心揺るがす場所
しょうぶ学園
鹿児島市にある「しょうぶ学園」の創りだす音楽やプロダクトって、ほんとスゴイんです。知っている人は魅了されていて、まだご存じない方は、知ったら驚くと思います。まず、良かったらこの記事の最後にあるYoutube動画を見て、それから記事を読んでみてください。こちらは現在製作中の映画の紹介動画になります。(監督:茂木綾子/ヴェルナー・ペンツェル プロデューサー:芹沢高志/相澤久美 製作:silent voice/werner penzel film production)
「僕は僕でしかないのに、どうして変われと言うのだろう」。これは、社会福祉法人 太陽会が運営する、しょうぶ学園の園長である福森 伸さんが先日の講演に招かれた際のトークテーマ。
それを聞いたときに、学園を何度か訪れる度に感じる、不思議な感覚はこのことだったのかと、なんとなく分かってきました。
しょうぶ学園は、基本的には自立支援、文化創造、地域交流を軸とした障害者支援センターですが、園内には他にも、ギャラリーやショップ、カフェやそば屋など、いくつかの施設があり一般の方にも開放されています。
ここで出会う美味しいお蕎麦やパン、絵、木や陶器の器、バック、和紙などのほとんどが、敷地内や周辺のグループホームで暮らしながら学園に通う障害を持った利用者さん(以下、利用者さん)や、週に何度か学園に通う利用者さんが作ったお料理とモノ。時々、スタッフの助けを貰いながら、料理を運んだり、パンの生地を作る作業にもチャレンジされています。
味のある器やスプーンといった手仕事に彩られて出てくる料理はめちゃくちゃ美味い。
園内で提供される料理も販売されているモノも、基本的には営利目的ではなく、支援、援助、地域交流の一環です。確かに、ここで生み出されているコト、モノは自立支援とか社会復帰という言葉では括りきれない豊かさを感じました。
敷地内の工房や広場では、ただひたすらに木塊を削る人、布地の装飾を行う人、机から床まで筆を走らせ絵を描く利用者さん、和紙をすく、掃除をする、木の下でずっと空を眺めている人など、利用者さんが様々に過ごしている。みんな作業が始まるとすぐに手を動かします。考える前に本能で体が動いてしまう、あたかもそんな様子です。
完成のイメージや、バランスを考えるという無駄な時間がありません。
また、スタッフの人たちは、思うがままに作業に打ち込む利用者さんの姿を見守り、時にはあえて介入することを抑え、あるいは少しだけ歩み寄る。そうするうちに、自由な創造として、カタチになっていくのです。
利用者さんの誰もが生き生きとしていて、作品のひとつひとつがエネルギーに満ち溢れています。
園長の福森さんが、「おはよう!」と声をかければ、髭を引っ張る人、肩をたたく人も、大きな声でおはよう!皆が楽しそうに答えます。相手が園長だろうが誰だろうが関係ない、今の感情そのままで真っ直ぐなのです。
福森さんの言葉を借りれば、ありのまま今の環境を受け止める、先住民のような生き方。
「よそから来た者に便利だからと道を開発され整備されても、見たことも無い物資や衣類を支給されても、それが直接幸せに繋がるとは限らない。誰にとって、何が便利なのか。住みやすく心地いい暮らしは、人それぞれだし感じ方もそれぞれ。嫌なものは嫌、だめなものはだめ。と言うことも大事だ」
「利用者さん達になぜ、社会復帰というような名目で一括りに信号の渡り方や、挨拶の仕方、字の書き方を半ば 強引に教えなければならないのか。今、精一杯打ち込んでいる目の前のことを伸ばしていく。自分らしく生きる。その環境に自分らしい学びがある。次の日には別なことを言っていてもそれが自分らしいじゃないの」
大切なことは、世間に通じるルールやマナーを身につけることではなく、自分らしく表現すること、それが園長である福森さんの強い思いだと感じました。
近年では、利用者さんとスタッフが奏でる不揃いで不規則な音、力強い声、そのセッション、楽譜の無いコーラスが、指揮者である福森さんの身振り手振りとカウントダウンの合図で心地よい音楽を生むパーカッショングループ、「otto&orabu」が様々な場所で心揺るがすライブを繰り広げています。
しょうぶ学園の、無垢な環境や人に触れると、何も我慢してくてもいい、自由に表現してもいい、僕らが日常で何かを我慢している生き方を見つめ直すきっかけになる場所。
僕はこの空気がとても好きです。だから、ぜひ一度訪れて感じてほしい。
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-以下、「しょうぶ学園」からのお知らせです!-
鹿児島「しょうぶ学園」の映画「旅するotto&orabu (仮)」のクラウドファンディングを始めました。ぜひ一度ご覧下さい!
https://motion-gallery.net/projects/sv_shobu-gakuen
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