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ユネスコ認定の決め手は「多様性」

祝!創造都市ネットワーク加盟 市長インタビュー 前編

ユネスコ認定の決め手は「多様性」
佐藤孝弘 山形市長

2017年10月31日、山形市はユネスコ創造都市ネットワークへ映画分野での加盟が認定されました。

創造都市とは、文化芸術と産業経済との創造性に富んだ都市のことであり、文学・映画・音楽・クラフト・デザイン・メディアアート・食文化の7分野から、ユネスコによって世界で特色ある都市が認定されるものです。

リアルローカル山形は佐藤山形市長をお訪ねし、加盟認定までのプロセスやユネスコ本部を訪れたパリ出張の裏側、そして映像文化創造都市としての今後についてうかがいました。前編・後編に分けてお届けします。

(インタビュー:馬場正尊[東北芸術工科大学教授]・中島彩)


ユネスコ認定は「多様性」が決め手だった?

馬場・中島 創造都市ネットワークへの加盟認定、おめでとうございます。

市長 ありがとうございます。発表までは本当にドキドキしましたね。

中島 結果はどのように知ったのですか?

市長 発表日の22時半くらいまでは文化振興課で待っていたのですが、なかなか連絡がなくその日は帰宅しました。午前2時半ごろに発表されて、その直後に担当者よりメールをもらったのですが寝ていまして(笑)。朝起きてメールを見た瞬間に「おぉ!」とガッツポーズしました。

ユネスコ認定の決め手は「多様性」
パリで行われた創造都市国際交流シンポジウム

馬場 パリのユネスコ本部に出張されていましたよね。

市長 目的は2つありました。まずは直接本国へ行って創造都市ネットワークの考え方を確認すること。もうひとつは、「ジャパンウィーク」という日本の加盟都市がPRする期間があり、そこで山形市を知ってもらうこと。山形市は登録前だったのですが、鶴岡市(食文化)や浜松市(音楽)、金沢市(クラフト)や札幌市(メディアアート)など他の加盟都市と並んで、予備軍としてPRさせていただきました。

中島 現地ではユネスコの方とどんな話をされたのですか?

市長 山形市は「映画」の分野で申請していたのですが、映画以外の文化に深く興味を持ってもらいました。山形市には山形交響楽団、東北芸術工科大学、食文化、伝統工芸など創造都市の要素がいっぱいある。創造都市が掲げる7つの分野(※)のほとんどを山形市は持っているんですよ。そこをもっとアピールしてください、とアドバイスをいただきました。

(※)文学・映画・音楽・クラフト・デザイン・メディアアート・食文化の7分野

市長 つまり創造都市の概念とは、ひとつの分野だけが秀でていればOKではない。山形市の場合は、多様な文化活動に一本横串を通すのが「映画」であるという捉え方です。

そのアドバイスを受けて急遽当日にプレゼンの内容を変えました。映画に特化した内容で準備していたのですが、映画以外の文化資産や活動を多種多様に盛り込んでPRしたところ、それが功を奏しました。市民のみなさんの長年の文化活動をしっかりと評価いただけたということです。

ユネスコ認定の決め手は「多様性」

中島 山形市での文化活動といえば、たとえばどんなものが挙げられますか?

市長 山形交響楽団では最近『モーツァルト交響曲全集』を出して、非常に高く評価されています。一人の指揮者とひとつのオーケストラによるモーツァルト全曲は世界的にとても貴重だそうです。これは山形交響楽団が長年積み上げてきた成果ですね。

リノベーションまちづくり」では地域の古い物件をひとつずづ蘇らせて、シネマ通りを中心に旅篭町の方まで広がりをみせていますし、東北芸術工科大学もあり、山形ビエンナーレを実施しています。

ユネスコ認定の決め手は「多様性」
東北芸術工科大学

その他にも、山形市は30地域に分かれていて、地酒をつくったり伝承の祭りを続けていたり、コミュニティーセンターや有志の団体による地域ごとの文化活動がたくさんあります。

とにかく裾野が広いことが特徴で、それらの文化活動を市の事業ではなく、市民や地域の意思で行われているのがすごいところです。


山形国際ドキュメンタリー映画祭について

中島 「山形国際ドキュメンタリー映画祭2017」はいかがでしたか?

市長 全体的にみると、今回はボランティアスタッフや参加者に高校生のボランティアや若い人がたくさんいて、前回に比べて若返りが見えたことと、市民の参加が進んでいる印象でした。

中島 作品は見られましたか?

市長 クロージングで上映された『表現に力ありや「水俣」プロデューサー、語る』(井上実、片岡希 監督)はかなり引き込まれましたね。

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馬場正尊(左)・中島彩(中央)・佐藤孝弘 山形市長(右)

馬場 ドキュメンタリー映画祭は大きなホールから小さなカフェやスペースまで、街全体に映画の要素が溶け出していますよね。監督が普通に街をウロウロしていて、しかもお高くとまっていない気さくな人が多い印象です。本町に学生と一緒にドミトリーをつくったのですが、そこにふら〜っと監督が泊まりに来てくれたりして。

中島 映画祭期間中は監督とカフェで席が隣り合わせになったりして「この人はどんな作品を撮るんだろう」って、人から作品に入ることもありました。街全体が非日常な空間に感じます。

市長 全国から来るリピーターは、あの雰囲気を含めて映画祭を楽しんでいるのしょうね。

馬場 それを30年以上もずっと続けているのが山形市らしいなと思います。

市長 「支えよう」というマインドが山形市民にはあるんでしょうね。オーケストラも舞子さんも、他の街では消えつつあるものが、山形市にはまだ残っている。

馬場 山形交響楽団の『モーツァルト交響曲全集』も「蓄積」ですよね。この蓄積する力は山形市のひとつの特徴のような気がします。

市長 派手に一発打ち上げるよりも、地道に積み上げていき、ふと振り返ったときに資産になっているような。

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山形国際ドキュメンタリー映画祭2017

中島 わたしは今回は初参加だったのですが、映画祭の夜があんなに盛り上がるとは驚きでした。

市長 香味庵の賑わいはすごいですよね。そういえば、わたしの大学の弁論部の先輩が年間1000本見るほどの映画ファンで、神戸から来ていて、「すごく楽しかったから次回も来たい」と言っていました。やはり映画ファンにはかなりツボにはまるようです。

中島 映画ファンのみなさんの「語りたい」というモチベーションが映画祭を盛り上げているのだと感じました。

市長 そこがこの映画祭の良さでもあり、課題でもある。わたしの先輩のようなディープな映画ファン以外の人にも楽しんでほしい思いがあります。創造都市の認定をきっかけに、参加者の幅を広げていきたいですね。


≫ 市長の好きな映画や、今後の施策について。後編へ続きます

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