山形暮らしと〈アカオニ〉のデザイン
Meet Up in Tokyo イベントレポート
東北芸術工科大学への進学をきっかけに山形移住した「アカオニ」小板橋さんの話です。
先月の山形に続き、東京にて『リアルローカル山形』のミートアップイベントが開催されました。
ゲストは、山形から世界にデザインを発信する〈アカオニ〉代表の小板橋基希さん。群馬県出身で、東北芸術工科大学への進学をきっかけに山形へ移住しました。
今回は、小板橋さんの山形暮らし、地方でデザインすること、〈アカオニ〉の仕事スタイルについてご紹介いただきました。その一部ご紹介します。
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小板橋さんの山形暮らし
山形は山並みが美しい。家族や仲間と一緒に、夏はキャンプ、冬はスキーといった自然豊かな環境での遊びを楽しんでいる。
「山形に住み始めたとき、食文化の“奥深さ”に驚いた」と話す小板橋さん。どんどん焼き、玉こんにゃく、串に刺さったたこ焼き、芋煮、松の実のような味がするブナの実。バラエティに富んだ蕎麦やラーメン。野菜、牛肉、豚肉といった素材も豊か。「先日は事務所のランチ会で熊の肉で熊汁をつくって食べました」
現在の〈とんがりビル〉に事務所を移転してから、交流する人の数も幅もさらに広くなったという。それに加え、〈山形国際ドキュメンタリー映画祭〉と〈山形ビエンナーレ〉が毎年交代で開催され、それに派生したイベントが毎月のように行われている。
「いろんな人が遊びに来てくれるし、自然も歴史的文化ある。地方では文化的に物足りないかと思いきや、むしろイベントが多くて忙しいくらい。山形にもインプットする場がたくさんあるんですよ」
〈アカオニ〉の仕事スタイル
山形を超えて東北全域、さらに西は宮崎や高知まで日本全国から発注を受けている。取材や撮影では、船にのって海へ出たり、山や野畑に入ることも。ウェブサイト、ロゴ、パッケージ、印刷物、ブランディング全般など、仕事は多岐にわたる。
こちらはパッケージデザインの一例。単色・1種類のパッケージにマーカーで色をつける。一手間加えることで、たくさんの種類に対応できる仕組み。
農産物や食品のパッケージを手がけることも多い。季節になると、クライアントである農家から生産物が届くことも。「自分でつくったデザインが、おいしいものを引き連れてフィードバックとして帰ってくるのがうれしいですね」
パッケージのロゴ制作では地元の染色職人と、店舗デザインでは若手の左官屋など、職人と一緒に制作することもある。「専門的な提案やアイディアをもらえて勉強になりますし、これからも職人さんと仕事がしたいです」
個人経営のブランドやお店の場合は母体が小さく、商品単体で広告が打てるわけではない。ブランディングの際は限られた予算で複合的な宣伝力までを考える。ときには年単位で、時間をかけてじわじわとプロジェクトを進めることもあるという。
たとえパッケージ用に多く予算がとられていても、一番重要なのはパッケージか? もしかしたらネーミングも見直した方がいいのでは? というように、クライアントと一緒に課題と向き合って予算配分から見直すこともある。
「“おせっかい”になりすぎるのもよくない。一番大切なのはお客さんの気持ち。かっこいい、ださいという感情論で話はしません。お客さんが僕たちとの仕事を気持ちよく楽しんでいてくれるか、そこはいつも気にかけていますね」
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自然に近い山形暮らしと、クライアントと二人三脚で育む、シンプルでオーガニックな〈アカオニ〉の仕事スタイル。「今後山形に拠点をおきたい熱が高まった」と話す参加者も。山形で暮らすこと、働くことの魅力が詰まったトークショーでした。
イベントの後半は〈フクモリ〉のケータリングと共に懇親会が行われました。山形出身者の地元の話、今後の移住の話など、初対面の参加者同士も会話がはずみ「山形」を介して新しいつながりが生まれていました。
『リアルローカル山形』では、移住や山形暮らしにまつわるご質問を受け付けています。info@reallocal-y.jp までお気軽にお問い合わせください。