林海象さんの「山形でしたい5つのこと」
映画的な視点で、山形市を見てみよう
専門家のみなさんが独自の視点で山形市を大解剖!「山形でしたい5つのこと」として、オリジナルのToDoリストを作成していただくシリーズです。
二回目におたずねしたのは、東北芸術工科大学・映像学科教授の林海象さん。「山形はロサンゼルスに似てる」とうかがった前回に続き、今回は林さんがおすすめする「山形でしたい5つのこと」をご紹介します。
映画的な視点でみる山形市とは?
観光ブックには載らない、ニッチでディープな山形市の素顔。まちの魅力の再発見に、個性派な旅のプランにご活用ください。
1. ドライブしながら廃墟探し
林さん:これはぼくの職業病だけど(笑)、山形市は使われなくなって壊れた工場の跡地とか無人の住居が多くて、廃墟を見つけるのが楽しい。映画『GOOD YEAR』は、青田にある古い工場で撮ったし、『GOOD YEAR』の続編『LIFE』は、福島を舞台に設定しているけど、実景以外はすべて山形で撮影しました。
ほかにも市内にSFを撮るのに最適な古い場所があるんですよ。周りの住民の方も、持ち主が誰かわからないっていうくらい長く放置されているみたい。こういう場所は写真を撮るのも楽しいですよ。このまちには、まだまだいい廃墟がたくさんありそうです。
2. 〈SQUAT〉で“時代の本物”と出会う
服を買うなら十日町の〈SQUAT(スクワット)〉。全国的にも有名な古着屋で、ヨーロッパから直接買い付けた1900’s~1980’sのヴィンテージものや、個性派な服が揃っています。プライベートでも買いに行くんだけど、実は映画の衣装協力をお願いしてます。
店主の小野さんは買い付けで世界を飛び回っていて、かなりの目利き。だから〈SQUAT〉には各時代の本物が集まってる。「今回の映画はこんな設定で〜」って相談すると、ちょうどいい風合いのものが出てくるんだよね。小野さんは人柄がいいし、センスも抜群だし、東京の衣装さんより質が高いと思いますね。
【SQUAT】
山形県山形市十日町4丁目3−14
http://squat.shop-pro.jp/
3. ローカルな温泉で疲れを癒す
山形市ならローカルの温泉がいいね。山形にいるときは毎日温泉に入っていて、お気に入りの3箇所を回っています。まずは〈百目鬼温泉〉。温泉の成分が濃いうえに安くて、露天から見える田んぼの眺めも最高。隣接してる小さな産直もいい野菜が売っていて、いつもセットで行きますね。次は〈八百坊〉。大学から近いので、午前中に入って午後から授業します。
あとは、〈蔵王大露天風呂〉もいい。山形で蔵王の存在は大きいね。市街地からすぐ近くなのにあそこは別世界。自然に囲まれて硫黄の温泉に浸かっていると、仕事のことを全部忘れて「休んだ」っていう満足感が得られる。蔵王だったら、共同浴場もおすすめです。
【百目鬼温泉】
山形県山形市百目鬼42−1
【健康天然温泉 八百坊】
山形県山形市東青田5丁目1−1
http://www.happyakubou.com/index.html
【蔵王温泉大露天風呂】
山形県山形市蔵王温泉荒敷853−3
http://www.jupeer-zao.com/roten/
4. 西蔵王の雄大な自然に触れる
ぼくは雪が苦手なんだけど、西蔵王の雪景色は無条件に好きですね。『GOOD YEAR』のラストシーンは西蔵王で撮ったんだけど、広い土地に雪しかない。「神の美術だなぁ」って思います。山形って山だけど、ぼくから見れば荒野でもある。「絵」として抜群で、すごく映画の撮影に向く場所なんだよね。
いつか山形でアクション映画を撮りたいんですよ。山形は絶対にアクションに合うはず。夕日も泣けるくらいに美しいしね。羽黒山あたりをうまく使えばきっとおもしろいのが撮れると思います。
5)山形の「うまい日常」を食す
やはり地方ロケでは「食」が楽しみ。映画の撮影で俳優やスタッフを山形のいろんな店に連れていきますが、山形では基本的にどのお店に行ってもみなさん「おいしい」って言いますね。ぼく自身も山形で「まずいな〜」ってものを食べたことがない。それだけ山形は食のクオリティが高いってこと。その中でさらに厳選したお店を紹介します。