【大阪・北加賀屋】どんどん集う、みんなでつくる
利用者みんなでつくる農園、みんなのうえんの紹介です!
アートの街として知られている大阪・北加賀屋。住宅地の真ん中に突然現れる緑豊かなその場所は、利用者みんなで作り上げる農園として注目を集めています。その名も「みんなのうえん」。作物にはトマトからお米、さらに醤油に、自作のピザ窯で焼いたピザまで!?みんなのうえんを運営している一般社団法人グッドラックの金田さんにインタビューを行いました。

農業に着目したきっかけは?
「そもそも『農業をやろう』というつもりで始めたプロジェクトではなかったんです。大学時代の同級生とNPO法人を立ち上げて、拠点をどこにしようかと探していたのが始まりでした。ご縁があって北加賀屋に来たものの、すぐに仕事があるわけでもなく…。ぶらぶらと歩きながら街を観察しているうちに、道路にはみ出す勢いで植木鉢等を置いてガーデニングしている家が多いことに気づき、『みんなの庭みたいな場所があったら面白いのでは?』とアイデアが浮かびました。」
「さらに『空き地は駐車場にしかならないから活用が難しい』という話を耳に挟み、コミュニティのハブとなるような農園のアイデアが具体化していきました。でも、自分たちには農業の知識なんか全くなかった。なので農家や専門家の方にアドバイスをいただくという形をとっています」

コミュニティのハブとなる農園
「最初は『畑をシェアする』という概念が地元の方にはやや理解されなかったのですが、やり始めると『いいことやと思うから頑張って。見守るよ』と理解してくださいました。幸い、現在に至るまで大きなトラブルもなく、長い人では8年近く続けてくださっている利用者さんもいます。」
長く続けることで安定してきたと話す金田さん。今では利用者同士のつながりも増えているようで…。
「みんなのうえんメンバーでレンコン掘りに出かけて行った際に出会った二人が結婚したり、また別のカップルがここで結婚式を挙げたこともあります。女性メンバー数人が仲良くなって、別の場所でも畑を借りて本格的にゴマの栽培を始めたりだとか…。大人になってから仲の良い友達ってできにくいと思うので、ここでそういった関係性が生まれているのは嬉しいです。」
農園から派生する活動
ところで、醤油小屋やピザ釜が気になるんですが!?
「メンバーのひとりが『味噌は家でもできるし作り飽きた。醤油を作ってみたい』と言い出したのが始まりで(笑)。たまたま三重の醤油職人の方と知り合うことができたので、相談しながら始めました。醤油作りには小屋が必要というので、みんなで作ったり…。ここで作る自家製の醤油は旨みが強くてとても美味しいんですよ。」

「ピザ窯もメンバーの思いつきです。窯に使う耐火レンガが高価なので諦めかけていたのですが、偶然『耐火レンガを新品でもらえる』という人が現れて(笑)。それで作っちゃいました。知識・技術的に足りないところはプロの力を借りますが、他はほとんど自分たちで賄っています。メンバーの行動力が本当にすごいんです」

他にもメンバーの発案で、田んぼづくりや献立部、ビオトープづくりなど、農園での活動はバラエティ豊かに増え続けています。
「献立部は普段家で作らないような料理をみんなで作ろうという試みです。ケータリングの仕事はそこから派生しました。醤油作りもそうですが、その人が諦めかけていた小さな夢をサポートしたいんです。普通に暮らしているだけでは出会わない人に出会って、街での暮らしがちょっと変わるような場所を作るのが理想です。」

「密集市街地の空き家や空き地だけでなく、団地の一角や廃校跡地など…今後増えるであろう使われていないスペースを活用するときに、農園は候補に挙がりやすいのではと思っています。他にも住宅地に点在させるとか、宿泊付きの貸し農園とか、現在の形にこだわらず『みんなのうえん』を増やしていきたいです」

RPGのように次々と仲間が加わって、みんなの夢を実現していくみんなのうえん。初めは農業のことは1ミリも知らなかったと話す金田さんでしたが、現在は初心者向けに自ら野菜作りのサポートもされています。金田さんの取り組みは、これからも農園の枠にとどまらず広がっていきそう。期待が膨らみます!
