いい音楽に食事、海のそばでの生活。
recife&TEREZAオーナー/リチャード・ペドリンハムさん
鹿児島にいながら南米やヨーロッパにいるような気持にさせられる場所がある。3階建てのビルをまるごと借りたセレクトショップとカフェ&バーのrecief&TEREZA。プロデュースしているのはイギリス出身のリチャード・ペドリンハムさん。
とにかく世界を見に行きたくて、大学卒業後に資金を貯め2年の旅に出た。
「片道チケットでアイルランドへ行き、カナダ、アメリカ、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル。プランも何もない旅だった」
さまざまな人、文化、生活、音楽との出会い。彼のその後の人生をすっかり変えてしまった。
旅を通して、どんな場所や状況でも自分がポジティブに心を開いていれば、いつだって楽しみを見つけられることに気づいたと語るリチャードさん。
その後イギリスやブラジルで働いたのち、2002年に日本へ。鹿児島を選んだのは、鹿児島出身のよい友人がいたこと、それとブラジルやメキシコのような南国が好きだったことから。
英語教師として3年働いた後、小さなカフェ&バーrecifeをオープンさせた。今までは世界にでていろんなものを吸収した時代。これからは自分でプロデュースをしたいという思いが強くなっていた。
「イギリスでは夜出かけるということは、新しい人と知り合ったり社交的な場に行くこと。鹿児島でも、誰もが気軽に訪れてお店にいる人同士で交流できる。心地よい場所を作って、楽しんでもらいたいと思っていた」
テーブル3席とカウンターだけの隠れ家的なお店。少しずつ常連客が増えた。いい食事にお酒、音楽と会話に時々英語。ゆっくりとRecifeという場が育まれていった。
Recifeが定着したことで、規模を拡大。今度はTEREZAというインポートの洋服や家具を扱うセレクトショップをスタート。人通りの多い路面店のビルに移転し、地下1階には中東のカーペット販売、1-2階は洋服のセレクトショップTEREZA、3階はカフェ&バーのrecifeに。リチャードさんの世界はどんどん広がる!
順調に見えるようだが、経営は決して楽ではない。地方ではよくある風景かもしれないが、鹿児島では大型ショッピングモールの出店とともに、個人店がシャッターを下ろしていく。
「初めて日本に来た時、独自性のある素晴らしいお店が沢山あった。モールは便利だけど、物事を効率化しすぎることで失われる生活の楽しみもあると思う。日本人にはもっと、人生の楽しみは何かと思い返してもらいたい」
これから個人店の経営はもっと厳しくなるかもしれない。そんな今新しく構想中なのが、ブラジルスタイルのゲストハウスの運営だ。
2年かけて場所は見つけた。吹上の海辺の土地。まずは家族で住み始めて暮らしながら、春、夏、秋、冬、季節ごとの土地の美しさ、楽しみを経験しているところ。
毎日海へ通っていたら、数千匹ものアヒルが海に並んでいる風景を見つけて美しさに感動したという。離れていて手つかずの土地。新たな魅力をたくさん発見できそうだ。
「僕はハードワーカーな日本人をリラックスさせる場をつくりたい。ただ行ってリラックスし、いい音楽と美味しい食事、美しい自然にリフレッシュして日常に戻る。そんなスタイルの宿を提案したい。難しいことも多いだろうけどやってみたい」
「多くの日本人は東京や大阪などの大都市に住んでいる。けれども、日本の田舎は素晴らしい可能性を秘めていると思う。もっと気づいてもらいたい。僕はいつでも海のそばで、自然に囲まれて過ごしたかった。今の環境はパーフェクト!」