“これからの人”に、光を。/「タテマチ屋上映画祭」×「カナザワ映画祭」共同開催直前インタビュー!
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「屋上“上映”」はあっても、「屋上“映画祭”」は、未だかつて日本ではない、らしい。
そんな能書き抜きにしても、街中のど真ん中の屋上で、夜風にあたってお酒飲みながら、“ボヘラプ”鑑賞とか単純に、最高。
今回は7月12日(金)から3日間開催される新たな試み「タテマチ屋上映画祭」と、オフシャルパートナーであり、同時期に共同開催される「カナザワ映画祭」、それぞれの主催者に開催直前インタビューを敢行!
「タテマチストリート」という、金沢のポップ・ストリートと、ゴーイング・マイ・ウェイをひた走る「カナザワ映画祭」、一見すると異色に見える二者がタッグを組むに至った経緯とは?
「カナザワ映画祭」は2007年から金沢で開催されている映画祭で、過激なテーマと突き抜けた企画力、新たな才能を発掘する手腕が評判を呼び、今では「カナザワ映画祭」の名のままに、全国各地を行脚するまでに(例えば名古屋開催でも「カナザワ映画祭」)。
もはや「カナザワ映画祭」が、ひとつのジャンルとして扱われている感がある。(≫以前のrealloal紹介記事はこちらから)
–まず、お2人の出会いは?
細川さん(以下細川):僕は竪町商店街(タテマチストリート)の販売促進委員会の副委員長という役割をいただいているのですが、去年の11月に、今回屋上映画祭を開催する「タテマチパーキング(通称:タテパ)」を封鎖して、クラブをやったんです。
DJ機材とかスピーカーもちこんで、どんちゃんどんちゃん。これがことのほか良くて。タテパ使ってもっと面白いことできないかなと思っていたら、昨年末に共通の知人を介して小野寺さんを紹介してもらって。
小野寺さん(以下小野寺):カナザワ映画祭は市内のいろんな商店街を会場として開催してきましたが、タテマチストリートだけはやったことがないって話になって。しかも屋上映画祭って日本ではないから、やるなら新しいことやろうと。
−映画を屋上で見る魅力って何でしょう。
小野寺:やはり、非日常感の体験でしょうか。今の時代、家で簡単に映画が観れますけど、それとは別物の体験なんで。それに、映画って、一人で見るより大勢で見た方が絶対面白い。一人でみてても、おもしろさは増えない。なるべく、満員の方がいい。
あと、これは映画マニアとかの話ですけど、映画を見ることが“お勉強”のようになってる人がいる。チェックリスト潰しながら“数をこなす”、みたいな。でも、それって全然おもしろくない。映画って「体験」だと僕は思うから。そういうのと一線画したいというのもありますね。
細川:商店街で今年の5月に、夜に屋上バーベキューしたんですけど、これがすごく気持ちよかったんですよ。
金沢の街が夕陽で金色に輝いているように見えるマジックアワーをビール片手に見守りながら、日没とともにスクリーンで上映が始まる、という特別な体験をたくさんの方と共有したいと考えています。
−お2人とも80年代後半〜90年代の“タテマチ世代(※1)”ですよね?
(※1)…タテマチストリートが金沢のファッションストリートとして全盛期を迎えていた時期に中高生だった世代。
細川:高校生の頃とか、放課後毎日タテマチ寄ってました。服買ったり、可愛い子ナンパしたり…。学校からはすごく遠いんですけど、ちゃんと毎日通ってました(笑)。
小野寺:僕は昭和51年生まれなんで、小学生のときから自転車でタテマチをビューンと抜けて、かつてのシネマストリートによく通ってましたね。
−しかし、現在は駅前ビルなどに客足を取られ、かつてほどの盛況はみられなくなっています。
細川:タテマチって、もともとファッションストリートと言われていた頃から、紆余曲折あってコンセプトが何もないというか、定まっていないフワフワした時期が何年か続いていて。
それに、タテマチの物件は大バコが多くて、ツボ1〜2万の家賃だから、それが50坪となると家賃50万になるわけで。そうなると、こじんまりとお店をやりたい個人事業主には借りづらいですよね。結果、大手や単価の高い業種しか入れなくなった。
細川:そんな状況の中で、「もう一回、これからタテマチが進むべき方向を再定義し直そう」と、総勢100人くらいが集まってブランディング会議をしたんです。
改めて、振り返ってみたら「タテマチって昔から自分で起業したいって人が集まってきて“創業の地”として選んできた場所だな」って。そのパワーによって賑わいをつくってきた街なんですよね。
セレクトショップとかアパレルとかヘアサロンとか、そういうアーティスティックな感性を持っている人や、ものづくりをしているクラフトマンもいるので、「ART&CRAFT=(アーティストやクラフトマンを応援する街)」という言葉をテーマに据えて、次の10年のまちづくりをしていこうという方向性を皆で決めたんです。
細川:そんなときに小野寺さんに出会って。カナザワ映画祭は「期待の新人監督」をテーマに、これから映画界に殴り込みにいくぞっていう“これからの人”に光をずっと当ててきて、そういうメッセージがお互い重なるねって今回の共同開催に繋がります。
−「期待の新人」を観るおもしろさはどんなところでしょう。
小野寺:期待の新人監督シリーズは、メジャー映画のコピーではなく、自主映画ならではのことができているかが、一つの選考基準になっています。粗っぽさというか、歪みというのか、アンバランスなもの。
最近の自主映画はクオリティは高いのですが、綺麗にまとまり過ぎていてセミプロっぽいところが僕は面白く感じないです。
−今回のタテマチとの共同開催によって、グランプリに選ばれた監督には商店街から次回作の支援金200万の賞金が渡されるとか。
小野寺:日本って、映画館に入る興行収入は監督に還元されない仕組みなんですよ。だから、どれだけヒットしても、儲かるのは配給会社と劇場だけ。
細川:この話を初めて小野寺さんから聞いて何とか応援できないかなと。グランプリの監督には200万円渡すので、金沢で映画撮ってもらって、それを公開するつもり。それで儲かったお金は監督に還元したい。
そういう実績をつくって、またデビューをしたいという監督がカナザワ映画祭を目指してくれたらいい。そういう流れをつくりたいんです。
−よく商店街から200万を出す合意形成されましたね…
細川:商店街で「アーティストとクラフトマンを応援していこう」と会議で決めたからには、今回の賞金提供は商店街のリブランディングを内外に伝える意味でも非常に意義があるお金の使い方なんだと皆が納得してくれて。
「このお金で商店街のPRムービー撮って」とかじゃなく、200万を自分が撮りたい映画の制作費として付与されるって、他ではないのではないでしょうか。
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今はまだ名もなき「これからの人」に光を–−。
そんなメッセージの共鳴から企画された、色々異例ずくしの共同開催映画祭。タイムテーブルは住み分けされているので、日中は21世紀美術館でカナザワ映画祭を、夜はタテマチパーキングでタテマチ屋上映画祭というのもあり。
≫「タテマチ屋上映画祭」詳細についてはこちら。
ちなみに…『ボヘミアンラプソティ』が上映される7月13日は、映画のラストを飾る「ライブ・エイド」が開催された34年前の同日時&ほぼ同時刻!ママー!
あと、13日の「ダンボ」は子連れで行けそうなので楽しみ。
≫「カナザワ映画祭」詳細についてはこちら。
今年は過去最多である132本の応募作品の中から26作品を厳選し上映。粗削りの才能に刮目せよ!
会場 | 【タテマチ屋上映画祭】 タテマチパーキング屋上 【カナザワ映画祭】 金沢21世紀美術館 |
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期間 | 【タテマチ屋上映画祭】 2019年7月12日(金)〜14日(日) 【カナザワ映画祭】 2019年7月12日(金)〜15日(月祝) |
料金 | 「タテマチ屋上映画祭」のチケット料金はこちら 「カナザワ映画祭」のチケット料金はこちら。 |
URL | 【タテマチ屋上映画祭】 https://www.eiganokai.com/event/filmfes2019/tatemachi/ 【カナザワ映画祭】 |
主催 | 【タテマチ屋上映画祭】 主催:竪町商店街振興組合 オフィシャル・パートナー:一般社団法人 映画の会 【カナザワ映画祭】 主催:一般社団法人 映画の会 |