「山形国際ドキュメンタリー映画祭2017」見たい3本はこれだ!
by. 有田浩介さん(サニーフィルム 代表)
10月5日から開催している、山形国際ドキュメンタリー映画祭(YIDFF2017)。
世界中から審査員、監督、プレス、映画関係者、映画ファンなどが集まり、山形市は映画ムードにわいている。
10月12日まで、市内9つの会場で世界中から厳選されたドキュメンタリー作品が上映される本映画祭。
厳選されたとはいえ、上映作品は約150本。「どれを見たらいいの?」という声にお答えして、おすすめの3本をサニーフィルム代表の有田浩介氏にピックアップしていただいた。
『機械』 Machine(原題)
インターナショナル・コンペティション部門
インドの紡績工場を舞台にした作品。経済成長の著しいインドで行われている出稼ぎ労働者や子供達が強いられている不当な労働を写します。労働摂取が行われている現場を皮肉にも美しく描き出していて、2016年サンダンス国際映画祭の審査員特別賞(撮影部門)を受賞し、国際的に高く評価されている作品。日本で見られる貴重な機会です。
上映日:7日 16:00〈山形市中央公民館ホール(6F)〉 | 10日 15:45〈山形市民会館大ホール〉
『激情の時』 In the Intense Now(原題)
インターナショナル・コンペティション部門
映画祭初日の1本目に鑑賞し、心打たれた美しい作品をおすすめします。
フランスの五月革命とソ連のプラハ侵攻時にジャーナリストが撮影した映像と、同時期に、監督の母親が中国で撮影したフッテージが織り交ぜられています。映像に込められている人々の感情や情熱を監督自身が読み解き、ジャーナリズム的観点と私的でノスタルジックな想いを交差させ、淡くロマンティックな映画に仕立てられています。
上映日:7日 18:15〈山形市民会館大ホール〉
『イントレ』 Intore(原題)ルワンダ
『アントノフのビード』 Beats of the Antonov(原題)スーダン、南アフリカ
アフリカを/から観る
YIDFF2017の目玉特集「アフリカを/から観る」の中からこの二本に期待しています。
アフリカ各国で巻き起こった内戦の悲しみを描き、再生への想いを音楽とダンスを通じて描く2本。いずれも60分台の中編作品で、8日(日)に続けて上映されます。
本映画祭で初めて出会い、近いテーマで作品を作っていたことを知ったという、『イントレ』のEric Kabera監督と、『アントノフのビード』のHajooki Kuka監督の上映後トークも楽しみです。
映画を通じて世界情勢を知れることこそ、山形国際ドキュメンタリー映画祭の醍醐味の一つだと思います。
上映日:『イントレ』 8日 10:50〈山形美術館1〉/『アントノフのビード』 8日12:50〈山形美術館1〉
有田浩介 プロフィール
サニーフィルム代表。2004年メジャーレコード会社勤務よりフリーランスへと転職。2010年にサニー映画宣伝事務所名義で映画宣伝へと転職し国内外のドキュメンタリーを中心にパブリシティー業務に従事する。2015年に『シリア・モナムール』を初配給する。2017年サニーフィルムへと改名し、国内外の映画祭を周り、映画の買い付け、国内の劇場や地域の美術祭での上映をしている。映画の発掘、契約、制作、営業、宣伝を全て一人で行う、「一人でもできる映画配給」(マイクロディストリビューション)を目指している。
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