繊維産地の魅力に迫る「セコリ移住計画」金沢編
セコリレジデンス/加賀糸へんツアー レポート

ショップとギャラリーとカフェを合わせたものづくりコミュニティスペースとして2013年から東京の月島で運営を行ってきた「セコリ荘」。2015年には犀川沿いに「セコリ荘金沢」がオープンしました。(詳しくはこちらの記事で)


普段、セコリ荘は週末のみの営業で、平日はスタッフ総出で各産地の工場に赴き、さまざまな企業さんと素材・製品づくりの打ち合わせをしたり、契約媒体さんの記事を制作したりしています。
取材してきた内容は雑誌やウェブメディアやSNSでも発信していますが、セコリ荘というリアルな場に実際にそれらを集め、人や素材の新たな出会いを生むことを大切にしてきました。

その中で「現場まで同行したい。一緒に生産の背景を見学したい」というリクエストをいただくことも度々ありました。そこで、産地とのハブを担うコミュニティスペースとして運営してきたセコリ荘が、もう一歩現場に近い場所で新しいコミュニケーションを生んでいこうと始動したのが、実験的プロジェクト「セコリ移住計画」です。
一定期間、東京のセコリ荘を閉めて拠点を産地に移します。この期間にデザイナーさんを産地に招き、素材とのマッチングや現場訪問のアテンド&交流会、一般の方向けの工場ツアー、ワークショップなどを企画。より現場の近くに拠点を移すことで、取材や工場との素材開発・企画の濃度もぐっとあがります。
また、期間限定の活動拠点を「セコリレジデンス」と名付けて、このスペースを解放し、見学者や参加者の宿泊先の確保までできればと考えました。

最初の移住地は「セコリ荘金沢」のある石川県金沢市。石川は伝統と最先端のものづくりが多様に共存する国内有数の繊維産地でもあります。
石川県のものづくりの現場に潜む魅力を多くの方にも触れてもらいたいと思い「一般社団法人日本テキスタイル協会」と共催で「加賀糸へんツアー」と題して、「セコリ移住計画」スタートと同時に2日間にわたる工場見学のバスツアーを開催しました。






バスツアー以外にも、「セコリ移住計画」中は、関東、関西からのデザイナーさんと一緒に石川の工場の訪問を重ねました。
車を走らせると数十分圏内で様々な現場に足を運ぶことができます。生産者さんと一緒に素材開発、商品開発の打ち合わせを行いました。
能美市にあるネクタイの生地をつくる工場。シルクを中心に天然素材(綿、麻、ウールなど)の糸を使って生地を織り上げています。



時間の許す限りさまざまな工場さんへ取材、アテンド、ミーティングを行いましたが、今回では回りきれなかったところもまだまだあります。さすがは「繊維王国いしかわ」です。

「セコリ移住計画」は、移動編集部でありショールームであり企画室であり、レジデンスであるような、まだ未知数の実験的プロジェクトです。リアルの場である「セコリ荘」と連動して、今後も産地との接点をつくっていきたいと考えています。産地ごとのものづくりの魅力をセコリ荘が独自にキュレーション(取材して発信する。ものづくり、ことづくり)して移住を繰り返していきます。
8月は15日から25日までの10日間ですが、岡山県の倉敷市に滞在して、年内には大阪と浜松と山形も予定しています。お近くの方はぜひ遊びにいらしてください。