real local長浜 » 【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-【リミテッド記事】

【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-

滋賀県長浜市で行われている「ながはまエリアリノベーション事業」。
歴史あるまちの魅力を地域資産として価値を再認識し、新たな事業を通して「これからのながはま」を描き、実践していく取り組みです。2019年1月12〜13日の2日間、その集大成として「ながはままちづくりCAMP」が行われました。

後編はこちら

【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-
CAMP初日朝10時の気温が4℃。しんしんと冷えるなか続々と参加者が集合し、2日間のプログラムがはじまりました。

「まちづくりCAMP」は、エリアの課題を解決し、エリアに変化をもたらし、価値をあげていくための事業をつくり出す2日間のプログラム。まちに眠る魅力の原石を宝物のような事業に変えるため、グループでプランを妄想し、具現化するための企画案を、サポート講師陣とともにブラッシュアップしていきます。

2日間で価値ある事業をつくりだす「まちづくりCAMP」
【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-
自分の欲しい暮らしを実現するための一泊二日。

2日間という短い時間のなかで、いかに地域の未来にとって価値ある事業のアイデアを膨らまし、現実化していくことができるか、そのプログラムとは?

1日目は「妄想をしまくる」日。今回のまちづくりCAMPでは、対象地域や物件の調査をした上で、どんなことができるのか?を妄想し、アイデアを出し切ります。
2日目は「理想をリアルにする」日。初日で出たアイデアとビジネスプランを、現実的な事業計画として誰が、いつ、どのように行うのか?をブラッシュアップしていきます。

自分たちがやりたいと思ったプロジェクトであることは大前提ですが、その事業が受け入れられ、点の事業がエリア全体に波及していくのか、共感力の高いプレゼンテーションが求められます。
そして、まちづくりCAMPでは、その課題をサポートする協力講師陣が集められました。

一人目は都市計画家・株式会サルトコラボレイティブ代表取締役の加藤寛之さん。

【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-

加藤寛之

※プロフィール(リーフレットの文言から抜粋)
1975年千葉市生まれ。大学在学中より、まちづくり系シンクタンクCOM計画研究所にて景観形成・中心市街地活性化に関する業務に携わる。2008年株式会社サルトコラボレイティヴ設立。現在は、丹波市、伊賀市、大阪市、大東市、三田市等の地域再生業務に従事。地元大阪阿倍野のまちで地域の価値を高める仕組みとして、店舗や人材を守り育てるバイローカルプロジェクトや自身がパン職人となって経営するTHE MARKET、ストックリノベーションによる有休不動産活用等もライフワークとして取り組んでいる。

 

2人目は、株式会社アップテラス代表取締役の岡部祥司さん。

【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-

岡部祥司

※プロフィール(リーフレットの文言から抜粋)
1997年株式会社竹中工務店入社。会社員時代から一般社団法人横浜青年会議所に入り、理事長にも就任。その後2011年株式会社アップテラスを創業、ウェブを中心としたコミュニケーションデザインの提案を行うほか、2014年、NPO法人ハマのトウダイ設立、共同代表となり、公園など公共空間の活用をテーマに活動。2016年10月(株)スノーピークビジネスソリューションズのエヴァンジェリストに就任、また新たに(株)Dサービス創業、(株)アマナ・アグリゲーターにも就任するなど、空地空間の活用などをベースに多岐にわたる活動を行っている。

 

そして公共R不動産から株式会社オープン・エー馬場正尊。さらに公共R不動産のメンバーがサポートに入りました。
今回参加された方はみなさん長浜市在住在勤の土地に詳しい縁の強い方たち。男女それぞれ20代から50代まで、地元Uターン組や市外出身で現在長浜市の地域活動に関わっている方、新たにビジネスをスタートしようとしている方などバラエティに富んだ顔ぶれが集まりました。

【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-
これから始まる2日間の説明に、みなさん真剣な面持ちです。

まず今回の取り組みをともに行う長浜市役所・長浜駅周辺まちなか活性化室の前島室長からの挨拶、事務局からのガイダンス説明のあと、オープン・エー馬場から「仕事と仲間のつくり方」のオープニング・レクチャーがありました。

馬場正尊レクチャー「仕事と仲間のつくり方」
【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-
馬場正尊による未来をワクワクさせるレクチャーからスタート!

これからの時代は「複数の仕事、収入とコミュニティーのバランスで楽しく生きる」ことが大切ではないか?と問いかけ、馬場が大学院生時代にフリーペーパーや建築雑誌を刊行した話から、メディアをつくることで、そこから事業がスタートした事例などを紹介。
現在は東京R不動産から派生した全国のR不動産、公共事業をリノベーションする公共R不動産、本の執筆、DIYをする人が使うツールをネット販売するToolboxなどさまざまな事業に関わる馬場。最初は小さく、利益を出そうとせずにスタートしてみること、得意分野が違う仲間を見つけ、お互い無理のない範囲で自腹を切って覚悟を決めて始めると長続きするといった秘訣も語りました。

【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-
まちが変化する具体実績の数々が会場を温めます。
まちの物件を見て歩いて調査・ブレインストーミング
【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-
各チーム積極的な意見が交換されました。

参加者は参加動機を元に3つのチームに分かれました。
チームAは「地域資源活用プランニングコース」。20代若手中心のこのチームをサポートするのは岡部さん。リサーチやプロジェクト提案の仕方などのアドバイスもみっちり行っていただきます。
チームBは「リノベーションプランニングコース」。社会的地位のある人たちが集まったこのチームをサポートするのは馬場と公共R不動産の梶田。
チームCは、「エリアリノベーションコース」。長浜をベースにすでに事業を行う30代の仲間で構成。こちらのサポートは加藤さん。
まずチームごとに集まって自己紹介し合い、その後、全員で対象エリアを歩き、候補物件を見学しました。

【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-
長浜ならでは、歴史ある街並の中に存在する候補物件を巡りました。参加者のモチベーションも上がります。
テーマに沿ってディスカッション&プランの中間報告

2日間でプロジェクトをかたちにするには、さまざまな角度から、まちの課題や自分たちの理想を重ねていく必要があります。夕方からの中間発表までに、それぞれのチームで課題を持ち寄り、検討を重ねていきました。

【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-
1日目はとにかくアイデアを出し尽くします。

若手中心のAチームは、事業計画を立てようと奮闘していましたが、その観点や方向性が最初はややぼんやりとしていました。けれども岡部講師が「そもそもどういう価値観でそれを提案しようとしているのか? あなたたちが惹かれたポイントはどこなのか?」と本質的な質問を投げかけてくれたことによって少しずつ明らかになっていくようでした。
ベテラン中心のBチームは、エリアの価値を高めるためのブレインストーミングを馬場のアシストを得ながら進め、骨子を固めていきました。
クリエイティブ職が多いCチームのメンバーは、会場内のフロアに車座になってイラストや紙、付箋紙などを使って構想を広げていました。加藤講師のアドバイスを受けながら発表に向けて準備を進めていきました。

夕方、最初のチームプレゼンテーションが行われました。各チームの持ち時間は10分。
各チームの発表に対する講師陣からの厳しい、けれども愛あるコメントがなされました。またそのコメントを元に、残された時間で各チームさらにプランをブラッシュアップしていきました。

【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-
短い準備時間にもかかわらず各チームから具体的なアイデアが発表されました。
加藤講師のレクチャー「まちの期待値を高める仕組みづくり」
【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-
都市計画家 加藤寛之さん。

夜、今まで数々のまちで賑わいを作り出してきた、都市計画家の加藤さんによるレクチャーがスタートしました。
テーマは「まちの期待値を高める仕組みづくり 〜まちの用をつくる〜」。もともと加藤さんは、ご自身のキャリアの初期に長浜のまちづくりにも関わった会社に入り、その後も「20年間まちづくりの仕事を這いつくばってやってきた」と話しました。

「まちで何か新しいチャレンジしている人が何人かいると、『自分もやってみようかな』と思う人が出てくる。地域に新しいチャレンジをする人たちを創出するために、自主的なまちづくり事業を三重県伊賀市、京都府丹波市、大阪府枚方市などで行ってきました」

「特に力を入れてきた事業が月に1回定期的に開催するマルシェ(野外マーケット)。継続的にマルシェを開催することにより、地域でユニークな活動をする人たち持続的発掘をすることができます。

地方には購買マーケットがないと言われています。でも、私が丹波で行っているマルシェには地元と近隣地域からの集客で1,500人が訪れる。丹波のまちの人口は2,000人にもかかわらずです。『本当はそんなこともない。実は集客力があるんだ』と運営者側に実感してもらうことで、それまで不定期出店・イベントスタイルでの営業で行ってきた方でも実店舗を持てるという自信を持ってもらうことができるし、そこへの道筋を開きやすくなります。開業前に顧客を先付けできることで、事業のリスクを減らすことができるというメリットもあります」

【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-
数々のマーケット開催を通して培われた論理的かつユニークなまちづくり手法。

現在は、大阪市阿倍野区あべのエリアをベースに、地元の商店や出店者を集めた「Buy Local」というマルシェと、路面電車の駅横の空き店舗群を使った「THE MARKET」という複合商業施設を運営している加藤さん。
実績豊富な上に加藤さんがすごいのは、マーケットをつくるだけでなく、ご自身もそこに出店していること。今も、「THE MARKET」の中のパン屋さんで、朝からパン職人になってパンを焼いています(!)。
他に、自宅の一室をAirbnbで貸し出しスーパーホストに選ばれた経験(※Airbnbでは部屋の貸主をホストと呼び、なかでも優れた人をスーパーホストとして認定している)を活かし、ビル一棟をリノベーションして作った「STAY Local」という宿の運営もしています。

「まちづくり」といえば、以前は行政が主体の都市空間づくりを指すことがほとんどでした。しかし時代とともに、まちに求められている価値そのものが変化しています。今は、まずハードの計画ありき、ではなく、人の賑わいをつくり出すための「魅力あるソフト」の方がまず求められているのです。
魅力的な人やイベントやショップなどのコンテンツがあり、それによってその場所に新しいマーケットが生まれ、その動きが都市空間へと波及していく――そんなボトムアップ型のまちづくりこそが大切です。
自分が持っているリソースをこの人に届けるんだと対象を絞りこむこと。「みんなのため」を最初に考えるのではなく、その中の10〜20%の顧客に届けることで、あるとき気づいたら全体に普及していた、という状態を生み出せるんです、と話してくださいました。

チームごとに引き続きプロジェクトをブラッシュアップ
【レポート】「ながはままちづくりCAMP」-前編-
夜を徹してのプロジェクトのブラッシュアップは続く。

レクチャー終了後、加藤さんのプレゼンを聞いて、がぜんやる気の増した参加者は、プロジェクトのさらなるブラッシュアップ作業へ。
2日目は朝から、講師岡部さんのレクチャー。夕方からは長浜市の一般の方々や対象地域の物件オーナーさんたちも聴衆としてお呼びして、各チームの最終成果発表が行われます。

後編へ続く

text by 西村祐子/photo by 長浜ローカルフォト(田中仁)