「山形はLAに似てる」
映画監督 林海象さん
「山形市を訪れたら、なにをしたらいい?」
「県外から友人が遊びにくるけど、どこを案内したらいいだろう? 山寺と蔵王温泉、その次は?」
そんな声から生まれた新シリーズ「山形でしたい5つのこと」。
各専門家のみなさんに、独自の視点で山形市を解剖していただき、オリジナルのToDoリストを作成していただきます。
第二回のゲストは、『私立探偵 濱マイク』シリーズでおなじみの映画監督で脚本家、東北芸術工科大学・映像学科教授の林海象さんです。
京都出身の林さんは、海外や東京を経て、現在は京都を拠点に活動されています。山形へ通い始めて今年で4年目。芸工大で教鞭をとるほか、2014年には、俳優・永瀬正敏さん主演の短編映画『GOOD YEAR(グッドイヤー)』『LIFE(ライフ)』などを山形で撮影しました。
映画的な視点からみた山形市とは? 行きつけの店、好きな景色など、林さんがおすすめする「山形でしたい5つのこと」をご紹介いただきました!
──今日はよろしくお願いします。
どうぞよろしく。
──この車は…?
移動映画館です。最初は小屋をつくって映画のシステムを運んで上映したら楽しそうって、軽い気持ちで始めたんですよね。そしたら、立派に仕上がって、学生と一緒に盛り上がっちゃったんですよ、もうこの小屋の中で上映したらいいんじゃない?って。
──どんな場所で上映会をしているのですか?
呼ばれたらどこでも行きますよ。山形県内では山形市の十日町商店街のお祭りに出展しました。秋田にも行ったことがあるし、今度は新潟の長岡市へ行くし、東京の表参道でも上映会をします。
これってただ映画を見せるためのシステムじゃないんですよね。子どもがすごく喜ぶし、見た人がニコニコしている風景がいいの。上映会をしていると、地元のおじいさんが「これなに?」なんて寄って来たりして、人とのコミュニケーションが生まれるのも楽しいんですよ。
──山形に通い始めて4年目ということで、山形市にどんな印象をお持ちですか?
昔ロサンゼルスに2年ほど住んでいたんですけど、山形はロサンゼルスに似てますね。
正確に言うと、ロサンゼルスにいた頃を思い出す瞬間が多い。好きな場所を目指して車を走らせているとき。土地が広くて視界がまっすぐ抜けるとき。自由にモノがつくれるとき。
この移動映画館だって、山形に「自由さ」があるから生まれたんですよね。材料があって、地元の若手家具屋さんが協力してくれて、作業スペースも大きな駐車場もあって。そういうところもロサンゼルスと似てる。東京だったら制約が多くて、こんなでかいモノをつくろうなんて考えもしなかったな(笑)。
山形はね、ぱっと見ただけでは良さがわからないんだけど、長くいることで味わい深くなってくる。地元の人から「山形にはなにもない」ってときどき聞くけど、ぼくから見ればここは隠された日本のパラダイスです。
──「味わい深い」という言葉、すごく共感します
ジワジワ〜っとくる場所ですよね。なんとなく「山形ってごはんがおいしい。景色がキレイ」って想像するけど、なにがうまいのか? どこがキレイなのか? って具体的に判断していると、自分なりの地図ができてきます。そうなると山形がグンとおもしろくなる。
いまから紹介するリストは、ぼくの山形の地図です。
これからどんどん拡大していくかもしれないけど、現状はこれで十分なほど気に入っています。
永瀬正敏さんをはじめとする『GOOD YEAR』や『LIFE』の俳優のみなさんも案内しているスポットばかりですよ。
【林海象さん プロフィール】
1957年 京都府生まれ。日本の映画監督、映画プロデューサー、脚本家。株式会社映像探偵社代表取締役社長。1986年、モノクロサイレント映画『夢見るように眠りたい』でデビュー。代表作は永瀬正敏主演の『私立探偵 濱マイク』シリーズほか。2014年、東北芸術工科大学・映像学科学科長就任。