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塩屋にこの人ぞ、アリ

森本アリ 音楽家/旧グッゲンハイム邸洋館管理人

2014.10.23

築100年を超える歴史ある洋館に、ある音楽家が出会ったことで今までにはなかった新しい化学反応が生まれた。

その洋館とは、神戸市垂水区塩屋町にある「旧グッゲンハイム邸」、そして音楽家の名前は森本アリさんだ。
(以降は、親しみを込めてアリさんと呼びます。)

塩屋にこの人ぞ、アリ
この人が森本アリさん。旧グッゲンハイム邸の敷地内に自宅兼事務局がある。

アリさんは、大所帯ブラスバンド「三田村管打団?」や、サンプラーや口琴、ゲームボーイなどを使って巧みに演奏するユニット「口八丁」  等で活動する音楽家でありながら、同時に旧グッゲンハイム邸の管理人という顔を持っている。

「森本アリ」オフィシャルサイトを見る

少年時代を塩屋で暮らした後、高校卒業後にベルギーのブリュッセルにある現代アートの大学へ進む。
大学時代は、映像、写真、彫刻など、カテゴリーにとらわれることなく縦横無尽に学び、また、学校外では仲間たちと音楽活動に明け暮れていた。
当時、建築学科の友人が多かったこともあり、模型づくりの手伝いや友人宅のセルフビルドにかり出されたりといった経験をした。

塩屋にこの人ぞ、アリ
塩屋の町の風景。海からすぐが傾斜地になっており、左と右を山に囲まれ、海を見渡すことが出来る。

一度は塩屋を離れたアリさんだったが、大学を卒業してから数年後に再び塩屋で暮らし始めることとなる。

海外や東京での生活を経験してみて、改めて、幼い頃を過ごしたこの場所の居心地の良さや魅力を再確認したという。
まずは、海や山が近い環境、そして、駅前の小さな商店街に軒を連ねる商店の素朴な人々はもちろん、旧グッゲンハイム邸もアリさんにとっては、当たり前にある地元の景色の一部だった。

塩屋にこの人ぞ、アリ
洋館への入り口、エキゾチック。
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旧グッゲンハイム邸の2階から。海を望む洋館はなんとも素敵なロケーション。

塩屋で暮らし始めて数年後、「旧グッゲンハイム邸が取り壊しされるらしい」という情報が入ってきた。

実は、神戸に残る歴史的な洋館の中には、その維持管理が大変だとして、取り壊しされてしまうケースも珍しくなく、この旧グッゲンハイム邸もそうした危機に瀕していたのだ。

「地域の財産であるこの歴史ある洋館を残さなくては」。
アリさんのお母さん、妹さんがまず積極的に保存活動に動いた。
それから家族で話し合いを重ね、最終的に旧グッゲンハイム邸を森本家が取得することにした。
そして、運営を任されたのがアリさんだった。

塩屋にこの人ぞ、アリ
(左)旧グッゲンハイム邸の1階広間 (右)洋館の渡り廊下から望む庭はカリブ海のような開放感ある雰囲気。

現在、旧グッゲンハイム邸は、コンサート、結婚パーティー、各種教室、映画や雑誌のロケ撮影など、多岐にわたって利用される場となっている。

(旧グッゲンハイム邸の施設特徴について詳しくはコチラの記事をご覧下さい)

特に音楽関係の方には、知るひとぞ知る場所となっていて、全国ツアーを組む際に「神戸なら旧グッゲンハイム邸で」と言われることもあるように 、一目置かれた存在である。

 

塩屋にこの人ぞ、アリ
塩屋にあるイベントスペース「しおやと、」では月に1度、塩屋の町を歩きながら、アリさんが地元のあれこれを教えてくれるお散歩イベントも開催中。詳しくはこちら「しおやと、まちあるき」。

 「僕は、この洋館を観覧するためのものとしてではなく、どんどん使って、使い倒して欲しいと思っています。

 僕たちが管理を始めた頃は、友人の結婚パーティー、チャリティー主旨の音楽会、建築士等の主催の建築保存を考えるイベント等、月一程度の使用が細々とある程度でした。
そこから次第に、それこそこちらが驚くような利用の提案がありそれらを無節操に受け入れてきました。
それが非常に面白かったんです。

そして、自主企画と共に友人の音楽家達の画期的な企画も数々経験するうちに、こちらが長年憧れていた著名な音楽家の方から「旧グッゲンハイム邸でコンサートをしたいのですがどうすれば良いでしょうか?」と直接ご連絡頂いたりして、本当にびっくりしました。

そのうちお客さんや音楽家の口コミでの使用が広がり、次第に自主企画は1割弱まで減り、ほぼ持ち込みの企画のみという魅力的なラインナップでスケジュールが埋まるようになってます。

なかには、旧グッゲンハイム邸に1週間滞在して完成した音楽のアルバムなんていうのも、あるんですよ。
蝉の鳴き声も、電車も、踏切の音も積極的に取込んだ素晴らしいものもあります。」

 

地域の人、あるいは地域の外の人たちに旧グッゲンハイム邸を広く使ってもらうことが、何より洋館の維持につながると語るアリさん。

塩屋にこの人ぞ、アリ
洋館の屋根の上。洋館の前には線路、そして海が広がる。

実は、アリさんは「音楽家」「洋館の管理人」の他にも「塩屋のまちづくりの活動」も積極的に行っている。

ジャンルや、カテゴリーにこだわらない自然体な姿勢。

そこがむしろカッコイイと思わせる人である。

屋号

旧グッゲンハイム邸/管理人

URL

http://www.nedogu.com/kumacoop/am/index.html

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