「POMPON CAKES」立道嶺央さん
5/12-13出店予定
real local 湘南で以前ご紹介した「POMPON CAKES」さんも、「森、道、市場 2018」に参加します。
(※こちらは、以前ご紹介した記事です。)
鎌倉に何回も観光に来ていても、このエリアまで足を延ばしたことのある方はなかなかいないのではないか?
長谷寺や鎌倉大仏の最寄り駅として有名な長谷駅から内陸に向かってバスで10分、徒歩だと30分という、周りに観光スポットもこれといってない梶原という住宅街の一角にPOMPON CAKES BLVD.はある。
この場所で店を構えることを決めたのが鎌倉育ちの立道嶺央さん。
現在の店舗でケーキをつくるに至るストーリーは、ちょっと腰を据えての説明が必要だ。
もともと大学時代は建築家を目指していた立道さん。
「コルビュジエや安藤忠雄が世界を旅して回ったように自分も方々を旅しました」
立道さん、現代建築や土着的な建築、街並みなど見て回ったそうだが、旅先の中で一番印象的だったのが中東地域で見た、土で固められた伝統住居だったという。
「大地から建築が生えているような感じ。その住居は助け合ってつくったもので建築の力強さを感じました」
そういった自然素材の建築が頭から離れない中、移動中の飛行機で読んだ茅葺き職人の記事に心を奪われた。こういう仕事を体感したい。その後の行動が早かった。
「大学の卒業を待たず、京都の茅葺職人の元に弟子入りをして全国各地の限界集落で茅葺の修復作業をして回りました。仕事をしていた地域は娯楽も少なかったのでそこに住む農家さんや漁師さんと酒を酌み交わしながら話をすることが楽しみでした。その中で地域の文化や信仰を知ることができました」
だが修業を始めて2年が経とうする頃、建築を設計することが諦めきれず、地元鎌倉に戻り仕事をすることを決心。
まずは学生時代に培ったリサーチのスキルを駆使して鎌倉の街のフィールドワークを自主的に行った。
「鎌倉はいろいろな人々のレイヤーが重なってできている街です。保守的であり先進的、都会であるが田舎でもある。こんな街は日本全国を探しても珍しいと思います」
そして鎌倉の街が持つ可能性に気づく中で、たどり着いたのが、菓子研究家の母親のアメリカンケーキを自転車で販売するという行商の活動だった。
「街をリビングルーム化するといったヨーロッパの公共空間の使い方に感銘を受け、自分の住んでいる鎌倉もそんな側面をつくれれば楽しいなと考えました。
朝にケーキをつくって、売り始める頃には夜になっていました。街中のお店のシャッターも下りた頃、鎌倉駅近くにいると帰宅するサラリーマンのお父さんたちが家族のためにケーキを買っていってくれるんです。ローカルの人たちと会話しながら販売するのが楽しかった」
そしてお父さんたちが家に持ち帰ったケーキが話題となり、瞬く間に奥様方のSNSで拡散されて……、たちまち人気の行商に。
「ツイッターでこれから行く場所について流すとお客さんが待っててくださって。次の所も同じで。街の中で鬼ごっこをしているみたいでした。SNS上でケーキを街中で売っている情報が都市伝説となるくらい(笑)」と当時のことを振り返る。
しかし、「ケーキを買いに来てくださるお客さんが増えることはとても嬉しかった反面、以前ほどゆっくりお話ができなくなっていったことが寂しかったです」。地に足をつけた商いをするために固定の店舗を持つ決意をした立道さん。「よりローカルなところで、人々の生活の一部としてケーキを売ろうと思いました」。そこで鎌倉の中でも観光要素が少なく人々の生活が見える、梶原で店を開き現在に至る。
順調に商いは伸びているが、立道さんの目的は売上の拡大ではない。
「鎌倉の街を、ケーキを売りながら中から面白くするプレーヤーになりたいです。店舗でもまちを変えられるって」
だが同時に危惧もしている。
「鎌倉の中心部は地価が高騰して若者のチャンスがなくなってきている。このままだと街が停滞してしまいます。ニューヨークもマンハッタンの賃料の高騰でブルックリンに若者が集まり面白くなりました。鎌倉も中心部だけでなく、梶原まで広げられれば」
ケーキをつくって売る人なのに、鎌倉のまちを世界のまちと比較しながらコミュニティーデザインを考える建築家の話を聞いているかのような、そんな印象を受けた。
屋号 | POMPON CAKES |
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URL |
FACEBOOK https://www.facebook.com/POMPONCAKES
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住所 | 〒247-0063 神奈川県 鎌倉市 梶原 4-1-5 助川ビル |
備考 | 営業時間 10:00~18:00 定休日(水、木) |