リノベーションスクールから始まる!【片桐賢久さんの場合】
2018年10月に山形市内で開催された「第2回リノベーションスクール山形」から8ヶ月が過ぎた。そのとき撒かれたタネがいま、様々な場所で新しい芽として顕在化しはじめているので、そのひとつをここでご紹介したい。
リノベーションスクールにおいて、片桐賢久さんは山形市七日町にある「工藤ビル4Fフロア」を対象物件としたユニットのメンバーだった。まさにその物件を、そのときのアイデアを元に、リノベーションに取り組んでいる。
「スクールに参加するからには今後の事業に繋げていこうと最初から意識していました」と言う片桐さんは、倉庫のようになっていたその場所を「シェアスタジオとカルチャースクールが融合した空間」へとコンバージョンすることを目論む。
「決め手になったのは3つあります。ひとつは、窓が大きく自然光がたくさん入るというこの物件の素晴らしさ。そして、リノベーションスクールのユニットマスターであった三浦丈典さんが、ご自身が東京でシェアスタジオを運営されている経験を踏まえながら『ここはいい!』と言ってくださったこと。さらには、長年このビルで自ら学習塾を経営されてきたオーナーである工藤さんと良い出会いができたことです」と語る。
シェア型の写真スタジオというのは、カメラマンを対象に撮影スペースを時間貸しするものだ。広々とした空間、たっぷりの自然光、そして文翔館や料亭や様々な商業施設からのアクセスも良好な七日町というロケーション。そうした好条件に加え、新たにキッチン設備も充実させる。ポートレイトからフード関連まで幅広い撮影ニーズに応えてくれそうだ。
また、自身でも写真を撮る片桐さんは「プロのカメラマンだけでなく、一般の方にこそスタジオを借りていただき、ご自分の家族やペットの写真をスタジオで撮影することを楽しんでもらいたいので、そのための準備もしているところです」と、さまざまな利用シーンの可能性を模索している。
「スタジオと融合するかたちで、さまざまなスクールも運営したいと考えています。築50年のこのビルのこの場所は、工藤さんが長年経営されてきた学習塾の教室や囲碁教室として使われていた『学びの場』だったという歴史がありますから、その物語を受け継ぎつつ、座学や料理、またヨガやアーユルヴェーダ、お花のワークショップやレッスンなどの学びの場を提供していきたいと思います」
「さらには、パーティなど、キッチンを使いながら自由に使ってもらうのもいいでしょう。こういうさまざまな使い方が浸透するまでには、少し時間がかかるのかもしれません。でも、リノベーションスクールのときの仲間も、ここの準備や改修の手伝いをしてくれましたし、オーナーの工藤さんから『いつか綺麗にしなくちゃいけない、と思っていたこの場所をこうして新たにしてくれて嬉しい』というお言葉をいただきましたし、そんなふうに関わる人たちに喜んでもらえることを、ゆっくり楽しみながらやっていこうと思います」
工藤ビルのリノベーションから、どんな新しい物語が生まれるのか。また後日、ご紹介したい。七日町のエリアリノベーションはますます広がっている。
(2019.6)