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坊主が描く、寺とまちのこれから

「龍口テラス」イベントレポート

2017.12.28
坊主が描く、寺とまちのこれから
龍口テラスの運営者のひとり、龍口山妙典寺の塚本住職

先日、龍口寺をまちの人たちに身近に感じてもらうために生まれた、イベント「龍口テラス」を取材した。そこで坊主が描く、お寺のあり方を伺った。

龍口テラスとは、龍口寺や周辺地域等で開催するイベントの総称で「terrace」と「照らす」、「寺す」などの意味が込められた、とんちの効いた愛称である。龍口寺はかつて、片瀬(藤沢市)、腰越(鎌倉市)の8つの寺院で交代に管理されていた歴史(輪番制度)を持つ。その8つの寺院のひとつであり、龍口テラスの運営者である、鎌倉市腰越にある龍口山妙典寺の住職、塚本住職に話を伺った。

龍口テラスは、龍口寺の年中行事である「龍口寺御会式(おえしき)」に合わせて開催された。御会式とは日蓮宗の祖師日蓮聖人の忌日の法要のことで、毎年11月21日に執り行われる。また、龍口寺では50年という期間をひとつの節目と捉えており、文永8年(1271年)の瀧ノ口のご法難から750年の節目を迎える2020年に向けて、龍口寺を中心にさまざまな活動に取り組む「龍口法難750」というプロジェクトのひとつとして、この龍口テラスが開催された。

坊主が描く、寺とまちのこれから
龍口寺境内の施設|山の斜面に点在する施設ではそれぞれから見える風景も魅力

場所は江ノ電の江ノ島駅から徒歩3分、ちょうど江ノ電が路面電車になる部分に龍口寺はある。境内には五重塔や彫刻の装飾が素晴らしい仁王門、遠くから見ても「あれはナニ?」と不思議に思う白亜の塔、仏舎利塔など山の敷地を存分に活かした施設がある。

今回の龍口テラスは、8つの寺の住職と地域の人によって開催された。住職たちによるお坊さんの解説付き境内散歩、水行体験、坊主カフェと共に地域の人による出店やヨガ体験や朱印帳ワークショップなどが行われた。取材中、住職はこのイベントに移住者と地域の人をつなぐヒントがあるのではないかと語った。

坊主が描く、寺とまちのこれから
「龍口テラス」では坊主とまちの皆さんで作られたアイディアと龍口寺の伝統法要がつながる(写真提供:石田組)

今回の龍口テラスでは、境内の大書院という大きな畳敷きの部屋で行われた「てらヨガ」や模擬店の出店者である三浦市三崎の「ミサキドーナツ」など、移住者がキーマンになっている。こうしたキーマンは東京からの移住者であり、彼らから自然と声が出るものが形になっている。

近年、地域とお寺の関係は希薄になっている。一方で、港町である腰越、片瀬エリアには祭りを生きがいにしている祭り好きな文化が根底にある。ここに移住者が魅力を感じて移住しており、彼らの声をまちにつなげる縁結びこそが、お寺の役割なのではないか。

東京オリンピックも2020年(龍口法難750と同じ年!)、ここ江ノ島でセーリングが行われる。インバウンドの方にもこの地域の魅力を伝えたい。例えば、ヨガなどにも精通する、世界中で注目されている「マインドフルネス」という考え方は、日蓮宗の修行法のひとつである「唱題行(しょうだいぎょう)」と近いものである。サーフィンやSUPなどを楽しむ方にも同じような効果を感じているのではないか。こうした考え方をもっと身近に地域の人や遊びに来る人に伝え、人と人をつなげていきたい。

坊主が描く、寺とまちのこれから
塚本住職はお寺のあり方の未来に移住のヒントが隠れていると教えてくれた

お寺は風景であってはならない。

取材中、塚本住職の言葉の中で強く印象に残ったものだ。750年続く龍口寺の歴史は、鎌倉時代から現在まで、そのあり方をその時代に合った形に変えながら、地域に必要な存在であり続けてきた。地域の子供にとって寺は遊ぶところ。観光客へはこの地域の魅力を知ってもらう場所。龍口テラスは寺のあり方を模索しながら、移住のヒントになっていくのではないだろうか。

次回は来年4月1日(日)に開催される予定が決まり、坊主たちはそれぞれに、寺とまちの未来を描き始めている。

名称

龍口テラス

URL

Facebook

https://www.facebook.com/ryuko750/

 

 

住所

藤沢市片瀬3丁目13−37

 

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