こけしに絵付けして遊ぼう
山形市七日町「やまがた伝統こけし館」
いちど、絵付けを体験してしまったら、こけしへ愛がぐっと深まることはまちがいないだろう。
こけしの絵付けの体験メニューがものすごい人気だなんていう噂は聞いたこともないし、それどころかその存在にすら気づいていない地元の人のほうが知っている人よりもずっとずっと多いのかもしれないし、地味であることはまちがいないけれども、実は、こけしの絵付けというのは、つくる喜びにあふれたものすごく楽しい体験メニューであり、たくさんの人にお勧めしたい山形の楽しみ方のひとつだ。
東北独自の民芸品とも言われる「伝統こけし」は、その顔つきや頭の大きさやスタイルや制作法や制作された土地など様々な特徴によって、大きく10〜12ほどの系統に分類することができるという。ここ山形市中心部の七日町にある「伝統こけし館」には、そのなかでも特に「山形系」「遠刈田系」「蔵王高湯系」「肘折系」「鳴子系」「弥治郎系」「津軽系」のこけし工人の作品が展示されているほか、毎週日曜日にはこけしの絵付けを体験することができる。
体験を申し込めば、体長18cmほどの無垢のこけしの木地を渡される。こけし職人の先生に教わりながら、自分の好きなように、顔や髪型や模様をそこに描き込んでゆく。墨や赤や黄色や緑やいろいろな色を含んだ、自分の手が走らせるその筆の筆先から、少しずつ少しずつ無垢のこけしに表情や個性が生まれていくのがわかる。最後は、名入れして、ロウで仕上げれば完成。ちょっとヘンな顔した、でも愛おしい、じぶんだけのこけしの誕生だ。もちろん、そのままお持ち帰りすることが可能だ。
この体験メニューは、毎週日曜の午後1時〜4時のあいだだけ。
山形市中心部を観光して時間が余ったようなときでも、1時間もあれば十分に楽しむことができるはずだ。
ぜひ、東北の伝統工芸に、軽い気持ちで触れてみてください。海外からの旅行者にも、きっと喜んでいただけるはず。
追記:2017年8月31日 やまがた伝統こけし館は、2017年3月に閉館しました。