和菓子おやつ食べ比べ【後編】
金沢グルメ・リアル研究会 Vol.2
加賀百万石の伝統を受け継ぐ老舗・高級グルメから、リーズナブルな庶民派まで、幅広くて奥深い金沢グルメ。そんな金沢の味を「real local金沢」の食いしん坊が食べ比べる、新企画の第2弾は日常使いの「和菓子おやつ」がテーマ。今回は女子3人でレポートします。
「金沢グルメ・リアル研究会」に新メンバー登場
山岸奏乃花(左):
「金沢R不動産」のインターンにして研究会の新メンバー。石川県能美市の出身、東京の大学で社会学を専攻する21歳。幼少期より和菓子が好きで、和菓子偏差値はかなり高め!
笠原美緑(中):
「金沢R不動産」スタッフ。金沢の大学へ進学してから、周囲に影響されて和菓子を食べるように。金沢で和菓子文化にカルチャーショックを受けた、お隣り富山県の出身。
坂下有紀(右):
ライター、この研究会の書記を担当。甘いものよりはご飯党、お菓子もしょっぱい(塩味)系好き。茶道の経験があり、そこで和菓子の魅力に出会った。同じく富山県の出身。
【5】「まめや 金澤 萬久」の「しみみ 黄な粉チョコ」
山岸:あ、この豆型の箱は、V6の岡田くん&宮崎あおいちゃんが結婚報告に使って話題になった「まめや 金澤 萬久」さんですね。
笠原:これも社内調査でおすすめされたお菓子で「しみみ」といいます。
坂下:ここの炒り豆やチョコをかけた豆菓子は食べたことがあるけど、「しみみ」って何?
山岸:一口サイズの黒豆おかきに、チョコレートを染み込ませてあるそうです。
坂下:一見、カリッ、サクッと焼けたおかき風だけど、噛んでみると、しっとり、じわっと身が詰まってる感じ。チョコレートが浸透したなめらかな食感と、ホワイトチョコのようなフレーバーがあるね。
笠原:この食感が面白いですね。いい意味で見た目の印象を裏切ってくれる。
山岸:これは黄な粉味の方ですが、もう一つほうじ茶バージョンもあって、そっちも気になります。両方買ってくればよかったな。
坂下:この豆型の容器も、絵柄がいろいろあって、九谷焼の職人さんが一つひとつ絵付けしているんだって。
笠原:印刷じゃなくて、全部が手描きですか。手間暇かかっとるねー。
山岸:素材もこだわっているんですよ。一緒に入っているシオリによると、「金沢大地」さんの有機大豆に、能登の「二三味」さんの能登の黒豆・・・。
坂下:生産者の顔ぶれを見ても、厳選素材を使っていることがわかるね。
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まめや 金澤 萬久
所/石川県金沢市岩出町ハ50-1 ぶどうの木本店敷地内
TEL 076-258-3366
営/9:30〜19:00
休/不定休
P/あり
http://www.mameya-bankyu.com
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【6】「柴舟小出」の「柴舟」
笠原:この「柴舟」は先輩スタッフのおすすめです。
坂下:「柴舟」といえば「柴舟小出」さんというくらい、金沢を代表する銘菓。同じ「柴舟」という名前の生姜煎餅は他のお店でも作られているけど、金沢特有のお菓子なのかな?
山岸:ネット検索で調べたら、加賀百万石の伝統銘菓で、柴を積んで川面を渡る川舟を柴舟(しばふね)と呼び、その形に似せて煎餅を反らし、生姜汁と砂糖を丹念に塗ったものとあります。でも詳しいいわれは、はっきりしてないみたいです。
笠原:リサーチによると、男性ファンが多いみたいですよ。おすすめしてくれた先輩のおじいさんの大好物で、いつも買ってきてくれと頼まれたそうです。男性スタッフのデスクの引き出しにストックされているのを見たこともあります。
坂下:このピリッと辛い生姜の風味が男性に人気なのかな。甘みも結構強めだけど、生姜の辛味のパンチがきいてるよね。
山岸:ベースの煎餅も厚めで食べ応えがあって、表面を生姜蜜でコーティングしてあるからカリッ、パリッとしたハードな食感も特徴的です。辛いのが苦手な人にはNGかもしれないけど、生姜好きにはたまらないお菓子。生姜の爽やかな辛さ×蜜の甘さの組合せはクセになりますね。
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柴舟小出
所/石川県金沢市横川7-2-4
TEL 076-241-3548
営/8:30~19:00、日曜・祝日8:30~18:00
休/1月1日、2日
P/あり
https://www.shibafunekoide.co.jp
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【7】「金沢 うら田」の「愛香菓」「こい茶」「さい川」
笠原:「愛香菓(あいこうか)」は私のイチオシです。
山岸:「こい茶」「さい川」は私のお気に入りです。
坂下:私も「うら田」さんの「加賀八幡 起上もなか」を持ってこようか迷ったんだけど、二人ともしぶいところ攻めてくるね。
山岸:まずはこの「こい茶」を食べてみてください。
坂下:わ、抹茶感がすごい! 濃厚で苦味もあって、確かに「濃茶(こいちゃ)」だわ。これを食べると、今まで食べてきた他の抹茶味のお菓子は「薄茶(うすちゃ)」なんだって実感する!!
笠原:この煎餅、サクッと芳ばしくてクッキーみたい。
坂下:間にサンドしているのも抹茶クリームだから、ちょっと洋菓子感覚の和スイーツだね。
山岸:もう一つの「さい川」は、ウエハースでクリームを挟んだような、フワッとやさしい食感。
坂下:こっちの煎餅は最中種(最中の皮)を使っているんだ。煎餅も中のクリームも軽やか〜。
笠原:「愛香菓」もぜひ。口の中でほろほろ、ふわっと広がる甘さと香り、口溶けが好きなんです。
山岸:ん〜、やさしい甘さ。この香りは何ですか? スパイス?
坂下:これはニッキ、つまりシナモンだよ。
山岸:そっか、京都の八橋の香りだ。
笠原:シナモンのほかにもアーモンド、レモンピールも入っていて、その香りが溶けあって独特の風味を作り上げているそう。加賀棒茶やコーヒーにも合いますよ。
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金沢 うら田
所/石川県金沢市御影町21-14
TEL 076-243-1719
営/9:00~18:00、日曜9:00~17:00
休/1月1日・2日
P/6台
http://www.urata-k.co.jp
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【8】「はやし菓子店」の「すはま」「栗千両」
笠原:こちらも私が好きな和菓子おやつです。「すはま」の素朴な味わいに癒されます。
坂下:「はやし」さんの「すはま」は豆の風味がすごく感じられるね。「すはま」って大豆・青豆を煎って挽いた粉に、砂糖や水飴を加えて練り合わせて作る和菓子だけど、もともとは京都が発祥みたい。江戸時代には「豆飴」と呼ばれていたらしい。
山岸:棒状になったものもみますが、「はやし」さんのは、もう少し短く切った粒状の一口サイズですね。大豆味のモッチリとした、ソフトキャンディって感じ。
笠原:最近は若い人に人気があるそうで、日持ちもするし登山に携帯する人もいるらしいよ。
笠原:お次は、じゃじゃーん「栗千両」です。
坂下:ええっ!!
山岸:おおっ!!
笠原:えへへ、あまりのビッグサイズに驚いたでしょう。これは栗饅頭なんですが「一味千両に値する」という意味で名付けられたそう。サイズがわかるように通常サイズの栗饅頭「小栗」も並べてみますね。
坂下:こ、これ、「栗千両」一つで「小栗」の何倍あるの?
笠原:重さでいうと5倍あるそうです。
山岸:決して「小栗」が小さいわけではなく、遠近感がおかしいわけでもなく、リアルに巨大・・・。
笠原:千両に値するのはサイズだけでなく、味も含めてなので、さ、切りますよ。
坂下:中には大粒の栗が丸ごとゴロンと入っている。まわりは白餡。
山岸:香ばしく焼けた皮も、パサパサしてなくて、しっとり加減がちょうどいい。
坂下:白餡の甘さも上品だね。栗が甘く煮詰めてなくて、本来の栗の風味が感じられるのがいいな。
笠原:だいたい4等分して食べるのが一般的みたいけど、栗の争奪戦になるかもしれないんで、私は1人で1個食べたい派。やさしい味なので、意外とペロリと食べられちゃうんよね。
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和菓子処 はやし
所/石川県金沢市主計町1-10
TEL 076-231-7517
営/9:00~18:30
休/日曜
P/なし
https://www.instagram.com/explore/tags/和菓子処はやし/
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「和菓子おやつ」研究のまとめ
坂下:これだけの量を3人で食べきれるの?って心配したけど、やっぱり食べきれなかったね。
笠原:大丈夫ですよ。残りはスタッフ皆のおやつになりますから。おすそわけ、おすそわけ。
坂下:そういえば、金沢の人って「おすそわけ」「おもたせ」をよくするよね。公私を問わず、手土産にお菓子を持って訪問する習慣が他県よりも根付いている気がする。
山岸:私の家では、両親や祖父母も和菓子好きだったので、子供の頃からいつも和菓子がありましたが、それも手土産のついでに自宅用も買って帰るというのが多かったからですね。
笠原:会社でもお客さんが手土産にお菓子を持ってきてくださったり、こちらからお菓子を持って訪ねることも多いです。
坂下:あと、金沢は茶道を嗜む人が多いから、和菓子屋さんの多さやクオリティの高さは、その影響もあるよね。生菓子、干菓子、最近は和洋折衷などバラエティ豊かだし。
笠原:今回、社内で「和菓子おやつ」をリサーチして、皆それぞれに「推し和菓子」があることに一番驚きました。金沢の人は行きつけの和菓子屋があるようで。
山岸:本当にいろいろありましたね。私も食べてみたかった和菓子、知らなかった和菓子もあって、買い出しに行くのも楽しかったです。今回の研究で好きな和菓子レパートリーが増えました。
坂下:いかにも金沢の代表銘菓っていう和菓子ばかりが集まるかと思ったけど、そのお店の看板商品ではない影の番長的な実力派や、地元の人だから知る名品も登場したり、観光の人気お土産とは一味違う地元人が愛する逸品が揃った感じだよね。
笠原:金沢は和菓子屋さんが多いとは思っていたけど、さらにお店ごとのお菓子もバラエティ豊かで、加賀百万石の奥深さをここでも実感しました。和菓子ビギナー、これからも精進します!