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バラを育てた半世紀

ダマスクの風 門倉美博さん

2017.07.26

ダマスクローズというバラをご存じだろうか。2万種以上あるバラの中でも最も良い香りとして知られる品種で、化粧品の原料や、お茶、スイーツなどに加工される。

バラを育てた半世紀
5月の早朝。朝日を浴びて花開くダマスクローズ。

鹿児島の南・鹿屋にある「ダマスクの風」では、朝早くダマスクローズの摘み取り作業が始まる。朝露でしっとり湿ったバラが濃く甘い芳香を放ち、朝の光を浴びてきらめくオペラピンクの色が目に艶やかだ。

バラを育てた半世紀
植物栽培歴50年以上の門倉さん。植物に費やしたお金で家が何軒か建つのだとか。

園長の門倉美博さんは「かのやバラ園」を設立し、鹿屋市をバラの街にした通称「バラ博士」。定年後に始めたローズガーデン「ダマスクの風」は、日本で初めて、ダマスクローズで有機JAS認定を取得した。

ヨーロッパの気候に適したバラは、湿度の高い日本で無農薬栽培は不可能というのが園芸界の定説だった。その常識を半世紀以上かけ、門倉さんはひたすらバラに時間と情熱を注ぎ覆したのだ。

その評判がバラ愛好家の間で広まり、この鹿児島のはずれにあるローズガーデンに全国各地、海外からも人が訪れている。

バラを育てた半世紀
摘み取ったダマスクローズは、マカロンなどの焼き菓子やお茶、ローズウォーターなどに加工。

少年の頃から植物に夢中だった。東京で流行した花が地方に来るまで4,5年かかっていた頃から、独自ルートで珍しい花の球根を取り寄せては育てる青春時代。

当時は白黒テレビ、何色の花を咲かせるのかは花開くまでわからない。ロマンと冒険に満ちあふれた日々だった。

バラを育てた半世紀
バラ以外の花も楽しめる。春はチューリップ、夏はひまわり、初夏から秋にかけてダリア、コスモスが花開く。12月に菜の花が咲き、寒い冬の時期に明るい彩りを添えてくれる。また、一年を通してさまざまなハーブが育っている。

「ダマスクの風」は園芸好きの間で評判を呼び、現在はガーデニング講習会なども開催される。バラの他に様々な植物も無農薬で育て、苗の販売なども行う。

大々的なイベントを行うわけでもない。それでも自然なガーデンに訪れる人が後を絶たないのは、この場所を優しく包む、本物の精神を感じるからだろうか。

バラを育てた半世紀
ガーデンには数多くの珍しい昆虫も訪れる。絶滅危惧種に認定されているルリモンハナバチ、通称「ブルービー」の姿も。幸せを運ぶハチとして知られている。(引用:ダマスクの風facebook)

「夢を追いかけていたからできました。酔狂です。バラ栽培は日々目が離せません。それこそ365日、24時間体制です」

雨の日も嵐の日も、バラに向かい続けた年月。それが今美しいバラを咲かせ、来る人の気持ちを温かくさせる。

バラを育てた半世紀

名称

ダマスクの風

URL

http://damask-wind.com/

住所

鹿児島県鹿屋市小薄町4994-2

TEL

0994-46-5627

営業時間

9:00-17:00

定休日

不定休(最新情報はfacebookページを確認)

料金

入園料無料

バラを育てた半世紀