どうする?増え続けるまちの駐車場
パーキングジャック始動!
地方の中心街で増加しているコインパーキング。
山形市でも空き家や空き店舗の解体が進み、更地を埋めるようにその数を増やしています。
そんな中、七日町にて駐車場にまつわるプロジェクト「パーキングジャック」が産声をあげました。
パーキンジャックとは、駐車場を「レンタルスペース」とみなし、そこでイベントを仕掛けていく新しい試みです。駐車場を新しい視点でとらえ、駐車場以外の利活用法を自由に考えていきます。
企画者は東北芸術工科大学・建築・環境デザイン学科の追沼翼さん。パートナーの芳賀耕介さんと共に七日町シネマ通りの「郁文堂書店の再生」や「やまがたヤタイ」など、精力的にまちと関わりながらプロジェクトを運営しています。
パーキングジャックにかける思いやプロジェクトの概要をお聞きしました。
──パーキングジャックを発案したきっかけは?
去年の10月、郁文堂の改修をしている頃に、七日町にはやたらと駐車場が多いことに気がつきました。そこで山形市の駐車場について調べたら、その数は年々増え続けていることがわかりました。
七日町付近には市役所や税務署や病院、銀行など、大きな施設が多いので、駐車場の数は必要です。しかし、それらの施設は併設が義務つけられた専用駐車場をちゃんと持っています。それにもかかわらず、コインパーキングは増え続けているようです。
──なぜ駐車場は増え続けているのでしょう
もちろん需要もあると思います。山形は車社会なので、駐車場は必要なものです。
もうひとつ大きな理由として、経済合理性を考えた結果もあると思います。駐車場は資金的負担が軽く、利益をうみやすいためです。
しかし、中心街に駐車場が増えていくことを、懸念する声もあります。
魅力的と思っていた建物が老朽化で取り壊され「次はなにができるんだろう?」と見ていたら、駐車場になるケースがいくつかありました。なんだか街が殺風景になっていく気がしました。
七日町の商業を盛り上げて、たくさんの人が行き交う街にしていくならば、駐車場が増え続けることは、正解なんだろうか?と思うんです。
──そんな疑問から、パーキングジャックが生まれたわけですね
パーキングジャックでは、遊びにきた若いお客さんが、その土地は駐車場になる前どんな建物があったのかを知ったり、まちの人にとって、空間の新しい活用法を考える楽しいきっかけになれたらと思います。
──駐車場で、駐車場について考える。車社会ならではのイベントですね
車は便利ですが、車に依存しない暮らしにも関心があるんです。
ぼくは車がなく、バスを活用しながら生活していますが、まちなかへ問題なくアクセスできています。スマホにバスの時刻表を入れて、乗車の記録をとっているのですが、「べにちゃんバス」は本当に便利ですよ。
もし山形にも配車アプリのUberが導入されたら交通事情は劇的に変化すると思いますし、将来的に山形駅前や七日町の駐車場のあり方や風景がどう変わっていくのか、興味があります。
──パーキングジャックについて、もう少し詳しく聞かせてください。運営の仕組みがユニークだとうかがったのですが。
コインパーキングの仕組みをいかしたアイディアがあるんです。
駐車場に車を入れるとき、チケットをとって中に入り、出るときにお金を払って出ますよね。それをそのまま人が行えば、入場料制のイベントができる。駐車場オーナーにも収益があり、会場費を支払うことができるのではないかと考えたんです。
大手のコインパーキングチェーンでは、規約上、駐車以外の目的での利用が禁止されているのですが、個人経営のコインパーキングなら、入場料制のパーキングジャックが実現できるかもしれません。
パーキングジャックは、ぼくたちのチームだけにとどまらず、いずれはサーキット形式で山形市各地の駐車場に広がっていけばいいなと思っています。同時多発的に、同じ日に市内、県内、ゆくゆくは全国の各地方でパーキングジャックが起こったりしたら楽しいでしょうね。
──10月29日は、どんなパーキングジャックになるのでしょう?
10月29日は「シネマ通りマルシェ」が開催されます。マルシェの会場であるシネマ通りから歩いて3分ほどの場所にある、山形銀行の駐車場をお借りすることになりました。
シネマ通りにちなんで、テーマは映画。13時から、林海象監督による移動映画館「ハヤシネマ」がやってきます。昼から短編映画や学生作品など幅広い年代が楽しめる作品を上映します。マルシェと一緒に盛り上がれるようなイベント空間にしていくので、ぜひ気軽にお立ち寄りください!
※ パーキングジャックでは、使用可能な駐車場の情報を募集しています。レンタル可能な駐車場をお持ちの方は、以下の問い合わせフォームにご連絡ください。