【連載】スナックかほりのワイン放浪 vol.1
連載
あぁ、なぜこんなにもワインは美味しいのかしら。なぜこんなにも美味しいワインがこの山形に恵まれているのかしら。なぜワインが美味しく飲めるお店がこんなにもたくさんあるのかしら。そしてなぜワインに携わる人たちはこんなにも魅力的なのかしら……。そんな熱いため息ばかりが洩れてしまう素敵な山形ワインライフを、呟きのように綴っていきます。一度東京に出て、いろいろな地域に行って、Uターンして、山形の魅力がわかってきた今だからこそ、お伝えできそうな気がして。
ワインの魅力は人と人とをつなげること!
それを教えてくれたのがオーナーの洋一郎さん!
さてさて、記念すべき第一回目は、やっぱりここ!!山形駅から徒歩8分(?)くらいにある「ナチュラルワインと気まぐれキッチン プルピエ」さん。今では予約のとれない人気店として、全国各地からこのお店を訪ねる人は多い。そんなプルピエさんはすでにたくさんの取材を受けているので、今回はスナックかほりとしての普段の楽しみ方を綴っていこうかしら。
「取材はするものの、いつも通りでお願いしますー」とお伝えしての訪問。洋一郎さんがちょっと緊張した面持ちでカメラを意識している(笑)。やっぱりお願いしたって、いつも通りなんて無理みたい。とりあえず、「何かグラスでお任せで!」と言って、はじめの一杯を用意してくれる。洋一郎さんは悩みながら、ワインをチョイス。基本的に、飲食店に行くとあんまり考えたくないので、オススメを出してもらえるのが楽しみの一つ。

そして、プルピエの看板娘2人組のうちの一人、まいちゃんがお通しを持ってきてくれる。今回は白菜のスープ。たくさんの野菜のブイヨンが入っているので、白菜の美味しさとお野菜の旨味が口いっぱいに広がる。まいちゃんに、「これはじゃがいも?」とか聞きながら、お料理知ったか風で質問するのも好き。←でもじゃがいもは全然入っていないw

そして、一杯目のワインとお通しがなくなったところで、ブラインドのリクエスト。ブラインドとは、ワインのボトルを隠してグラスにワインを注いでいただき、何も情報がない状態でワインの生産地や品種、ヴィンテージ(生産年)、造り手(ワイナリー)などを当てるゲーム。私は毎回、まったくもって当たらないのだけれど、とりあえず挑戦する。
ワインは日本、フランス、イタリア、オーストラリア、ニュージーランドとさまざま。そのときどきで、洋一郎さんの今オススメのものを用意してくれる。
ワインの色、香り、とろみ、味わい・・・五感を全部使ってブラインドに挑戦するものの、全然わからない・・・(笑)。でもめげずにいつも挑戦するのが楽しいから、完全なる自己満足。洋一郎さんはスーパーポーカーフェイスなので、全然顔を見ても頭の中が読み取れない。しかもフェイントをかけてきたりするので、ささやかな攻防戦(何の?)が繰り広げられる。そんなやり取りもまた楽しみの一つ。

プルピエさんは何を頼んでも美味しいんだけれど、この日は、契約農家であるお日さま農園さんの寒干し白菜はたまらなかった。寒河江市で農薬や化学肥料を使わずに野菜を育てているお日さま農園さん。この日は白菜をシンプルにローストしたもの。自家製のゆず塩オイルをつけて食べると、さらに旨味のハーモニーが重なる。

プルピエさんのすごいところは、この生産者から伝え手までのリレーだと思う。プルピエの皆さんが全国各地の作り手のもとを訪ね、話を聞き、お酒を酌み交わし、作り手の想いを汲んで料理したものを、作り手のストーリーとともにお客様に届ける。だから、お客さんは山形にいながらも、全国各地の作り手の人たちの顔を思い浮かべられて、ちょっと知り合いになったような感覚にすらなる。

そして、そんなスタッフの皆さんの温かいサービスと美味しいお料理、ワインは、訪れる人たちの心をじんわりと温かくする。だから、常連の人々は、「ただいま」と言ってお店をまた訪れる。

この日もプルピエさんには、たくさんのお客さんがやってきていた。ワインというと、何か堅苦しいものと考える人も多いと思うけれど、このプルピエでは、肩ひじはらずにワインを楽しんでいただける。ワインは特別なものではない、日常の中にワインがある、そんなことを体現しているお店。

山形の魅力、それは「食と人」だと思う。プルピエさんはその魅力をまさに体感できるお店。山形に来た際は是非一度足をお運びあれ。
■プルピエ
https://www.instagram.com/pourpier_naturalwine/
■NOB’sFields
https://www.instagram.com/nobsfields/
■お日さま農園
https://www.instagram.com/ohisamanouen.yamagata/