神宿る森を担ぎ花奪う、男たち
5月5日「じじぐれ祭」参加者募集
※終了しました。
山に囲まれ、冬は雪深い「美山地区」。
福井市中心部に比べて春の訪れは1ヶ月ほど遅く、さくら通りの桜が散った後、美山の桜は満開になります。
美山地区味見河内町では、春を祝う季節となる毎年5月5日に約1,000年以上続くと言われる奇祭「じじぐれ祭」が行なわれます。
なぜ、「奇祭」なのか。
まずはこの写真を見てください。
これは、ただの大木を運んでいるのではありません。
「じじぐれ祭」の立派なお神輿。
若木などを結って造られた全国でも珍しい「柴神輿」です。
「じじぐれ祭」は、早朝、山へ神輿に使う若木を採取しに行くことから始まります。神輿の土台となる「井桁(いげた)」に青杉葉で作った胴体を組み、四方をブナやシデの枝を差していき、ふさふさの山ができあがります。
さらに、ショウブ、コブシ、ヤマブキの花を差し、「より代(しろ)」を作り、中央に御神体として強く打ち込みます。
神主による祝詞の後、いよいよ町へ。神輿は、重さがかつて1t近くにもなったと言われ、若い男性の力が必要。(雨が降ると木々が水分を吸って異常な重さになるとか)
さらに、ただ担ぎ歩くのではなく、ねじったりまわしたりする、あばれ神輿が伝統です。汗だくになり、「千代、千代、千代の 花の都の 手に手をこめて、山それ、そ、わ、か」と御神歌を歌い叫びながら練り歩きます。
そして、クライマックス。
神輿を下ろし、中央に打ち込まれた御神体を奪い合い、境内の舞台へタッチダウンした男が、その年の幸福を授かると言われています。神輿に体をうずめ、花を激しくもみ合いながら奪い合う様は、もはやラグビーよりも格闘技に近いかも。
「野山の春の気配に心が奮い立つ」という意味をもつ、荒々しい「じじぐれ祭」。森から今の地へ「遷座」と呼ばれる神様のお引越しの儀式がはじまりとされていて、県の無形民俗文化財にも指定されています。
しかし、村の過疎化によって存続の危機に陥っており、毎年、祭りを盛り上げる県外からの若者サポーターを募集中。もちろん、男性も女性もOK!ぜひ、新しく芽吹いた命を体に受けながら、原始の山の息吹を感じてみませんか。