real local 鹿児島KOSHIKI ART 2024 トークイベント「島で生きる〜私らしく最期まで、島で暮らしていくために〜」- 介護事業所 中迎聡子 編 - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【イベント】

KOSHIKI ART 2024 トークイベント「島で生きる〜私らしく最期まで、島で暮らしていくために〜」- 介護事業所 中迎聡子 編 –

2024.12.13

KOSHIKI ART 2024』では期間中に「島で生きる〜私らしく最期まで、島で暮らしていくために〜」をテーマにトークイベントが開催されました。まずは一人目のゲスト「株式会社いろ葉」の中迎聡子さんのお話からレポートしたいと思います。KOSHIKI  ART  2024に関するインタビュー記事はこちら

KOSHIKI ART 2024 トークイベント「島で生きる〜私らしく最期まで、島で暮らしていくために〜」- 介護事業所 中迎聡子 編 -
トークイベント中の様子

誰かの生き方を支えられるように

鹿児島市を拠点として「デイサービス」「有料老人ホーム」「訪問介護」など介護に関する様々な事業を展開している中迎さん。

コロナ渦を乗り越えた今、大事にしているのは何なのか。まずそこから教えてくれました。

「激動の時代の中で感じたのは出会った人たちが生きたいように生き、暮らしたいように暮らすのを支え続けたい。その気持ちは事業所を立ち上げてからずっと変わらないことでした。事業を数々広げてきてきましたが、私たちが大事にしてきたのはそこなんです。」

介護事業の他にも社会に対して生きづらさを感じている人たちが集うシェアハウスや就労支援も始め、常に目の前の人にとって「何が必要なのか?」と考えながら、一人ひとりに寄り添った支援を20年以上続けているそうです。

「事業を始めるきっかけは“誰かのため”です。だから、それが必要なくなったらその事業は終わってもいいと思っています。いろ葉が必要とされない社会が私たちの目指すところでもあります。私たちがいなくても、地域や社会の人たちがみんなで支え合えていけたらいいなというスタンスで日々臨んでいます。」

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株式会社いろ葉 中迎聡子さん

人生の最期を、一人の人間として、命として送り届ける

話は過去に遡り、介護事業と立ち上げる前に老人ホームで働いていた時のエピソードを話してくれました。

入所してからは決められた時間に他の入所者と同じことをする。問題行動があれば、部屋に鍵がかかるなど行動制限が発生する…。

自分らしく生きていた生き方ができていない現実を目の当たりにする日々。そんな中、初めて担当した利用者の声がずっと心に残り続けているといいます。

“人間になりたい…。”

「その声を聞いた時、思ったんです。彼女の人生の最期を、一人の人間として、命として送り届けようって。」

その後、2003年に鹿児島市に「宅老所いろ葉」を開所。

数々の人と向き合っていく中で、中迎さんの中で導いた答えが「3つのイキカタ」でした。

KOSHIKI ART 2024 トークイベント「島で生きる〜私らしく最期まで、島で暮らしていくために〜」- 介護事業所 中迎聡子 編 -

3つのイキカタ

まず1つ目は「生き方」。

どういう生き方をしてきたのか。何を大事にしてきたのか。それらに寄り添いながら、本人に合った生き方を過ごせるように支援をしているといいます。

その中でも特に意識しているのが季節。いろ葉では建物の空間を吹き出し窓にし、できるだけ照明を点灯しないようにしているのだとか。そうすることで、日の長さ・短さ、暑さ・寒さなどといった季節を感じられる暮らしを送れるようにしているそうです。

「何が正解かわからないですし、それをはっきりさせる必要もないと思っています。本人と向き合いながら、100回のうち2~3回でも正解であればそれでいい。うまくいかないことの方が多いです。大事なのは一人ひとりと向き合い、試行錯誤していく姿勢なんです。」

「一人ひとり生き方も違いますし、さらにいうと症状によってはその瞬間に出てくるキャラクターや思考、行動も違ってくることだってあります。だからこそ、それぞれの時代背景を知ることも大事にしています。」

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3つのイキカタの説明資料の一部「生き方」

2つ目は「活き方」。

自宅での習慣、動作は人それぞれ。病名や症状だけで対処法を決めるのではなく、体の動き方を見ながら、一人ひとりに合った動きを提案しているそうです。中には入所時よりも体の動きが良くなった利用者もいるのだとか。

「時には家族や関係機関とも根気強く向き合うこともあります。単に介護サービスを受けるのではなく、“本人が気持ちよく暮らしていくのはどうすればいいか?”をみんなで考え、本人が納得する暮らし方を提案していくようにしています。」

「一瞬一瞬に出てくる本人の物語を大切にしていくことでしか支援の道は見えてきません。教科書通りではなく、一人ひとりの物語を線と線で繋いでいくことが私たちができることだと思います。」

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3つのイキカタの説明資料の一部「活き方」

3つ目は「逝き方」。

どのような最期を送りたいのか。本人の生き方を踏まえて、家族も含めみんなで想いを馳せることできっとベストな答えがあるのではないか。そう話します。

「最期の逝き方は、次の時代を生きる人たちの生きる力や暮らし方に変わり、それがそれぞれの生き方に繋がるのではないかと思っています。」

「あの世に行ってもたくさん会える人はいるでしょうし、肉体が無くなってもその人の想いが誰かに繋がっていると思うと死ぬことすら怖くなくなります。なので、家族も誰も苦しまず、本人が望む最期の逝き方を支えることが生き方や暮らし方を支えることだと思っています。」

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3つのイキカタの説明資料の一部「逝き方」

プレゼン後、このような言葉で締めくくりました。

「誰かの人生に関わらせてもらい、私たち自身もまた明日を生きようと思えるエネルギーをもらっている仕事に出会えて幸せです。そういう人がひとりでも増えて、お互い様で暮らせる社会が広がったら嬉しいです。」

KOSHIKI ART 2024 トークイベント「島で生きる〜私らしく最期まで、島で暮らしていくために〜」- 介護事業所 中迎聡子 編 -

屋号

KOSHIKI ART 2024

URL

https://www.koshiki-art-project.com

備考

【中迎聡子さん関連情報】

●株式会社いろ葉 HP

https://168abc.jp

●株式会社いろ葉 SNS

https://www.instagram.com/iroharanger/

●ドキュメンタリー動画

https://iroha-movie.studio.site/

【KOSHIKI ART 2024 関連情報】

●インスタグラム

https://www.instagram.com/koshiki_art/

●Facebook

https://www.facebook.com/p/KOSHIKI-ART-PROJECT-100064698396255/

●real local インタビュー記事

https://www.reallocal.jp/117225