【鹿児島・甑島】心赴くままに、自分らしく生きれるような瞬間を表現し、想いをカタチに / 東シナ海の小さな島ブランド社 古賀愛深さん
インタビュー
鹿児島の離島・甑島(こしきしま)にある『東シナ海の小さな島ブランド社』は、地域固有の生活文化や環境を活かすことをサービス原点とし、ひとものことを創造する離島地域のリーディングカンパニーを目指しています。今回、そこを舞台にはたらく社員に対し「島で生きる」をテーマにインタビューを行いました。まずは、旅と暮らし事業部・FUJIYA HOSTELマネージャーの古賀愛深さんです。
土地の日常に根付いた”ひと・もの・こと”を伝えたい
幼い頃、お父さんの転勤でバンコクで数年過ごした経験のある愛深さん。その時の記憶がずっと心に残り、それが今の自身にとっての原点になったといいます。
「バンコクでの時間はとても楽しかった記憶ばかりでした。日常の風景も忘れられなくて、私にとって“いいな”と感じた場所のことを写真や言葉を通して伝えたいと思うようになりました。小学校の卒業文集では“将来の夢はカメラマン”と書いたぐらい。」
高校生になる頃には海外旅行雑誌の編集者になる夢を思い描くようになり、大学では熊本の大学にある文学部へ進学します。
しかし、入学と当時に熊本震災が発生し、大学は休講を余儀なくされます。そんな中、熊本の大学生が被災者に対する支援の一つで旅行情報サイトを立ち上げ、愛深さんもそのメンバーに加わることになります。
「学生視点で被災地の事業者さんを取材してまわり、記事を作成してサイトで情報発信しました。その中で感じたのは事業者さんたちがいるからこそ、まちが成り立っているんだということです。皆さん素敵すぎて、伝えるよりも、つくる側になりたい。そんな気持ちも芽生え始めました。」
「その中でもいろんな生き方に出会えました。それぞれ自分の想いを持ち、それを体現している皆さんの背中を見ていると”私もそんなふうに生きてみたい”と思うようになりました。」
20歳の時のこと。友人と甑島へ旅行に行き、FUJIYA HOSTELを拠点に観光を楽しんだそうです。
サイクリングをしたり、港周辺を散歩したり、浜辺の砂で絵を描いたり、夕焼けを眺めたり…。予定を組まず、心が赴くままに行動した時間は今までにない感覚だったのだとか。
「甑島で過ごす何気ない時間は言葉にできないほど心地よかったです。ノイズの無さが一番印象的で“暮らしていく中なら、こんな場所がいいな…”と感じました。」
「滞在最終日に近所のおばあちゃんに“とても楽しかったです”と伝えると“だったら住めばいいのよ!”を言われ、ハッとしました。“そんな選択肢があるんだ”って。」
その1年後。ある情報が愛深さんの耳に入ります。それは、東シナ海の小さな島ブランド社(以下:アイランドカンパニー)・代表の山下賢太氏の発信で「島で暮らしてみる人募集」という内容でした。
会社HPやインタビュー記事などを調べる中で、山下氏の理念に共感し、インターンに応募して甑島で3ヶ月間過ごすこと(2020年1月からスタート)になるのです。
一人ひとりの表現を喜び合えるように
インターン生としてFUJIYA HOSTELの運営を任された愛深さん。しかし、その時期は新型コロナウイルスが世の中に蔓延し始めた時期で地域を越えた移動が難しい時期だったため、宿泊事業にも影響が出ていたのです。
“宿のお仕事って何なんだろう?島の産業を支える上では必要だけど、人が生きていく上では必要じゃないのかな…。“
そんな葛藤が続く日々。ある時、休暇を利用して観光へやってきた宿泊客との会話が忘れられないといいます。
「病院にお勤めの看護師さんで“コロナの対応に追われ、疲れていた”と話していたのですが“FUJIYAさんでゆっくり過ごして元気が出ました。ありがとう”と言葉をかけてくださったんです。その時“私たちがやっている仕事に意味があるんだ”“これからも頑張ろう!”と思えて。」
その後、2021年4月からはアインランドカンパニーに正社員として合流。観光事業部(現在:旅と暮らし事業部に名称変更)にてFUJIYA HOSTELのマネージャーを担当しつつ、山下氏とともに『鹿児島離島文化経済圏』(以下:リトラボ)を中心にした地域デザインにも取り組んでいます。
リトラボでは鹿児島県内の離島にも何度も足を運び、想いを持つ仲間たちとの出会いが増えたそうです。
「“あの島に行けば●●さんがいる”という繋がりができてから、ただの仕事の関係だけではない、もう一歩踏み込んだ温度感のある関係性が増えてきました。」
社会人になってまだ4年。そして、自身で起業した経験もないため、心のどこかで不安を感じることも多いといいます。その中で見出した今の答えを教えてくれました。
「最初は私の役割をどこに置けばいいのかわかりませんでした。皆さんの想いに触れ、周りの状況を見ていく中で私なりにできることは何なのか。それを考えた結果、仲間たちが事業に集中できるように見えない部分を支えることだと思いました。そこに喜びや楽しさを感じています。」
「一人ひとりの想いは小さくても、みんなが一つになれば何かが起きるきっかけになり、世の中へ発信できるモノになるのではないか。その考えは大事にしています。」
「その先に関わった皆さんが幸せに日々生きられるようになってほしい。その橋渡しがちゃんとできるようになりたい。まだまだ力不足ですが、そう思い描いています。」
飾らずに、小さな積み重ねと日常を大事に
甑島で暮らし始めてもうすぐで5年。島では「暮らす」と「働く」の境界線がふわっとしている分、顔が見えた安心感のある関係性が居心地いいのだとか。
宿泊したお客さんの中にはFUJIYA HOSTELを目がけて何度も足を運ぶリピーターも増えてきたそうです。
「顔を見える関係性だからこそ、島の皆さんを胸を張ってご紹介できますし、島での時間をお客様が楽しんだり感動して帰っていく瞬間を見ると、今の仕事をしていて良かったと思います。」
そんな愛深さんの将来の夢は甑島で一棟貸しの宿を開業すること。初めて甑島で感じたような何気ない日常を五感で体感しがながらゆっくり過ごしてほしいという想いが背景にあるといいます。
「宿を開業するのはまだ結構先の話かもしれませんが、いつかは実現したいです。まずは、アイランドカンパニーの社員として、島での生き方だったり人との関わり方だったりを表現して、離島で頑張る人たちを応援してくれるコアなファンや仲間を増やせるようにしていきたいです。」
「背伸びせず、ありのままの自分で日々過ごせていることが喜びです。」
そう嬉しそうに話す愛深さん。最後に今後の展望について聞きました。
「住んでいる場所や肩書き関係なく、心が赴くままに生きていく人たちがもっと増えたらと思うようになりました。それは熱量を持ち、目の前のことと向き合っている人たちの背中を見てきたからかもしれません。」
「甑島での暮らしを通して、魅力的だと感じる地域には必ずといっていいほど小さなことの積み重ねといった泥臭さがあるんだと感じることができました。だからこそ、島で過ごす一瞬一瞬の日常を大事にしようと思えたんです。」
「温度感のある人との関わりには計り知れないものがあります。今まで培ってきた関係性の中で、私ができる役割は“伝える”“繋げる”を軸とした表現です。これからも一人ひとりと向き合い、その人たちも私自身も自分らしくあれる瞬間を表現しながら、想いをカタチにしていきたいです。」
そんなアイランドカンパニーでは一緒にはたらく仲間を募集しています。興味がある方は以下のアイランドカンパニーHP「お問い合わせ」からご連絡ください。
屋号 | 東シナ海の小さな島ブランド社 |
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URL | |
住所 | 鹿児島県薩摩川内市里町里54番地 |
備考 | ●FUJIYA HOSTEL HP ●FUJIYA HOSTEL SNS https://www.facebook.com/fujiya0172 インスタグラム https://www.instagram.com/fujiya_hostel/ |