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福井県地域おこしネットワーク 阪野真人さん / 現場感を活かして協働を生み出す

移住関連

2021.02.28

新聞やテレビなど、普段の生活のなかでも目や耳にすることの多くなった「地域おこし協力隊」。

制度の運用が始まってから10年以上が経ち、今では全国各地で5,000人以上が活動しているんだとか。
私たちが暮らす福井県でも、これまでに卒業生を含めて200名近くの隊員が各市町で活動してきたそうです。そして何を隠そう、この記事を書いている私こと髙橋要も、福井市の地域おこし協力隊として活動していた卒業生のひとり!

地域おこし協力隊関係者がつながるネットワークが福井に誕生

実は今回福井県では、地域おこし協力隊OBOGを中心とした「福井県地域おこしネットワーク」(以下、「ネットワーク」と表記)が設立されることになり、ぼくも立ち上げメンバーの一人として携わらせてもらっています。

でもこの団体、名前だけでは何を目指して活動するのかよくわかりませんよね…?
ということで今回は、ネットワークの代表である阪野真人さん(若狭町地域おこし協力隊OB)に、ネットワーク設立の狙いや目指す地域の将来像について(白々しく)話を聞いてみました!

福井県地域おこしネットワーク 阪野真人さん / 現場感を活かして協働を生み出す
阪野真人さん 

ー阪野さん、今日はよろしくお願いします。改めてにはなるんですけど、阪野さんのこれまでのことを簡単に教えてもらえますか?

阪野:よろしくお願いします。ぼくはもともと愛知県の出身です。専門学校を卒業したあと、2005年に北海道に移住して、そこで自然系のガイドとして働いてたんです。ナショナルトラスト運動という、自然が残っていくまちをつくるというまちづくり団体でした。

福井県地域おこしネットワーク 阪野真人さん / 現場感を活かして協働を生み出す
北海道時代はガイドとして活動

福井に来ようと思ったのは、結婚して子育てをするようになったからですかね。本州の自然観というか、里山での暮らしみたいなのが性に合ってるなぁと思って。で、若狭町は妻の実家なんです。11年住んだ北海道を離れて、2016年の春に若狭町の地域おこし協力隊として着任、そこから移住定住に関わる仕事をいろいろとやってきました。

福井県地域おこしネットワーク 阪野真人さん / 現場感を活かして協働を生み出す
若狭町では地域おこし協力隊として移住定住の促進に尽力

若狭町にきてからも、北海道時代の仕事で学んだ理念みたいなものは自分なりに大事にしながら活動していましたね。「誇らしさ」を大切にしながら、これまで培われてきた暮らしが残っていくようなまちをつくりたいという思いが大きくあって。それを外の人たちにつくってもらうんじゃなく、暮らす人たちが自発的につくれるようなまち。
だから協力隊の任期が終了した現在も、若狭の人たちと社団法人を二つ立ち上げて、自然や文化を守りながら豊かに暮らせるまちをつくろうと活動している、という感じです。

「行政と市民の協働事例」をネットワークで

ーありがとうございます。阪野さんは、今回のネットワーク設立の言い出しっぺですよね。すでに若狭町でもすごく頑張ってると思うんですけど、そんななかでネットワークの立ち上げまでこぎつけてきた理由ってなんなんですか?経緯も含めて教えてもらえたら。

阪野:うーん。協力隊って、世代もジャンルもさまざまだし、観光とか農業とかデザインとか、いろんなこと考えている人がいて面白いんですよね。けど、現状は任期は最大3年だし、行政の担当者も変わる。それってすごくもったいないなと。
この異業種異分野の人たちがつながって協力していけると、福井県内全体で面白いことがおこるんじゃないかなと思ったんです。

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福井県地域おこしネットワークの立ち上げメンバー。左から、中谷さん、阪野さん、筆者、高田さん。

目指すところとしては、このネットワークに参加してるメンバーで行政と市民との協働事例をつくれるといいなと思ってます。協力隊OBOGって行政とも近い立場でありながら民間として地域づくりに関われるじゃないですか。行政としても各分野の協働事業のパートナーを探している状況だと思うので、その受け皿が必要だと思うんですよね。

現場感を生かし、自己実現の場に

ーなるほど。なんとなくイメージはわかります。具体的にはどんな活動を考えてるんですか?

阪野:具体的に言うと、まずは福井県内で活動している現役の地域おこし協力隊のサポートですよね。新規の採用支援も含めて。交流会とかスキルアップ研修を県や市町と協働していく事例ができたら。
あと、これは明確に状況を絞って話せるわけじゃないんですけど、協力隊同士の化学反応で生まれる事業への期待も実はあったりします。さっきも言ったようにOBOG含めて地域おこし協力隊にはいろんなスキルを持つ人がいるので、その人たちが勝手につながれるような素地をこのネットワークでつくれると、自然と面白いことが起こっていくんじゃないかと。
参加してくれるメンバーには、ネットワーク自体の存在を面白がってもらうなかで自己実現の掛け算をしてもらえるといいなと思います。

ー動いていきながらわかってくることも多くありそうですよね。

阪野:そうですね。他にあまりない組織なんじゃないかと思うんです。立ち上がったネットワークって、異業種の人々が意志をもってあつまる組織のはずなので。より現場に近いところで、得意分野を持ちながらいろいろできる人たちの集まり。小さな事業を積み重ねていって、将来的には事務局として一人くらい雇用できるような形になっていくのが理想としてはあります。

ーあっという間に最後ですが、ネットワーク運営への意気込みを一言お願いします。

阪野:ぼくたちの一番の強みは(地域おこし協力隊として培った)現場感だと思っています。小さい地域の協議会レベルからでも、まずは気軽に相談してもらえるネットワークになっていけるといいなと思います。外からネットワークに相談がくるのでもいいし、ネットワークのメンバーから相談がきてもいい。地域をとりまく小さな悩みごとを解決していけるような組織としてスタートできたらなと思います。

設立フォーラムも開催

そんな思いを持ちながら立ち上げに向かっていった福井県地域おこしネットワーク。
去る2021年2月19日には、その設立フォーラムも開催されました。

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県内の地域おこし協力隊を取りまとめる福井県定住交流課からも激励のあいさつをいただきました。
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設立メンバーと現役隊員、福井県担当者を交えたトークセッション

フォーラム内で実施されたトークセッションでは「地域おこし協力隊同士の交流を通して、普段関われない地域や人とつながり、思ってもいない刺激をもらうことができた。それが有機的に繋がっていくと面白いことが起こりそうだなという実感を得ながら、今日のフォーラムを迎えることができました」と改めて阪野さん。

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福井県定住交流課の職員として県内の地域おこし協力隊を支える木下さん

「ネットワークを通して、現役隊員はもちろん、OBOGも互いにつながって悩みを解決していけるようなサポートができるといいなと思っています」と福井県の木下かすみさん。
県内協力隊を取りまとめる立場からも、ネットワークに対して大きく期待してくれています。

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おおい町地域おこし協力隊の渡邊さん

現役隊員の渡邊さんは「各市町の情報を共有しながら、福井全体の流れが把握できるようになるといいなと思います」と、隊員同士の連携の活発化に期待!

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福井県地域おこしネットワーク始まりの一枚

制度の運用開始から10年以上が経過し、新しいフェーズへと突入している感のある地域おこし協力隊界隈。全国的にも、すでに20ほどのネットワークが都道府県単位で立ち上がっているといいます。

福井ではこれからどのような展開を見せていくかまだまだ未知数ですが、類まれなる個性が集う地域おこし協力隊のつながりから生まれる化学反応には、大いにご期待ください。

URL

https://fukui-local.net/