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【鹿児島県姶良市】恋しい土地で僕は自分が“良い”と信じた道を進みながら新たな種を蒔き続けていく/本村農園 本村裕さん

インタビュー

2022.04.20

鹿児島県姶良市へUターンして農業に従事している本村裕さんにインタビューしました!

【鹿児島県姶良市】恋しい土地で僕は自分が“良い”と信じた道を進みながら新たな種を蒔き続けていく/本村農園 本村裕さん

鹿児島県姶良(あいら)市蒲生町で稲作ハウスキュウリ農家として従事されている本村裕さん。最近では広島発祥の“おこめん”を蒲生町産のお米で作り販売されています。そんな本村さんから農家になった背景や“おこめん”の販売を始めてからの変化等を伺いました。

父の背中を見て

蒲生で生まれ育った本村さんは高校で建築について学んだ後、大阪の住宅会社へ就職しました。

現場で大工仕事をしながら勤務していましたが、20歳で退職し、地元へUターンすることになります。

「成人式に帰省したら、蒲生が恋しくなってしまったんです。その年のうちに仕事を辞めて、地元へ戻り、2年程はアルバイト生活でした。」

「実家はお米とキュウリの専業農家でした。父に『農業の仕事をさせてほしい』と伝えたことが僕の農家としてスタート地点になります。」

しかし、お父さんのリアクションは良くなかったといいます。農業について学校でしっかり学んでくるようにアドバイスされたそうです。

それでも実践を通して現場経験を積んだ方が早いと感じた本村さんは、お父さんと一緒に農業に従事していきます。

一緒に作業をした期間は4年程。厳しく指導してもらいながら、農家としてのノウハウや技術を学んでいったといいます。

「父は農業をしながら青年団等の地域活動をしていました。自分のことより、周りの人のことを想う人でした。今思えば、私に対する厳しい態度も、思いやりがあったからこそだと思います。」

「また、言葉より行動で姿勢を示すタイプで、そんな父の背中を見ながら一緒に農業をできたことは一番の学びでした。」

【鹿児島県姶良市】恋しい土地で僕は自分が“良い”と信じた道を進みながら新たな種を蒔き続けていく/本村農園 本村裕さん

農家として生きていくために

お父さんと農業に従事していくうちに自分なりにやってみたいことが出てきた本村さん。

本格的にキュウリの生産に力を入れることにしました。

その中でも特に力を入れたのは2つ。

1つ目は流通。当時は直売所が少ない状況でJAや地方市場に出す選択肢しかありませんでした。

その流通のみだと、単価や収益性が上げるのは困難だったといいます。そんな矢先、地元に直売所でもある「くすくす館」がオープンし、そこでの販売に力を入れるようになりました。

「どのようにしたら農家として生計を成り立たせることができるか。そう考えることで、品の売り方や利益について意識するようになりました。」

2つ目は農薬。出来るだけ化学肥料を使わないように意識しながら栽培をしていきました。

「お客様から『キュウリが甘いね』と言ってもらえるようになりました。それって最高の褒め言葉なんです。」

「ほとんどの人はドレッシング等を使って食べるのでキュウリの味がわからない人がほとんどだと思います。」

「でも、何もかけなくても『甘い』と言ってもらえるということは野菜本来の味を引き出していることなんです。」

その後、他の店舗でキュウリを販売できるようになり、さらに関わる人たちが格段に増えていきました。

そんな中、SNSで情報収集をしていると、ある加工品に興味を示すことになります。それは“おこめん”と呼ばれる今まで出会ったことのないものでした。

【鹿児島県姶良市】恋しい土地で僕は自分が“良い”と信じた道を進みながら新たな種を蒔き続けていく/本村農園 本村裕さん

“おこめん”を通して広がっていくもの

おこめん”はその名の通り、お米を原料とした麺です。

SNSの記事を見て、気になった本村さんは広島の製造会社へ問い合わせをします。その会社では、全国の米農家から原料である米を集めて製麺していました。

製造先の社長は本村さんが作ったお米で“おこめん”を製造することを快諾し、鹿児島で初めて取り扱うことになります。

しかし、それまで野菜の販売をしていたものの、加工品の取り扱い等をするのは初めてだったため、右も左もわからない状態。

関連する機関に問い合わせたり、販売させてもらっている店舗にサポートしてもらったりしながら、何とか加工品として販売できるようになりました。

「鹿児島の文化にないものを、自分が“良い”と思ったものを、多くの人に知ってもらいたい。」

そんな想いから対面販売や店舗販売、SNSを活用した個人注文で少しずつ認知度を上げていきます。

最初は一人で販売を始めた“おこめん”。がむしゃらに動いているうちに地元や他のエリアの協力者が増えていったといいます。

「地元の20~30代の人たちとの関わりが増えて、販売先が少しずつ増えてきています。霧島市や鹿児島市でも取り扱いをしてくださる店舗も出てきました。」

「わざわざ蒲生まで買いにきてくださる方もいれば、県外から個人注文してくださる方もいらっしゃいます。そういう方々はリピーターになってくれて、よくご注文してくださるので、とても嬉しいです。」

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おこめん

周りと手を取り合っていくことで

“おこめん”の麺の太さは3種類に分けられており、本村さんの消費者に対するきめ細やかな配慮が感じられます。

「食べ物の好みが人それぞれであるように、麺の太さも人それぞれです。好みに合うものであれば食べることが楽しくなると思います。」

「消費者のことを常に考えていて、どういう人が品を手にするのか考えることで、商品に対する気のかけ方も変わってくるんです。」

最近だと異業種との繋がりも増えてきたといいます。農家とは違う視点で色々とアドバイスをもらうことで、新しいアイデアも浮かんでくるそうです。

「僕は周りに生かされています。キュウリも“おこめん”、お米も今繋がっている皆さんがいなかったら、ここまでの動きはできていません。」

「商売って広い意味でいうと自分の作ったものを宣伝したり販売したりするだけではないんです。勿論、農家として生計を立てることは前提にありますが、皆で支え合いながら、それぞれのセールスポイントを発信することだと思っています。」

「僕は父ほど地域活動はしていません。それでも、農家として従事し、色々な人と手を取り合うことは将来的に1つの地域貢献になると思うんです。例えば、品を買った人が蒲生に足を運び地域の魅力を発信してくれることもそうなんじゃないかって。」

自分が“良い”と信じた道を突き進む本村さん

やり方は違えど

その姿勢や誰かのことを思いやる気持ちは

どこかお父さんと重なってきます。

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恋しくなり戻ってきた蒲生で

色々な人と拓いてきた道には

新しい可能性や選択肢の種が

少しずつ蒔かれてきているように感じました。

屋号

本村農園

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