real local 鹿児島【鹿児島県日置市】広大な鹿児島で地域おこし協力隊に対する必要な支援。それは顔が見える体制で寄り添っていくこと。/地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 吉村佑太さん - reallocal|移住やローカルまちづくりに興味がある人のためのサイト【インタビュー】

【鹿児島県日置市】広大な鹿児島で地域おこし協力隊に対する必要な支援。それは顔が見える体制で寄り添っていくこと。/地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 吉村佑太さん

インタビュー

2022.05.30

2008年に導入された地域おこし協力隊(以下:協力隊)制度。その制度は全国的に広まり、今年の3月現在では6000名を越える協力隊が全国各地で活動しています(総務省HP参照)。そんな協力隊を支援する任意団体『地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島』(以下:サポーターズ)。その代表の吉村佑太さんから設立に至った経緯や今後の展望等を伺いました。

【鹿児島県日置市】広大な鹿児島で地域おこし協力隊に対する必要な支援。それは顔が見える体制で寄り添っていくこと。/地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 吉村佑太さん

広大な鹿児島で、顔が見える相談体制を

サポーターズは
・協力隊関係者同士の相談体制の構築
・受け入れ先自治体の協力隊担当者を支援
・任期終了後の出口づくりを支援 等
を目的に設立された任意団体です。

活動内容は
・受入自治体に対する導入および伴走支援
・協力隊の相談支援
・協力隊の活動や定着支援 等を
行っています。

【鹿児島県日置市】広大な鹿児島で地域おこし協力隊に対する必要な支援。それは顔が見える体制で寄り添っていくこと。/地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 吉村佑太さん地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 代表・吉村佑太さん

メンバーは鹿児島県内の協力隊OBOGや自治体職員で構成。

鹿児島は離島を含むので広大です。そのため、同じ鹿児島とはいえ、地域の現状や協力隊の抱える悩みはそれぞれ。

そんな状況でも、日々の相談対応や研修設計等について、顔が見える相談体制を作り、自治体を越えて連携し協力し合うことができるように活動されています。

「設立しようと思っていた時に、僕の想いに賛同し、手を挙げてくれた人たちが背中を押してくれました。」

「現役の協力隊やそのOBOGだけではなく、協力隊の担当者の支援がいると僕たちは考えています。協力隊を導入しても、どのように活用したらいいかわからずに悩んでいる担当者も多いので。」

【鹿児島県日置市】広大な鹿児島で地域おこし協力隊に対する必要な支援。それは顔が見える体制で寄り添っていくこと。/地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 吉村佑太さん『地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島』による地域おこし協力隊初任者研修の様子

地域おこし協力隊にとって必要な支援とは

では、サポーターズができた背景は何だったのでしょうか。

それは吉村さんが協力隊として活動した現役時代に経験したことからでした。

例えば、自身が地域との関わり方や行政予算や活動費のことで悩んだ時、誰に相談しても自分の状況を理解した上でのアドバイスはもらえなかったといいます。

【鹿児島県日置市】広大な鹿児島で地域おこし協力隊に対する必要な支援。それは顔が見える体制で寄り添っていくこと。/地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 吉村佑太さん

「その状況にあるのは僕だけかと思っていました。でも、他のエリアの協力隊と話をすると、皆さん同じような状況で色々と悩んでいることを知ったんです。」

「あるエリアの協力隊から相談を受けた時に自分の経験を伝えると「ありがとう、助かったよ」と言われたんです。その時、協力隊側に対して必要な支援があるなと思いました。」

「それが何かといったら、活動を円滑に進めていくための支援や相談、そして、心の拠り所になることじゃないかと考えました。そのような支援者がいないのであれば、仲間と共にやりたいと協力隊時代に考えていたんです。」

その後、県から協力隊の研修設計を依頼される機会があり、改めて自身が考えていることが必要な支援だと確信してきました。

協力隊に対する積極的な支援や受け入れを行っている副代表や仲間たちの声もあり、20197月に設立することになったのです。

【鹿児島県日置市】広大な鹿児島で地域おこし協力隊に対する必要な支援。それは顔が見える体制で寄り添っていくこと。/地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 吉村佑太さん

自分だからこそできること

吉村さんは20167月から協力隊として3年間過ごしました。

卒業後のことも考え、任期中に起業。

行政や地域と連携し、日々模索しながら事業を進めていきました。

しかし、自身が思い描いたとおりにはいかず、任期終了を迎えた時期に核となる事業を創ることができませんでした。

「核となる事業が無く、それでも色々とチャレンジしましたが“鳴かず飛ばず”でした。苦しい日々が続きました。」

【鹿児島県日置市】広大な鹿児島で地域おこし協力隊に対する必要な支援。それは顔が見える体制で寄り添っていくこと。/地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 吉村佑太さん

新型コロナウィルスが蔓延し、さらに追い討ちをかけるようにやりたいことが形にできず、それまで事業として展開していたものを縮小や閉じる選択をすることになります。

今は一人体制で事業を展開しており、そのうちの1つがサポーターズです。

「協力隊の任期中も卒業後もたくさん壁にぶつかってきました。でも、それは辛かったといったマイナスな捉え方ではありません。本当に良い経験をさせてもらった財産だと思っています。だから、今まで関わってくださった自治体の方々や地域の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。」

「他のエリアでも過去の僕と同じように苦しい状況にある協力隊はいると思います。そういう人たちに僕の経験を事前に話すことによって、違う選択肢を考えるきっかけになると考えています。」

「地域に入って活動する協力隊だからこそ生まれる選択肢が出てくるので、皆さんに対し、その時どう考えて、何を選択したのか、その結果を経験として話せることは非常に大事だと思っています。」

【鹿児島県日置市】広大な鹿児島で地域おこし協力隊に対する必要な支援。それは顔が見える体制で寄り添っていくこと。/地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 吉村佑太さん

正解なんてない

「色々なことがあっていい。「これが正解」なんてないんです。」

サポーターズのお仕事をされる上で大切にされていることを尋ねると、このように答えられました。

同じ鹿児島でも半島が2つあり、離島もあって、同じ半島でも地域の現状や文化が違います。

似たようなケースがあっても、それぞれ同じような対応をすればいい、アドバイスをすればいいわけではありません。

「相談があったら、経験則を元に頭ごなしに決めつけない、アドバイスをしないことを大事にしています。まずは、一旦受け止めることからなんじゃないかって。」

「相談する人によっては「ただ聞いてほしい」と思って連絡してくる人もいるんです。だから、相談時は傾聴と頷き。この2点を心がけています。」

【鹿児島県日置市】広大な鹿児島で地域おこし協力隊に対する必要な支援。それは顔が見える体制で寄り添っていくこと。/地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 吉村佑太さん

設立から3年経ち、今年度はさらにサポーターズと共に現役隊員を支援する仲間が増えました。

体制が少しずつ整っていく中で、吉村さんは現役の協力隊に対して「困ったら本当に頼ってほしい」と力強く話します。

「ギリギリまで我慢してから相談をされても、それは末期癌と同様で手の施しようがない状態になっている場合があります。」

「でも、もっと早い段階、例えば「ちょっと風邪かな?」と感じる段階で相談しにきてもらった方がありがたいです。聞くことによって、早めに対処し解決できることがあると思います。」

【鹿児島県日置市】広大な鹿児島で地域おこし協力隊に対する必要な支援。それは顔が見える体制で寄り添っていくこと。/地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島 吉村佑太さん

3年という短い期間で自身の生業を作っていく地域おこし協力隊。

それを縁もゆかりもない土地で進めていくことは大きな不安が生じてくることだと思います。

「誰に打ち明ければいいのだろう?」と思うくらいの悩みも出てくるかもしれません。

そんな時、話だけ聞いてくれるような寄り添う人が1人でもいたら背負っていたものが軽くなるのではないでしょうか。

軽くなることで新しい選択肢を見出し、地域で新しい種を芽吹かせるかもしれない。

その芽吹きを見て、違う協力隊も「ちょっと相談してみようかな」と思うかもしれない。

寄り添うことが小さなことでも打ち明けられる文化や体制が少しずつ広がっていくのではと感じました。

屋号

地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島

備考

地域おこし協力隊サポーターズ鹿児島事務局

お問い合わせフォーム:https://forms.gle/D3JN2SyiEWkyk68D6

メールアドレス:okosapo.kagoshima@gmail.com

電話番号:090-7401-5348