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古材・古建具の世界への誘い。葉山町「桜花園」へ行ってきました

地域のお店

2024.09.08

葉山町上山口に「桜花園(おうかえん)」という古材や古建具を専門に扱うお店があります。アンティークの家具や食器なども扱うのですが、あくまでも歴史ある建物からレスキューした、価値のある古材・建具を扱うお店としてのプライドがある。そんなお話を二代目店主の熊田州吾さんから伺いました。

古材・古建具の世界への誘い。葉山町「桜花園」へ行ってきました
桜花園のメンバー。左から順に、 髙木 聖文さん、野元 藍さん、熊田 州吾さん、熊田 曜彩さん

「桜花園」は、熊田さんのお父様がはじめられたお店。25年の歴史があるといいます。お父様の時代から一貫して行っているのが歴史ある建物から古材や建具などの価値ある材料をレスキューするという仕事です。レスキューした古材や建具は状態に合わせて、洗いや補修等を経て桜花園の店頭に並びます。お店の中はそれらの古材・建具であふれており、それぞれ個性的で、時代と時間に磨かれた一品ばかりですが、それら古材や古建具の世界を熊田さんは「まだまだニッチな世界」と呼びます。

古材・古建具の世界への誘い。葉山町「桜花園」へ行ってきました
桜花園の入口
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店舗入口。入る前から世界観が素敵すぎる

築80年を超える日本家屋や洋館など、あらゆる場所からレスキューされてきた商品は、ほとんど「もったいないから、活用してください」という、建物所有者さんの善意で引き取らせていただいたもの。それらを人の手をかけて蘇らせ、次に使う人への橋渡しをするのが熊田さんの仕事なのです。

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丁寧に洗いや修復の手間をかけた上で店頭に並ぶ建具等

古いものだから安いという訳ではありません。こうした古材・建具はほとんどの場合、人の手を加えないと使える状態にならないため、かなりの手間がかかります。手間がかかりすぎて商売にはならないという人もいますが、熊田さんはお父様の代から「やらなくてはいけない仕事」としてそれを続けます。「ほぼ、意地ですよね」と熊田さん。

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古材以外にも、レトロなスイッチやガラス食器など小さなものも並ぶ

お父様がこの仕事を始めてから、いつの間にやら時代はSDGsを謳い始めリサイクル・リユースが 注目されるのですが、熊田さんは「やっと先代や過去の先輩スタッフが25年間ひたむきにやってきたことが世の中に理解されはじめた感じがします。時代が追いついたと言ってしまうとおこがましいですが。」と、照れ笑いを見せてくれました。

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インタビューで使わせていただいた部屋は2階。ここにもよく見ると古い家具などの商品がある
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先代のお父様が行っているベランダ菜園。イチジクの実がなっていた

熊田さんは5人兄弟の末っ子で、家庭で使うものはお父様が引き取ってきたものの中でも、商品にはならない傷物が中心だったと言います。欠けた古伊万里のお皿などが普段から食卓に並び、よく価値も分からないまま子供時代はそれらを日常的に使っていたそうです。古いものばかりに囲まれて、新しいものが欲しいと思ったことはありませんか?と聞いてみたら「それは、ないですね」と熊田さんはあっさりと答えてくれました。使えるものを使っていくというのが当たり前すぎたので、全く反発しなかったと言います。

古き良きものに囲まれて育った幼少期を経て、お父様から二代目店主を引き継いだ熊田さん。現在はお兄さんと、スタッフの方と一緒にお店を守っています。二代目だからこそ、お店や業界が抱える問題点についても、人一倍考えると言います。

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葉山らしい美しいロケーション

まだまだ広く浸透していない業界なので、「桜花園」は葉山町の小さな店ですが、同業種の中ではそれなりに有名店の部類に入ってしまうと思います。それだけ業界のシェアが狭いのです、と熊田さん。現代を生きている人々に古材・古建具の良さを知ってもらわないと、この業界はすたれていってしまうと危機感を持っています。

引き取ってきた古材・建具は、次の場所で使われないと意味がありません。良さを知ってもらい、きちんと資源として循環させることができないと、いつまでも在庫がある状態になってしまって次の仕入れがいずれできなくなってしまう。みなさんに、古材や古建具をどういう風に使うとかっこいいのか、素敵なのかというアイデアを提供できればと思っている、と熊田さんは言います。

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修復作業等を行うスペース。ここだけでもワクワクする

活用のアイデアを示す場として、「桜花園」の店舗からすぐ近くの場所に所有していた古い⺠家を、来年からフルリノベーションされるそうです。お店でなかなか売れずに残っていた古材や古建具を活用したリフォーム を行う予定で、見ていただければ「こうやって使えばいいのか」という発見につながる場とする予定です。

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寒い時期に大活躍のストーブも現役
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長さのあるもの、大きなものも取り扱う。

古い建物からレスキューした建具などは、サイズが合わないものがほとんどなので、それらに少し木材を継ぎ足したり加工して使います。活用の方法が分かれば取り入れるイメージが湧きやすいのかな、と熊田さんは言います。

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鎌倉R不動産のオフィス入口。「桜花園」で蔵戸を購入しサイズを合わせて設置しました

これからは、より多くの人たちに古いものにしかない、味わいと良さを届けていきたい。そのための活動も積極的に行いたいと言います。その時代の良さや、積み重ねた時間の尊さをきちんと次世代に繋げていく活動こそ、いまの日本に必要なことなのだと気づかせてくれる。「桜花園」はそんなお店です。

※スタッフの方が少ないため、大型の古材や建具などのご相談がある場合には、あらかじめ来店のご予約をされることをおすすめします。

名称

桜花園(おうかえん) 葉山

業種

古材、古道具、古建具の販売

住所

〒240-0115 神奈川県三浦郡葉山町上山口1421

TEL

046-894-0072

営業時間

10時〜17時

定休日

毎週月曜日 

アクセス

逗子駅からバス18分「水源地入口」バス停より徒歩3分/逗子駅より車で18分

備考

駐車場:近隣に有

URL

https://www.instagram.com/oukaenhayama