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【人ガイド】地元の愉しみ方。県外とのつながり方。

「ながはまエリアリノベーション事業」のテーマは“日常”。ということで滋賀県長浜市の生活者たちの実像を伝えるシリーズ、始めます。まずは市内で設計事務所を営むMAFIS_designの佐野元昭さん。

【人ガイド】地元の愉しみ方。県外とのつながり方。
伊吹山でのバックカントリーの写真。スノーボード好きな佐野さん、平日でも仕事が早く終わったら少し滑ってから帰宅する。
Uターン後、地域に根ざしたイベントを仲間と行った

――佐野さんは長浜市の生まれで大阪の大学、その後東京勤務でゼネコンで働いた後に戻ってこられたということですが、こちらでの仕事はどのように創っていったのでしょう?

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湖北の暮らし案内所「どんどん」。この中に佐野さんの設計事務所がある。
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レンタルスペース、レンタルキッチンなどもあり、街の人々がイベントにも使っている。

長浜は“湖北”と呼ばれる滋賀県の琵琶湖の北東部にあたる地域の中にありますが、戻ってきた当初は、滋賀県の湖東地域の近江八幡市でサラリーマンをして、それからこっちで独立しました。徐々に割合的に湖北の仕事が増えていき、今では全体の売上の7〜8割をこの辺りの仕事でやっていけるようになりました。

その過程としては、地域に根ざしたイベントやまちづくり的な活動をしていたことが大きかったです。

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MAFIS_designのオフィス。川に面しており、せせらぎの音が聞こえる。
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佐野元昭さん。

湖北の街の魅力を誇りに思うために

――例えばどんなイベントですか?

もともとは高校時代の先輩で、東京でコミュニティーデザインの仕事をしている人が「湖北の地域を何とかしたい」と、僕らのように長浜に住んでいる人たちと、長浜出身だけど現在県外に住んでいるクリエイティブな仕事をしている人たちをつなげて団体をつくったことがきっかけで。そのグループが中心となって湖北の町の魅力の再発見をする企画やイベントを行うようになったんです。2011年の春から参加しました。僕のように建築の仕事をしている人もいれば、WEBデザイナーの人もいれば、東京の広告代理店に勤める人もいます。そんな面々で、週に1〜2回、スカイプで会議をし、企画していました。

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「湖北地方の新しい地域活性化とまちづくり」を掲げ、さまざまな企画を行ってきた団体「KOKOKU」。現在はその役割を終え、それぞれの活動に引き継がれている。写真は2014年「奥びわ湖冒険カヤック」イベントの模様。
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湖北地域全域をまるごとキャンパスにした「コホクキャンパス」のサイクリングイベント。

たとえば長浜の郷土料理を研究されている方に協力していただいて地元の小学校の調理実習室を借りて料理教室を開催し、さらにそれで出来た料理を近くのお寺に持っていき、お寺の本堂でたくさんの人々と一緒に食事会やワークショップを行ったりしました。

参加者の7割くらいは地元の人々で世代は問いません。しかし残りの3割は県外から人を呼ぶことを意識しました。地元のおっちゃんやおばさんたちに依頼し語り部/ガイドになってもらいつつ、それによって世代を越えたコミュニティーができ、なおかつ “外から見た”その地域への評価も加わることで、地元の人自身が自分の街を再発見できるようになる。
こうやって地元を中心に人の輪を充実させられるようになり、そうこうするうちに、僕自身もただ仕事をしているだけではおそらく出会わなかったであろう人たちとのネットワークを築いていけました。

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「KOKOKU」活動内容(初期の資料)。KOKOKUとしての活動は2015年度まで続いた。
MTB、バイク、スノーボード

――現在の日々の働き方はどんな感じですか?

僕はこの「どんどん」(※注)がある場所から北東に10kmくらいの山側のエリアに自宅があるのですが、季節の良いときはそこからマウンテンバイクで、川沿いの集落を巡りながら出勤しています。ときどきバイクでも通勤しますが、そのときはいつもより少し早めに出て、琵琶湖の北側にある見晴らしの良い辺りを通るルートで、湖岸に沿って通勤することもあります。

また長浜は豪雪地帯でもあるのですが、冬になるとスノーボードの板を積んでおいて仕事が早めに切り上げられるときはナイターでちょっとだけ滑って、それから家に帰るということもしていますね。

――山が近いですからね。

そうですね。伊吹山に夜登って朝のご来光を見てから早朝5時くらいに下山したり。冬は自宅でも薪ストーブを使っているんですけど、うちの集落で持っている林があるので、薪を調達するために山に行ったりしますよ。自分で木を切って薪にして。

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オフィスのかたわらには薪ストーブ。
長浜の建物は宝である

――東京時代と現在と、設計の仕事の内容はどう違いますか?

東京時代は勤めていた会社の性格上、高層マンションとか病院といった大きな施設を手がけることが多かったですが、自営になってからはほぼ戸建て住宅、個人経営の飲食店、美容室などが多いですね。

――長浜のまちなかは古い町家がたくさん残されていますが、町家の保存や活用についての佐野さんや周囲の考え方はどんな感じですか。

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「どんどん」に拠点を移した頃から曳山祭りの魅力に取り憑かれ、町内の若衆入りに志願した。
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長浜出身の日本三大茶人の一人、小堀遠州公が流祖である遠州流茶道のお茶会でのワンシーン。

長浜に多く残る町家群は、宝の山のように感じていますし、事実、この「どんどん」(※)のように、古い建物を工夫しながら使っていくのが面白いと感じていますが、身近な建築・不動産業界の人で共感する層が本当に少ない。それが実状ではあります。

長浜市はどんどん古い建物を壊して建て替えていこうという世の中の風潮のときにそれをしなかったということが結果的に良かったし、そのおかげで残った街並みが財産になっている。場所によっては400年前、信長や秀吉の時代からほぼ変わっていない眺めなども残っていたりする街です。そうしたものを唯一無二の財産と捉え活かしていこうとする価値観を持った仲間が増えていくと嬉しいです。

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山登り、渓流釣り、スノーボード……自然をフィールドに遊ぶコンテンツには事欠かない。
地元に本社、大都市にサテライト

――将来的に、事業者としてどういう動きをしていきたいと思いますか?

長浜の衣食住全体を表現できるようなチームで東京にサテライトオフィスやショップの機能を持った交流拠点をつくれたらと妄想しています。これまで企業というのは、どちらかというと東京や大阪に本社、地方に支店という編成だったと思いますが、これからはその逆で、地元に本社、大都市にサテライトという組み合わせでもいいんじゃないかと。江戸時代にはそうだったわけですから(笑)

 

※ 「湖北の暮らし案内所 どんどん」……築80年以上の長屋をリノベーションして地域の暮らし案内所として使用している建物。地元の人たちのための集会所だったり、キッチンを貸出するレンタルスペースだったり、いろんな顔を持つ。佐野さんのオフィスもこの中に入っている。
http://dondonbashi.com/

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MTBの通勤以外に、ときどきはバイクで琵琶湖の湖岸道路を走って会社に行くことも。「仕事を始める前の、準備運動みたいな感じです」

*今年から始まった「ながはまエリアリノベーション事業」。問い合わせは長浜市役所産業観光部長浜駅周辺まちなか活性化室まで。
参考記事:「ながはまエリアリノベーション事業」スタート! 8/17キックオフ講演会開催 レポート

屋号

MAFIS_design.

URL

http://mafis-design.com/

住所

滋賀県長浜市元浜町15-10湖北の暮らし案内所どんどん1階

備考

代表者 佐野元昭

1979年滋賀県長浜市生まれ。大学は大阪、就職は東京。結婚を機に東京の会社を退職し長浜にUターン。27歳で自分の事務所MAFIS_design.を構え独立。現在39歳、3女の父。登山、スノーボード、MTB、バイクなどが好きで、最近はテンカラ釣りに挑戦中。また、遠州流茶道をたしなむ。