「ぼくのたいき君」その4・べにばな刑事(デカ)の捜査日誌~の巻
連載
足で稼ぐ
テレビの刑事ドラマではよく「捜査は足で稼ぐもんだ!」という叱咤のさけびを耳にします。30年以上前のたいき君の生き残りさがしにも同じことが言えるわけですが、やみくもに山形県内を歩くわけにもいきません。そこで今回は攻めるポイントを定めて、雪のない晴れの日を狙ってたいき君さがしに出掛けました。どこに行くかを決めたのは、ふと目にとまった手書きの文字。「東根」です。赤い温泉マークが可愛らしい。

東根までは山形市からクルマで30分ちょっと。最近は住みやすい街ナンバー1というだけに、新しいショッピング施設も充実。たいき君はそんな街に生き残っているかしら?
聞き込みの大切さ
東根に到着。が、30年以上も昔のたいき君がどこにいるかなんて、まったく当てもありません。というわけで、たいき君がかつていた可能性の最も高い市民体育館を訪ねて聞き込み開始。

「突然すみません。1992年前後に活躍していた『たいき君』っていう白いやつを探しているのですが」と体育館の職員さんに聞いてみました。すると、対応してくださった方はきょとんとした表情。無理もありません。令和のこの時代、日常の暮らしの中心にたいき君がいる人はとっても少数派です。かくかくしかじか、わたしがさらに説明を加えていると、べにばな国体当時をご存じの職員さんが「おっきな白いやつ、前まであったけど捨てちゃったなあ!」と、悲しいお知らせ。それも仕方ありません。ご事情はよくわかります。もう少し早くここを訪ねていたら、もしかしたら、その大きなたいき君をウチに連れて帰れていたかもしれないという気持ちが沸き起こりました。そんなことを思いながら、お話してくださった職員さんの横にあるキャビネットに目をやると・・・。

東根実行委員会の当時のステッカーです!たいき君は射撃とハンドボールをしています。射撃たいき君の青のチョッキがとってもかわいい。ハンドボールたいき君は真一文字にした口がふつうに真剣そうです。試合前のアップ時の緊張感でしょうか。はじめて見るたいき君ステッカーにとても嬉しくなりました。
突然の変な聞き込みにも丁寧に対応してくださった東根市体育館のみなさま、ありがとうございました。お礼を言って体育館を出ると、建物の入り口に、あれ!

たいき君の手書きのイラストが描かれた石が置いてありますよ!漬け物石くらいの大きさです。競技は同じですが、さっきのステッカーとは異なるカットです。

これは貴重だ!外に置いてありますが、ガラスケースに入れて鍵をかけて飾るべき逸品だと感じます。
美味い老舗の証
捜査は足で稼ぐもの。これは本当でした。聞き込みは上手くいったし、ああ、お腹が空いてきたぞ。と、神町の通りをクルマで通過すると、美味しそうな揚げ物が目に飛び込んできました。

クルマを停めてお店に入ります。ショーケースをながめつつ「メンチカツとコロッケをください」とお願いすると、あ!

前回も登場した食品系たいき君です!許可をいただき写真を撮らせていただきました。このステッカーは30年以上お店を営んでいる老舗の証。たいき君が味の保証人になるとは、当の本人も予想していなかったでしょう。
クルマのなかで、張り込み中の刑事のようにメンチカツをいただきました。物価高の今、メンチカツ1つ80円というお安さ!ボリュームもあって美味しかったです。
手書きの味わい
さて今回、東根まで足をちょっと伸ばしたたいき君探し。きっかけは手書きの「東根 ♨」の文字だったわけですが、あの文字は実はこれの底に書かれていたものです。

東根の名工、こけし職人・高橋博さんの作です。なんとも味わいのあるたいき君。このたいき君こけしを初めて見つけたとき、たいき君グッズは一体どれくらいこの世にあるんだろう、と震えたことを思い出します。
神町・古澤牛肉店のメンチカツと東根生まれのたいき君こけし
それでは、また次回の捜査で会いましょう!