第2回 ローカルラーニングツアー in 山形 レポート!
10月5〜7日の3日間、山形市にて「ローカルラーニングツアー in 山形」が開催されました。
2回目となる本ツアーは、写真を通じて地域のことを地域に学び、地域を発信しよう!というもの。カメラを持ってまちへ出て、山形らしさのルーツである「人」や「場所」を訪ねて回り、写真で伝える技術も学びます。
嬉しいことに、今回の参加者は第一回の内容を聞き参加を決めた人や、リピーターが約半数ほどを占めていました。横浜市から参加した女性は、山形の食文化や日常風景に魅せられて、再度参加を決めたといいます。
こうして大阪、横浜、東京などの県外からの参加者と地元の参加者とが混ざり合い、3日間のツアーがスタートしました。
前回から引き続き講師をつとめたのは、全国各地で写真活動「ローカルフォト」を展開する写真家のMOTOKOさん。
さらに今回のゲストとして、神奈川県真鶴市で泊まれる出版社「真鶴出版」を営む川口瞬さんもツアーの講師をつとめました。
ツアー前半では、MOTOKOさんと川口さんからそれぞれの活動紹介と情報発信についてのレクチャーがありました。お二人の話の共通点は、まちの主役は「人」であり、その写真を撮ることの重要性。まちへ取材に行くにあたり、大きな方向性を示してくれた気がします。
オリンパス株式会社の協力のもと、最新ミラーレス一眼カメラの使い方をやさしく教えてもらい、いざまちへ繰り出します!
グループに分かれて、十日町の老舗和菓子店「佐藤屋」本店と八日町の「男山酒造」を訪ねました。
佐藤屋は「のし梅」をはじめとする伝統的な和菓子のほか、チョコレートや洋菓子とコラボさせた新生の和菓子を次々と生み出す先進的な老舗和菓子屋です。
代表の佐藤さんに製造現場を案内していただき、お店の歴史についてお話をうかがいました。
職人さんの繊細な手作業から生まれる和菓子はまるで工芸品のようで、参加者のみなさんはそれを逃すまいとシャッターを切っていました。
「男山酒造」は創業200年を超える老舗の酒蔵です。試飲もしながら山形の自然の恵み、酒造りの工程や歴史について学んでいきました。参加者のみなさんは工場長の丹羽さんの話に引き込まれ、男山酒造のファンになった様子でした。
取材を通じて、カメラは人と人とを近づけるツールであることを再認識しました。
確かにスマートフォンでもきれいな写真は撮れる。だけどカメラを介することで、撮る方はファインダー越しにより真剣に物事を見つめ、その姿勢は撮られる側にも伝わり、被写体は自然と背筋が伸びていく。
参加者たちがシャッターを切り、写真におさめたローカルヒーローたちは、どこか誇らしげに見えました。「どこに行きたい」から「あの人に会いたい」へ。写真は人を観光資源にする、そんなチカラを秘めているような気がしました。
取材の後は講評会が行われました。参加者が各自お気に入りの一枚を発表し、それに対してMOTOKOさんと川口さんが一枚ずつ講評していきます。
そのコメントからは人の表情や角度、構図、色の入れ方、明るさなど、技術的な学びと自分でも気がつかなかった写真の持つ情報や魅力を知ることができます。
さらに、撮影者がこの写真を選んだ理由や撮影時のエピソードを発表することで様々な目線と感激などの1日の成果をみんなで共有することができる、かけがえのない時間です。
実は今回、まち歩き取材に加えてもうひとつ大きなミッションを抱えていました。それは、“日常的な山形”を継続的に発信するチームをつくること。
取材からなにを感じたか。写真を通じてどんなことが発信できるのか。どんな手段で発信したらいいのか。そんな情報発信チームの編成会議も行われました。
1日まちを歩いて見つけたことや感じたことを持ち寄り、グループに分かれて意見交換をしました。みんながひとつのエネルギー体となり、夜遅くまで頭をひねって真剣に話し合う姿がありました。
最終日には同時開催していた「リノベーションスクール」と合同で成果発表が行われました。
2日間にわたるディスカッションから生まれたキーワードは「心のリノベーション」。
まちを歩いて取材するなかで、「世代間交流」という山形の大きな魅力が浮かび上がってきました。古くから学び、新しいことを発信する姿勢や、世代を超えて刺激を与え合うコミュニケーションを「心のリノベーション」と名付けたのです。
「心のリノベーション」を象徴する場所が、七日町にある「郁文堂書店」。80代の店主・原田伸子さんと東北芸術工科大学の学生たちがリノベーションして共同運営する場所です。ここを拠点とした「郁文堂編集室」と名付けたチームが構想されました。
郁文堂に集まるみんなが編集者となり、山形の日常を写真におさめ、継続的に発信していきます。
一人では行きにくい場所でも仲間と一緒だったら行ける、話しかけられる。チームで動くことの楽しさや心強さを感じたからこそ生まれた「郁文堂編集室」の構想。これからどのように展開されていくのか楽しみです。
こうして3日間にわたるローカルラーニングツアーは無事に幕を閉じました。
ツアーを終えて、東北芸術工科大学の学生が「いかに普段自分がまちを歩いておらず、まちのことを知らなかったかを実感した」とコメントしていたのが印象的でした。「まち歩きって楽しい!」という根本的な気づきがあったようです。
県外からの参加者からは「ローカルなお店に入り、店主さんと話すことで山形と繋がりが生まれたようで、また山形に来たいという思いが芽生えた」とのコメントもありました。
写真を撮る方も、撮られる側も、写真を通じてまちが覚醒していく。そんな威力を感じたローカルラーニングツアー。
カメラを持ってみんなが仲良くなり、真剣に話し合い、そして笑顔がいっぱい溢れた2泊3日でした!
「第三回 ローカルラーニングツアー in 山形」は今年の12月2日(日)に開催予定です。詳細はリアルローカル山形で発表していきます。どうぞお楽しみに!