「白糸うどん やすじ」は旬の野菜に注目すべし
正面の壁に掲げられた板書きのメニューの中で、いちばん大きな顔をしているのは「本日の天ぷら」5種。
そしてカウンターには神々しい輝きを放つ野菜たち。すべて自家製です。
うどんより先に野菜あり。
店主・前田康史さんの両親が、糸島の山あいの里・白糸で無農薬・有機栽培による農業を始めたのは9年前。今では2町7反もの農地で年間約30種の野菜をはじめ米、麦、大豆などを作っています。
二人が農業を始めるきっかけや土地を手に入れる経緯が、ちょっとグッとくる話なのですが、それは別の機会にお話ししましょう。
ともあれ、この野菜をどう生かすか、と思案の末に出した結論がうどん店だったのです。
康史さん曰く「季節をうどんで表現したい」
それを体現したのが「本日の野菜天ぶっかけ」(750円)です。お待たせしました。
コシのある讃岐うどん、しかも注文を受けて茹で始めるので、できあがるのに15分かかります。
普段、やわらかい博多うどんに慣れている者としては、このコシの強さに身構えたものですが、喉ごしのよさはやはり歴史あるうどんの醍醐味。カラッと揚がった夏野菜といっしょに、あっという間に胃の中に収まっていました。思いの外やさしい味わいのダシは野菜天にもよく合います。
そもそもなぜ讃岐うどんを?
「白糸の土地柄や地元の方の温かい人柄から、讃岐うどんが合うと思ったんです」(康史さん)というあたり、料理人のみぞ知る解釈でしょうか。
おにぎりも自家米です。玄米を小豆と天然焼き塩で炊き上げて3日ほど発酵させる「発酵玄米おにぎり」。独特のもちもち感がくせになりそう。
広大な農地を使い、2019年4月には「体験農園」もオープン予定。前田さん一家がめざす「農業・林業と食を通じて人が集える場所づくり」がいよいよ本格化します。
ご主人の幸男さんは「みなさんには食べることに貪欲になってもらいたい。土から食卓までをつなぐきっかけになれば」と、農園に込めた思いの一端を話してくれました。
農園とお店は、糸島の夏の観光名所のいちばんに挙がる「白糸の滝」の手前4キロほどに位置。目印は糸島の木工家・薦田雄一さんによる木彫「糸島七座」。井原山、雷山、二丈岳など糸島の7山を表したこのモニュメントもまた話題を集めています。
名称 | 白糸うどん やすじ |
---|---|
業種 | うどん店 |
URL | |
住所 | 福岡県糸島市白糸561 |
TEL | 092-324-3883 |
営業時間 | 11:00〜15:00 |
定休日 | 毎週火曜 |
アクセス | 糸島市コミュニティバス白糸線「白糸農園前」停すぐ/(車)西九州道前原インターより「白糸の滝」方向へ約20分 |