【長野】「バリスタのお仕事とは」丸山珈琲イベントレポート ~「心」を込めてコーヒーを淹れる~
3月26日、「tsunagno(ツナグノ)」の3部構成のオープニングイベントとして第2弾に行われたのが、軽井沢で創業して25年となるスペシャルティコーヒーの名店「丸山珈琲」のバリスタである江角 涼さんを招いての1時間のワークショップです。「バリスタのお仕事とは」と題し、江角さんに、プロのバリスタの仕事を紹介していただきました。
集まったのは、学生風の若者からサラリーマン風の人、小学生を含めた家族連れや小さなお子さん連れの人など、年齢も性別もさまざまな老若男女30人ほど。コーヒーという素材の魅力や「丸山珈琲」のファンの多さが伺えます。
*現在「丸山珈琲MIDORI長野店」では、スタッフを募集中*
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
さて、前半は「tsunagno」を運営する「CREEKS」代表の古後理栄さんが進行役となり、質問形式で江角さんにバリスタの仕事内容を伺いました。
まず、バリスタという仕事を「簡単にいえばコーヒーを淹れる人です」と紹介した江角さん。イタリアにはどこの町にも「バール」とよばれる軽食喫茶店がたくさんあり、本来「バリスタ」とはそのカウンターの中で働く人を指す言葉なのだそう。「bar(バール)」+「 ista(~する人・専門家)」=「バリスタ(バールで働いている人たち)」とよばれるのだと言います。この話に参加者からは「へぇ」という驚きの声があがっていました。
日本でも同様に、カウンターの中でコーヒーを淹れてお客様にサービスする人を「バリスタ」とよんでおり、「丸山珈琲」では店舗で働いている全てのスタッフを「バリスタ」に位置付けています。
「ちゃんとした定義というのはなかなかないのですが、自分がバリスタだと思って働けばバリスタなのではないでしょうか」と江角さん。
また、バリスタは各店が求めるコーヒーの淹れ方や味わいを出せるようになることと「最高の1杯ではなく、必ず全てのお客様に満足していただける、同じ1杯を毎回出せること」が重要なうえ、サービスマンとしてしっかりとした接客ができることも大切です。そのためにも「丸山珈琲」では、洗い物からコーヒー豆の販売、レジ打ちなど店舗での一連の仕事の動きができるようになってから初めて、コーヒーを淹れるトレーニングが始まるそうです。
さらに、若手スタッフの教育の苦労を古後さんが尋ねると、江角さんは「なんとなく『バリスタの仕事をしたい』と考えて入社すると、本人も会社もお互いが『思っていたものと違う』と感じてしまいますが、目標設定をしっかり行い、将来どうなりたいかまで考えられていたら大丈夫です」と返答。
こんな風に1つひとつの言葉をきちんと選び、丁寧に話す様子からは、江角さんの実直さと真摯にバリスタという仕事に向き合っている姿勢が伝わってきました。
そして、こうしたバリスタの修業のほかに「丸山珈琲」が何より大切にしているのが、原材料であるコーヒー豆の品質です。
江角さん曰く「どれだけバリスタに技術があっても、コーヒー豆が良質でないと、コーヒーはおいしくならないと考えている」そうで、そのためにも、バリスタは生産者がどういう風に豆を作っているか、その思いをしっかりとお客様に話せることが大切だそう。「丸山珈琲」では全バリスタが生産者の情報を共有しています。
このほか、バリスタの道具の扱い方や、チャンピオンのその後の職業、一般的な店舗で働くバリスタのキャリアステップ、江角さんの「エリア・リーテール地域ディレクター」という仕事の話などもお聞きしました。
イベントの後半は、実際に江角さんにコーヒーを淹れてもらい、参加者全員で試飲を。今回淹れてもらったのは、丸山珈琲では基本の淹れ方である「フレンチプレス」という方法で抽出したコーヒーです。一般的なカフェや喫茶店の多くはペーパーフィルターでの抽出が多いのですが、フレンチプレスは金属フィルターを使うのが一番大きな違いです。
ペーパーフィルターは紙でコーヒーを漉すので、豆のさまざまな成分が紙に吸収されてすっきりと澄んだ飲みやすいコーヒーになります。それに対し、フレンチプレスは、豆のいいところも悪いところも全ての成分が抽出されるので、素材そのものの味わいがわかりやすく、コーヒー豆が含む油分も全てフィルターを通過するので風味も濃厚。つまり、新鮮で良質なコーヒーを淹れるなら、コーヒー豆本来のおいしさが損なわれないフレンチプレスがおすすめで、少し古くなった豆や低価格のものは、ペーパーフィルターで成分を吸収したほうが飲みやすくなるそうです。
この日、使用した豆は「ハイメ・カルデナス ビジャサルチ」というもの。現在、「丸山珈琲」ではどこの国のどういった豆かというだけでなく、誰が栽培した豆であるかにもフォーカスしており、この商品名はコスタリカの「ハイメ・カルデナス」という生産者の「ビジャサルチ」という品種を示しているそうです。
この豆を中挽きにし、計量した粉をフレンチプレスの容器に入れます。「おいしいコーヒーを淹れるコツは必ず計量すること」と江角さんは言います。
試飲タイムでは、江角さんが今回のコーヒーを「丸山珈琲」風に表現。それによると「チェリーやオレンジ、ピーチのような味わいで、シロップのような質感」なのだとか。しかし、これはあくまで「丸山珈琲」での一般的な表現であり、「飲んでどう思ったかは人それぞれなので、大切なのは自分がどう感じたかです」と江角さんは伝えていました。
この後は、参加者から、豆の挽き方のポイントやコーヒーミルの選び方、家庭での上手な保存方法、お店で好みのコーヒー豆を見つける方法などが次々と質問されました。プロのバリスタの仕事を垣間見ながら直接話が聞け、コーヒーの魅力にもふれあえたイベントとあって、終了後は参加者がそれぞれに充実した笑顔を浮かべていた姿が印象的でした。
「丸山珈琲MIDORI長野店」では、現在スタッフを募集しています。こちらの記事もご覧ください。