【鹿児島県湧水町】鹿児島を愛する気持ちが紡いでいく出会いの連鎖/古民家chesto 弓掛隆盛さん
インタビュー
鹿児島県湧水町にてゲストハウス・ランチ・マッサージ等の機能が備わった『古民家chesto』(以下:チェスト)を運営されている弓掛隆盛さん。そんな隆盛さんからチェストを開業された背景や今後の展望等についてお話を伺いました。
周りの愛情に支えられて
幼稚園から高校までサッカー選手として青春を捧げた隆盛さん。
高校では県内屈指の強豪校へ入部し、寮生活を送りながら、身体的にも精神的にも鍛えられたといいます。
「当時は辛くて逃げ出したい時もありました。でも、社会人になってから、その時間があったからこそ乗り越えられたことがたくさんあったんです。」
「サッカー選手としての技術もですが、何より人間性を鍛えてもらったと思っています。厳しかった監督の愛情が社会人になってから身に沁みました。」
高校卒業後は県内の金融機関へ勤務。
住宅ローンやマイカーローンといった融資関連の部署へ配属されます。
法律・資格の勉強や信頼関係、そして融資を受けるお客さんの未来等、
考えないといけないことがたくさん…。
難しい内容でもあったので、仕事に慣れるまで時間もかかったそうです。
「実務経験を積み重ねていかないと難しい仕事でしたが、特にお客様との信頼関係を大切にしていました。」
「心を開いてもらうと、訪問の際に優しい声かけをしてもらったり、お菓子をもらったりしたので、良い関係性を築けました。」
「職場の人たちに支えてもらいながら大変な仕事も乗り越えられました。今でもそうですが、僕は周りの人たちに支えてもらっている中で仕事ができていると思います。」
外に出て再認識した鹿児島への愛
22歳の時、4年勤務した金融機関を退職。
元々、旅行が好きだったこともあり、旅人の記事を見ていくうちに隆盛さんの想いが強くなっていきました。
「次第に日本一周の旅をしたい想いが芽生えてきました。退職するにあたって、職場には自分の想いを正直に伝えました。自分のことを大事にしてくれた人たちに嘘をつきたくない気持ちがあったので。」
「職場の皆さんは僕の決意を否定せず、背中を押してくれました。本当にありがたかったです。」
日本一周のために長距離用自転車を購入。
退職後の4月から半年間かけて日本一周の旅へ出ることになります。
旅の中で課したルールとしては「各都道府県庁の前で写真を撮る」ことでした。
道中、多くの出会いもあり、時には滞在地で働くこともあったそうです。
「どの土地もそれぞれの素敵な文化と温かい人で溢れていました。でも、地元に戻って改めて感じたのは「鹿児島って本当にいいな」ということでした。」
「その気持ちを何かしら形にしたくなり、軸や手段はフワッとしていましたが「鹿児島を盛り上げるため」に仕事をつくっていきたくなったんです。」
「ただ、当時の僕には起業の仕方や経営のノウハウ、稼ぐための武器がありませんでした。だから、まずは県外で力をつけて、それを以て鹿児島で起業しようと考えました。」
人と人が出会える場所をつくりたい
「日本一周した時に一番得たものが人との出会いでした。出会いを求められるものは何かと考えた時、僕なりの答えとして飲食が頭に浮かんだんです。」
隆盛さんが経験を積むために選んだ土地は愛知県名古屋市。
名古屋のスポーツバーで接客と経営のノウハウを学んでいきました。
その頑張りが周囲にも認められ、最後の年には店長に就任。
ノウハウだけではなく、年齢や職種を越えた人たちとのコミュニケーション能力も培うことができたのです。
「名古屋での修行は3〜4年と決めていました。事業計画を考えながら少しずつ準備を進めていたんです。」
「名古屋で婚約をしたのですが、妻は僕のやりたいことや鹿児島へ戻ることに対して理解してくれました。本当にありがたいですよね。」
鹿児島へ戻る半年程前から今後の事業の拠点づくりを開始。
拠点となる場所は湧水町にある弓掛さんの祖父母が所有していた空き家でした。
親族や友人、地元の協力者のサポートを受けながら、皆で改修して1つの空間を創りあげていきました。
その後、昨年春にチェストとして開業することになります。
運営は隆盛さん、奥さま、お母さまの3人体制です。
「機能はゲストハウスやコワーキングスペース、ランチ、マッサージ、エステ&シェービングの5つにしました。機能を分けることで様々な客層に足を運んでもらえたらと考えたんです。」
「母は調理の仕事をしており、趣味で足つぼの資格を取得していたので、その経験を活かせないかなと思いました。最近は妻が関連の資格を取得したので、2人でランチとは別部屋で足つぼマッサージをやっています。」
「また、妻は以前美容関係の仕事をしており、理容師の免許を取得しています。母と妻の頑張りもあり、足つぼマッサージやシェービング目的で定期的に利用してくださるお客様も多いです。」
小さな積み重ねから広がっていくもの
「チェストには、おじいちゃん・おばあちゃん家に行くような、懐かしさもあり、親しみがある感覚で気軽に来てほしいです。」
「うちの母が人と接するのがとても上手なんです。いい意味でお節介というか…。「ガネが余ったから持っていかんね」と言ってお客様に渡すこともあります。」
「そういったお節介があるからこそ、お客様の印象に残り、また足を運んでくれたり、違う人を連れてきてくれたりするケースもあります。」
最近では仕出しの注文が増えてきているといいます。
部活動の団体もあれば、家庭内のパーティまで。
「SNSの発信は欠かしませんが、何より誠意を込めて1つ1つお弁当を作り、受け取りにきたお客さんと楽しい雰囲気でコミュニケーションをとっています。それらも注文が増えている背景かもしれません。」
さらに鹿児島のスポーツチームに対してスポンサーとしてチェストなりに支援しています。
元々サッカー選手だった隆盛さんにとってスポーツに貢献できることは何より嬉しいこと。
サッカーやバスケット、バレーボール関連の企業や選手との繋がりも増えてきました。
「応援しているチームの方々がチェストにランチを食べに来てくれたこともあり、そこから親交が深まって、仲良くさせてもらっています。」
「鹿児島もですが、湧水町に対しても何か貢献できないか模索しています。日々の地道な情報発信や地域活動に参加したりして繋がりを増やしていきたいです。」
誰かに対して与えたものは
巡りめぐって自分に戻ってくる
それはチェストの場合
優しさだったり温かさだったりするのかもしれません。
隆盛さんは自身が得た出会いや与えられた愛情を
違う誰かに対して恩送りをしているように感じました。
その恩送りがまた違う誰かにいき出会いが連鎖していく。
そんな未来が少しずつ湧水町、そして、鹿児島へ広がっていく予感がしてなりませんでした。
屋号 | 古民家chesto |
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URL | |
住所 | 鹿児島県姶良郡湧水町北方2333-2 |
備考 | ・足つぼマッサージ・シェービング(予約はネットか電話) https://tol-app.jp/s/kominkachesto ・ゲストハウス(電話予約のみ) 0995-73-7188 ・コワーキングスペース(午前10時〜午後5時まで) 2時間利用の場合 500円 1日利用の場合 1,000円 ・ランチ(席のみの予約も可能) 11時30分〜14時まで ・定休日 月曜日 木曜日 ・メール |