伴走する不動産セレクトショップ、「デュアルライフ」
不動産会社 南八ヶ岳の二拠点居住をサポート
2019年7月、南八ヶ岳の幹線道路沿いに一軒の店が開業した。「DUAL-LIFE」という看板には「二拠点居住・移住サポート 不動産」と記されている。店はまるでカフェのような外観で外には薪割り機が置かれ、カウンターと薪ストーブのある店内と看板に表示された業態とすぐには繋がらない。
どんな人がどんなことをやっているのか、株式会社デュアルライフ代表の黒田さんに話しを聞いた。
黒田さんは、2006年、広告代理店勤務で忙しさ真っ盛りの時期にここ南八ヶ岳に別荘を持った。まだデュアルライフという言葉が一般的でなかった時代に月に二回程度週末のたびにここへ来ていたと言う。都会にはない森や山に癒され、趣味のバイクでツーリングをし、冬は薪を用意しストーブで火を熾す暮らしだ。その間、転勤で東京から大阪、そして名古屋と拠点が移りつつもそれぞれの場所からここへ通っていた。2017年に約20年勤めた会社を退職し南八ヶ岳での起業準備を進め2019年7月開業に至ったのだ。
起業の動機は、自ら実践し経験してきた二拠点居住のハードルを越えるためのサポートの必要性、それを、これから二拠点居住を妄想している人たちに提供したいという思いからだ。「デュアラー」という言葉を生んだリクルートの調査によると、現に二拠点生活を実践している人は1.3%、実践したいと思っている人は14%、約1,100万人いるという。
黒田さんによると二拠点居住のハードルは前提として3つある。一つ目は、経済的な課題で生活費が二重化する問題。二つ目は、仕事。仕事とは自己実現やモチベーションに直結していて単に稼げればなんでもいいものではない。そして三つ目が、不在の間や何かあった時の管理対応。それからさらに妄想が一歩進み現実化した段階で表面化してくるのが、物件取得、家の設計、庭の設計、施工、維持管理など、フェーズ毎に異なるプレーヤーを探索し、選択し、発注し、監理するなど難易度の高いハードルが待ち受けている。
こうした妄想期から検討・行動・実現期までに訪れる様々なハードルに対して、顧客と伴走しながら最短最速で必要なソリューションとネットワークの提供、代行を行う役割を担っていく母体が「デュアルライフ」なのだ。
「デュアルライフ」は現在、黒田さんと地元育ちでUターンしてきた小林さん、二人で運営している。小林さんの役割は主に不動産の仲介だ。二拠点居住のきっかけとなる土地や建物をセレクトして自社webサイトで紹介し顧客対応を担っている。
不動産の物件セレクトの判断は自分たち自身が住みたいかどうか。様々な不動産会社が扱う物件は膨大かつ多様で土地勘や建築知識がないとその良し悪しの判断は困難だ。そこを地元視点、移住者視点でセレクトしているデュアルライフの情報は信頼できる。
40代前半で二拠点居住を先駆的に始めた黒田さんの言葉、
「10年間悩んでいる人はもったいない。さっさと始めよう」
説得力しかない。