金沢民景
金沢の路上で見つけた、愛すべき風景たち
これで一通り金沢はたのしんだかな。
金沢住まい6年目に突入する私は、そんな風に思っていたのだが、このZINEを見つけたとき、思わずひっくり返りそうになった。
こんなにおもしろい金沢を私は見過ごしていたのか!
「金沢民景」。金沢のちょっとおかしな風景を収集して、まとめたZINEだ。
「バーティカル屋根」「石臼」など、そうきたか!と膝を打ちたくなるような目の付けどころ。なんとなく見過ごしていたけれど、言われてみれば確かにまちでよく見る、少し変わったものばかりだ。それぞれの題材に対して、ゆるくも、するどい視点でまとめられている。
「金沢のおもしろさは、日常のまちなみにこそあると思っています」と、話してくれたのは企画者の山本周さん。
「住む人がそれぞれに創意工夫をしてつくられてきた風景は、本当にいきいきとしていて魅力的だと思うんです。その風景から、これはこうやってできたのかなあ、と住む人の暮らしを妄想するのがたのしくて」
その見えにくい金沢のおもしろさを、どうにか伝えられないか。
路上観察をはじめてから、いろいろと試行錯誤した末に、題材ごとにまとめていく「金沢民景」のスタイルにたどりついた。現在は、山本さんの他、10人ほどのゆるやかなチームで活動している。
ただ風景を記録するだけではなく、そのものや建物の持ち主にインタビューもしている。持ち主たちははじめ、「こんなもんの何がおもしいんけ?(面白いの?)」と不思議そうらしいが、自分のものを褒められるのはうれしいもの。思わず話し込んでしまうことも多いという。
その丹念なインタビューのおかげで、紹介文では、風景ができたエピソードが語られ、そこに住む人の生活を感じることができる。
とりあげる風景は、昭和以降につくられたものが多い。でも、決して“レトロな風景”を集めているわけではないという。
「自然とそうなっている、というのが近いでしょうか。ただ、いつも“歴史”ってどこからなんだろう?と思っていて。特に金沢は、江戸から現代に歴史が飛んでしまっているように感じることがあります。でも実際はその間もいろいろな時代が積み重なってきているのだから、そこを僕たちが記録することで、少しでもつないでいけたら、という思いはあります」
「いずれは100冊くらいつくって、金沢民景百科事典みたいにできたらと思っています(笑)」
なんとたのしみな…!ぜひつくっていただきたい。
このクオリティでまさかの1冊100円(税込み)。金沢市内や全国各地のショップの他、オンラインでも購入できる(詳細は末尾参照)。
金沢旅行のおともやおみやげとしてはもちろん、金沢に住んでいる人にもぜひおすすめしたい。
金沢のまちが、また違って見えてくるはず。
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Books under Hotchkissで開催中(~2018年4月15日(日))の「金沢百歩」でも展示・販売されている他、春ららら市にも出店予定。4月28日(土)にはHATCHi金沢にてまちあるきイベントも開催予定だそう。
読んでいるだけでも十分たのしいけれど、山本さんはじめメンバーの皆さんのお話や裏エピソードを聞くと、なおたのしさが増すので、ぜひ会いに行ってみてほしい。
名称 | 金沢民景 |
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URL | https://kanazawaminkei.tumblr.com |
備考 | ◆販売店 |