたい」という願いが込められているそうです。
商店街の看板やシャッターに、のれんや花瓶に、倉庫の扉にも。
時代を超えて受け継がれてきたのかな。
「あっ、こんなところにも。」
家印屋号を見つけながらまちを散策することで、地域の歴史や文化を感じることができます。
「家印屋号」が語る物語に思いを馳せることで、私たちの暮らしと地域のつながりを再認識できるかもしれませんね。