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「ながはまエリアリノベーション事業」スタート! 8/17キックオフ講演会開催 レポート

琵琶湖の北側に面し、歴史的建造物の黒壁で数十年前に観光の一大スポットとして多くの人を引き寄せた長浜。大阪からも京都からも名古屋からも比較的近いようでちょっと距離がある。そんな場所だからこそ独自の文化が育ってきているこのまちで、今年からエリアリノベーションの事業がスタートします。そして、そのキックオフ講演会が8/17に行われました。
★次回開催「ながはまトレジャーハンティング」(10/8)の参加者を募集しています!(問い合わせ先は記事末)

「ながはまエリアリノベーション事業」スタート! 8/17キックオフ講演会開催 レポート

「ながはまエリアリノベーション事業」とは

滋賀県長浜市は琵琶湖の北部に位置する歴史と伝統が今も色濃く残るまち。市内中心部にはレトロな街並を活かしたガラス工芸体験やアートギャラリーの複合施設・黒壁スクエアや長浜大手門通り商店街、長浜曳山博物館などの観光スポットが点在し、現在も週末には京阪神や中京圏からの観光客で賑うエリアです。

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週末は観光客で賑わう黒壁スクエア周辺

まちづくりに関わっている方は、「長浜といえばまちづくり先進地域」という認識を持っている方も多いのではないでしょうか。長浜は約30年前、古い街並みを再生しガラス文化という新たな概念をまちに導入するという大胆なまちづくりを民間主導で行い、一躍まちづくり先進地域として発展した歴史をもっているまちです。

ただ、その長浜市も、近年中心市街地の空洞化、空き家や空き店舗の増加という問題を抱えるようになりました。そこで今回、観光のまちとして発展した長浜市のこれからを市民のみんなで思い描き、実践していく取り組み「ながはまエリアリノベーション事業」をスタート。8月17日金曜日、そのキックオフとなる「エリアリノベーション講演会」を開催しました。

会場は幅広い年代の方々で満員に!

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講演会はお盆明けの夜7時からの開始となかなか集まりにくい時間帯にもかかわらず、定員をオーバーするほどの市民の方がご来場くださいました。その顔ぶれは20〜30代の若い世代から古くからのまちをよく知っておられる大先輩の方までさまざま。みなさんのこの事業への関心の高さがうかがえます。

まずは冒頭、「ながはまエリアリノベーション事業」の概要とスケジュールを案内後、主催の長浜市産業観光部長の松居雅人さんよりご挨拶。約30年前に長浜の商店街が危機に陥り、そこから商業観光の取り組みを経て成功した経緯とともに、今現在は観光客の増加はあっても、中心市街地への定住人口の減少が問題になっている点を指摘、「これからはじまるエリアリノベーション事業によって、その問題解決の緒を見つけたい」と話されました。

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長浜市産業観光部長の松居雅人さんよりご挨拶をいただきました
オープン・エー代表 馬場による講演「ながはまの新しい日常をつくろう」
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馬場正尊

続いてオープン・エー代表 馬場正尊による「エリアリノベーション」についての講演。長浜のこれからのまちづくりを考える上で、観光とはまた違った切り口の「ながはまの新しい日常をつくろう」というコンセプトの概念を説明していきました。

馬場も約25年前にまちづくりの最先端事例視察として長浜を訪れたことがあったそう。その長浜を次のステップに進めるためには、「どこかの誰かがやるのではなく、自分で関わってやる」つまり住民主体、自分の日常のなかにまちづくりが入ってくることが、このまちの未来に大切なのでは?と話しました。

その後、自分たちの取り組みのなかで、まちとそこに住む人々の意識が変わってきたかの例として、オープン・エー設立当初のエピソードを紹介。大きなお金をかけすぎず、かっこよく見せる「白く壁を塗っただけ」の秘技、「古いところをできるだけ多く残し、新しい部分との対比を見せる」手法についてもチラリと披露、会場のみなさんの中には、熱心にメモを取る人も多く見かけられました。

古い町並みの整備で栄えた観光地。川越と長浜の状況は似ている?

もうひとつ紹介されたのが埼玉県川越市のエリアリノベーション事例です。このまちも長浜市同様、古い街並みの整備によって観光地として栄えた歴史があります。

川越のまち並み整備による観光地としての成功は、一方でメインストリートに面した店舗の地価上昇を呼び、若い世代が参入できなくなるという問題にぶち当たります。店の新陳代謝が起こらず、新たなテナントは多額の賃料を払える都会の大手チェーン店ばかり。

ただ、観光エリアから道路一本外れたエリアには閉店した店や空き家になった家などが点在。その問題を解決するため、2016年より「川越エリアリノベーション事業」を川越市が主催して開催。空き家や空き店舗などの遊休不動産物件をまちの資産と捉え、使用方法を検討するワークショップなどを通して、実際にそれらがカフェやシェアオフィスに変貌。こうして生まれたあたらしい施設たちによって真っ暗だった街に明かりが灯り、人が寄り付かなかった暗い雰囲気は一掃、今ではその動きが他のエリアに波及していったという経過を紹介していきました。

「ながはまエリアリノベーション事業」スタート! 8/17キックオフ講演会開催 レポート
川越エリアリノベーション事業がきっかけで生まれた株式会社80%の運営するリノベーション事例

点のようにできた拠点のまわりに、次なる変化が生まれ、連鎖し、それがやがて面になって、地域の雰囲気がぐっと変わっていく。それがエリアリノベーションの醍醐味です。
長浜のまちの中心部も、川越同様、周辺エリアに空き家などの遊休不動産がある似たような状況にあります。長浜のまちを歩いた馬場は、「僕的にはめっちゃいい物件」という古く寂れた風の建物を嬉々として紹介し、会場の笑いを誘っていました。

「ながはまデザイン会議」は地元のプレーヤー4人が集合

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会の後半は、「ながはまデザイン会議」。長浜で活躍する主に若手のプレイヤー4名をお呼びして自己紹介とトークセッションの時間をとりました。

長浜にUターン、新たな業態のギフトショップを立ち上げた株式会社わたなべ陶器・渡辺浩之さん

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渡辺浩之さん

まず最初にお話いただいたのは、株式会社わたなべ陶器・渡辺浩之さんです。渡辺さんは長浜出身、大学で東京に出て4年ほどサラリーマン生活をしたのちUターン。家業は明治27年創業の老舗ですが、町の商店街にある陶器の小売や卸の仕事だけでは発展性は見込めないと、2014年まちなかではなく長浜市郊外のロードサイドで150坪のギフトショップcocoiroを立ち上げました。渡辺さんはいずれは伝統ある宮町通りにある店舗ビルを活かし「まちとともに人生を終えたいという思いもある」と長浜愛を語ってくださいました。
【株式会社わたなべ陶器】

激務のコンサル会社を退職、仕事で縁があった滋賀に惹かれ移住したあふみ舎・宇留野元徳さん

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宇留野元徳さん

あふみ舎の宇留野元徳さんは企業城下町で知られる愛知県豊田市出身。地元への愛着もあまりないまま大学卒業後は福岡のコンサルティング会社に就職、月の3分の2がホテル暮らしという生活を続けているうちに「趣味で購入した民芸の器を使う時間すらない」生活に嫌気がさし、偶然滋賀のまちを紹介する仕事をしているうちに移住を決意。現在は「長浜くらしノート」などの移住定住紹介冊子の発行を担うなど地域の魅力発信事業やグラフィックデザインの仕事などを行っています。

自己紹介を聞いた馬場は「職業を横断して、しかもそれをすごく楽しそうにやっているニュータイプ」と指摘。宇留野さんのライフスタイルは日常と仕事がクロスオーバーする「新しい日常をつくる」モデルといえるでしょう。
【あふみ舎】

子育てしつつ職住一体で古着ショップを経営するtetra池田友紀子さん

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池田友紀子さん

女性もおひとり登壇してくださいました。tetraの池田友紀子さんは、結婚・出産をきっかけに3年前、別のテナントビルから、長浜八幡宮“八幡さん”の近くにある一軒家で古着ショップをオープン。職住同居にて、子育てをしながらもひとりで切り盛りできる業態で、生活と店のバランスをとりつつ、朝ヨガや琵琶湖でゴミ拾いをするサークル活動など、闊達に活動されています。

「昔だったらよくあるパターンだよね。店の奥で家族が住んでるって」と話す馬場。確かにそうした形態の家族経営なお店が昔はほどんどだったかも?一周回ってこうしたハイブリッドな職住近接のかたちがまた新しい形態として、まちに戻ってくる時代なのかもしれません。
【used★clothing tetra】

長浜まちづくり株式会社勤務 /湖北の暮らし案内所 「どんどん」運営 竹村光雄さん

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竹村光雄さん

長浜まちづくり株式会社の竹村光雄さんは、長浜のまちなかの路地裏の水辺に、築80年の長屋をリノベーションした小さな秘密基地のようなシェアスペース「湖北の暮らし案内所 どんどん」をつくり、運営しています。

竹村さんは茨城県出身で東京で建築や都市計画デザインを行っていましたが、地方地域と関わる中で、地元の人との交流が限られることにストレスを感じ、どこかのフィールドで実践的にまちの中を盛り上げたいと思っているうちに、長浜との縁ができ、段階的に少しずつ移住をしていったという経歴の持ち主。

今は運営しているシェアスペースを舞台にビアガーデンを開催したり、「仕事前にマウンテンバイクで山に行ったり、川で鮎の投網の投げ方を地元の人に学んだりしてます」という、なんとも羨ましい日常を送っておられるようです。
【湖北の暮らし案内所どんどん】

新たなまちの魅力づくりに向けて、実践的なエリアリノベーション事業、スタートです

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4人のゲストと馬場によるクロストークでは、「長浜で生活する幸せとは?」という問いが投げかけられました。みなさんの答えに共通するのは「地域のコミュニティーの濃さ」。一度は都会に憧れて離れた人だけでなく、移住した人も「曳山祭り」という強い歴史ある文化を通じて、ふだん自分に関わらない違う年代や属性の人と仲良くなるきっかけが生まれ、そこから改めて地域の中に入り込んでいくことが可能になったと話します。
また、長浜のくらし全体をデザインする仕事をしている竹村さんは、半ズボンのような気楽な格好で仕事に行けるという例を挙げて、「仕事と生活の距離が近く、長浜のアウトドア遊びを提案するのも仕事のうちという仕事と遊びの境界線が曖昧でシームレスにつながっている今の仕事環境も満足度が高い」と話しました。

逆に「改善すべきところは?」という質問に対しては、「(郊外のロードサイド店は成功したけれど)長浜のまちなかにある古くからの店舗も変化させたい。ただ、アイデアはまだなく膠着状態」「古着ショップは業態として観光客相手の商売ではなく、ショップがある裏通りには人が歩いていない場合なども多く、集客に苦労することも」「中世から続く濃密すぎるコミュニティーが大変なこともある」など、課題も見えてきました。

「ながはまエリアリノベーション事業」スタート! 8/17キックオフ講演会開催 レポート
クロストークでは、多様な立場から見る今の長浜への本音が交わされた

会場からの質問では、エリアリノベーションが成功したあとにまた地価の上昇などの問題が起こらないか?といった、鋭い質問も続出。

馬場も「ズバーッと来るね」と会場のみなさんの問題意識や関心の強さに驚きながら、「東京は確かにあるかもしれないけれど、地方はエリアリノベーションなど努力して現状維持が精一杯。何もしないと衰退しかないのでは」と答え、さらに「(エリアを)何もしないという選択肢はあるのか?」という追加質問についても、「社会・価値観が変化しているから、まちの雰囲気がずっと変わらないことは価値になる。ただし変えないための積極的な努力は必要かも」とコメントしました。

30年前に黒壁スクエアの整備など大きな投資で結果を出してきた先進気鋭の風土をもつ長浜。これからどうアップデートしていくか?「ながはまエリアリノベーション事業」はこれから、まちを歩いて魅力を探す「ながはまトレジャーハンティング事業」や「まちづくりCAMP」など、実際にまちの空き物件などを紹介しアイデアを練っていく実践型のプロジェクトとして動いていきます。

点を面に広げていく長浜のエリアリノベーションの試み。現在、下記スケジュールにてイベントが行われる予定です。reallocalでも事業の進捗を随時アップデートし、共有していきます。長浜のまちのこれからの動きがとても楽しみです!

「ながはまエリアリノベーション事業」スタート! 8/17キックオフ講演会開催 レポート
今回ご登壇いただいたみなさん。これからもよろしくお願いします!

text by 西村祐子/photo by 長浜ローカルフォト(田中仁、山内美和子)

備考

『ながはまエリアリノベーション事業』今後のスケジュール
10月8日(月) ながはまトレジャーハンティング
12月13日(木) ながはまデザイン会議
1月12日〜13日 まちづくりCAMP

★次回開催「ながはまトレジャーハンティング」(10/8)の参加者を募集しています。ふるってご参加ください!
 お問い合わせ・お申し込みは「長浜エリアリノベーション事業」 長浜市役所産業観光部長浜駅周辺まちなか活性化室
※リンク先ページの右側に問い合わせ連絡先が書いてあります。