なまり色の空の下、魚と祭りと、土までやさしや-能登のまち「七尾」。
「能登に行くならどの時期がいいの?」とよく聞かれますが、筆者は「冬か夏」と答えます。
それぞれ全く異なる別の顔があるので、旅の目的に応じて、時期を選んでいただくのも良いですし、思い切ってどちらの時期にもお越しいただくと能登を満喫できることと思います。
ここでは、冬と夏、そして通年のおすすめの楽しみ方をご紹介。
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【冬-海の味覚の最盛期。】
能登・七尾の厳しい冬の空は、いつだって今にも雨が降り出しそうな、なまり色。だからこそこの時期、たまに青く澄み渡る空の青さを、人々は愛おしく見上げます。
駅から川を伝って歩くとすぐに海が臨める七尾は、町のあちらこちらに漁港が点在する港町。
いくつもある地元の魚屋さんではもちろん、スーパーでさえいつでも獲れたての魚が手に入るので、魚やお刺身を購入して、宿でお好みに調理して召し上がるのもおすすめです。
また、特に海の時化(しけ)が強まる冬にお越しの際は、お寿司屋さんをいくつか食べ歩き、自分好みのお店を見つけてみるのもおすすめ。七尾は寿司王国と呼ばれるほどお寿司屋さんが多く、都市部よりもずっと新鮮良質かつ比較的安価にお寿司を堪能できますよ。
【夏-能登のエネルギー「祭り」の最盛期】
”耐える”季節-冬を乗り越え、夏を迎えると、それまで人々が溜めてきたエネルギーが爆発します。能登のあちらこちらで、それぞれ特徴的な山車や様式に則った祭りが行われる季節の到来。
皮切りとなるのは、5月のGW(5/2~5/5)に七尾で行われる青柏祭(せいはくさい)。地元の人は愛着を込めて「でか山」と呼びます。
呼び名の通り、この祭りは高さ12m・重さ20tの巨大な山車「でか山」を、市内中曳き回します。3つの町がそれぞれ「でか山」を所有しており、競うかように軒先すれすれをでか山が駆け抜けていく光景は圧巻です。2016年には、ユネスコ無形文化遺産にも登録されました。
本格的に夏を迎える7・8月になると、さらに激しい祭りが次々に行われます。
「キリコ」と呼ばれる巨大な灯篭が特徴的な祭り、炎が燃え盛る火祭り、女性が主役の祭りなど様々なので、佐野邸を拠点に長期滞在をしながらいくつかの祭りを見て回るのも良いかもしれません。
危険な祭りが多いので、服装や参加のルールなどをあらかじめガイドブックなどでインプットしておけると安心です。
また、この季節は山や海、田畑などの原風景が最も美しさを増す季節でもあります。
豊かな能登の里山里海は、2011年に日本で初めて世界農業遺産に登録されており、自然だけでなく、祭りや産業、人々の暮らし文化などを含む”エコシステム”として評価されています。
マリンスポーツやマリンアクティビティ、グリーンツーリズムも盛んなので、自然に触れてリラックスしたい方は夏に訪れるのがオススメですよ。
【通年でディープな滞在をするコツ-路地を歩けば。】
普段、七尾で働いている筆者のまちの楽しみ方は、「路地」にあるお店をめぐること。市内中心部には、細い路地がいくつかあり、個性的なお店が立ち並びます。
特におすすめしたいのは、駅からもほど近い「銀座通り」。写真奥のうなぎ屋さんの先にも道が続いており、広い大通りへ抜けることが出来ます。
鮮魚店やうなぎ屋さん、個性的なマスターのいるバーや年季の入ったスナック、筆者いち押しのお寿司屋さんや焼き鳥さんなど、いつまでもハシゴしたくなるお店たちと、湿り気のある石畳の雰囲気が魅力です。
少し昔にタイムスリップしたような気分で、ほろ酔いな大人の夜はいかがでしょうか。
また、銀座通りの裏手になる駅前の大通りにも、小さな飲み屋街があります。ディープだからこそ地元民たちとの距離も近くなれるので、「どこから来たんけ~?」なんて会話もしばしば聞こえてきます。
「能登はやさしや土までも」-能登は土までもがやさしく感じられる土地である、という言葉が伝わる通り、ここに住む人達はいつでも皆様を温かくお迎えします。
ぜひ地元のディープなところまで一歩踏み込んでみてください。
きっと能登・七尾の滞在が、素敵な出逢いとトキメキに溢れたものになることと思います。