yama-bra版・ブラジル音楽オールタイム・ベスト100
「山形ブラジル音楽協会(yama-bra)」は、今年で創立20周年を迎えます。「ブラジル音楽」という名称でありながら、実は多くのブラジル音楽以外のアーティストも招聘しているのですが、やはり中心となるのは「ブラジル」ということで未だこの名称を維持しています。
昨年ある音楽誌で「ブラジル音楽オールタイム・ベスト100」という企画がありました。著名な批評家たちの選ぶベスト100は非常に興味深いものでした。そこで、我々が選んだらいったいどういう結果になるのだろうと、私会長が勝手に思い立ち、会員、関係者の迷惑も顧みず、当会としてのベストを選出することになりました。ミュージックマガジンのプロの選者の方々と違う、一般のそれも地方のリスナーの視点で一体どういうディスクが選ばれるのだろうかという興味からです。
ということで、昨年当会で選出したブラジル音楽オールタイム・ベスト100の一部(一位~十位)を試聴リンクと寸評を付して紹介いたします。全体の順位はこちらからご覧ください。これからブラジル音楽を聴きたいという方に、我々が選んだ盤を知っていただくことで、少しでもきっかけとしてお役に立つことが出来るのではと考えています。
またセレクトには当会と関わりの深いアーティストの方々にも声をかけさせていただきました。素人と一緒に並べられるのは失礼かとも思いましたが、笹子重治さんと城戸夕果さんには快くお引き受けいただきました。またミュージックマガジンの「ブラジル音楽オールタイムベスト100」に参加されていた中原仁さんには、そちらで選盤されたものを、yama-bra版ベストに転用させていただきました。あらためて御礼を申しあげます。
選者は(敬称略):
会長(私)、ミハラヒデユキ、高橋悠、佐藤敬、三友敦之、あらかわひさお、榎本善一郎、栗田進、幸田愛一郎、松木和久、元吉貴洋、笹子重治、城戸夕果、中畑宏幸、鈴木貴士、松岡秀明、副会長、菅埼将市、笠原将邦、倉嶋英子、中原仁
の計21名です。
選者の個々のセレクトはこちらからご覧ください。
結論から言えば、結局順当な選盤になったのではないかと思います。昨年亡くなったばかりのジョアンの傑作が予想通り1位でした。ちなみにエリス・レジーナやマリーザ・モンチは数多くのディスク選ばれましたが、票が分散してしまって、あまり上位に入りませんでした。また新しい世代のディスクがほとんどランクインせず、まだ評価に慎重なのでしょうね。
ではベスト10です。
第10位:JOÃO BOSCO (ジョアン・ボスコ)/ AO VIVO 100A APRESENTAÇÃO
「酔っ払いと綱渡り芸人」など、多くの名曲があるアラブルーツのシンガー・ソングライター。弾き語りによる圧倒的なライブ・パフォーマンス。1983年作。
視聴(spotify)
第8位:QUARTETO NOVO (クアルテート・ノーヴォ)/ QUARTETO NOVO
ヘルメート・パスコアル、アイアート・モレイラなど、革新的アーティストによる1967年のアルバム。
試聴(Youtube)
同第8位:IVAN LINS (イヴァン・リンス) / SOMOS TODOS AGUAIS NESTA NOITE
ブラジルポピュラー音楽を代表するメロディー・メーカーの1977年作。美メロとシャウトには女性ファンが多い!
試聴(spotify)
第7位:JOÃO GILBERTO (ジョアン・ジルベルト) / VOZ E VIOLÃO
2000年にリリースされた、ボサノヴァの神様、故ジョアン・ジルベルトの声とギターのみによる、静寂なる名盤。
試聴(spotify)
第6位:CARTOLA(カルトーラ) / VERDE QUE TE QUERO ROSA
裏山のサンバを代表する作曲家/歌手の故カルトーラの1977作。滋味溢れる詩的サンバ集。ジャケットも素晴らしい。
試聴(spotify)
第5位:OS NOVOS BAIANOS (オス・ノーヴォス・バイアーノス) / ACABOU CHORARE
「新しきバイーア人」達によるトロピカリア第2世代の最重要作品。ロックもサンバも飲み込んだ自由闊達な1972年作。
試聴(spotify)
第4位:CARTOLA (カルトーラ)/ 第1集
6位と同じカルトーラの、66歳にして初のアルバム(1974年)。サンバとはかくも美しいものなのです。
試聴(spotify)
第3位:CAETANO VELOSO(カエターノ・ヴェローゾ) / LIBRO
ブラジル音楽界の最高峰カエターノ・ヴェローゾの1997年作品。叙情と革新を内包した彼の最高傑作。
試聴(spotify)
第2位:CAETANO VELOSO – GAL COSTA (カエターノ・ヴェローゾ – ガル・コスタ)/ DOMINGO
現在のブラジル音楽の大御所、カエターノとガルのデビュー作(1967年)。当時の文化的革命前夜を背景に、ボサノヴァのフォーマットを踏襲した気怠い名盤。
試聴(spotify)
第1位:JOÃO GILBERTO (ジョアン・ジルベルト)/ JOÃO GILBERTO
邦題「三月の水」。ボサノヴァの神様故ジョアン・ジルベルトの、1973年の歴史的名盤。ジョアンの声とギター、ハイハットの繊細なビートのみで構成された香り高い作品。
試聴リンク(Youtube)