Salyuさんから届いたメッセージ「山形にはクリエィテイブな磁場がある」
まちとつくる音楽イベント「オトナルヤマガタ」をレポート
穏やかに晴れた日曜日、山形市七日町のいたるところで音楽が鳴り響いていました。
国の指定文化財「文翔館」をメイン会場として開催された音楽イベント「オトナルヤマガタ」。東北芸術工科大学のデザイン学部企画構想学科が主体となり、七日町と一体化して運営されています。
山形市の目抜き通りである七日町通りのいたるところで、同時多発的にライブやワークショップが開かれていました。音が人を惹きつけて、人が人を呼び込んで。偶然に通りかかる人も「なにをやっているのかな?」と足を止めて集まっていきます。
「まなび館」で開催されていた、まちなかマルシェ。ドライフラワーやリース、山形産のオーガニック野菜や食品、ベーグル、クラフト作品などが販売され、生演奏をバックミュージックに、お買い物を楽しむ姿がありました。
去年まで西川町の廃校で行われていた「月山青春音楽祭」を引き継いで、今回は七日町に会場をうつした「オトナルヤマガタ」。以前は運営にも携わっていたというお二人は「会場が町に移ったことで、ブラっと誰でも来られる親しみやすさが生まれました。前回よりも、子どもやお年寄りなど、お客さんの層が広がった印象ですね」と語っていました。
夕方にさしかかり、本イベントのメインステージ、国指定の重要文化財である議場ホールでは、小林武史さんとSalyuさんのライブが行われました。
小林武史さんがピアノの鍵盤をはじいた瞬間、クラシカルな建築とSalyuさんの歌声が溶け込み、議場ホールは瞬く間に異空間へ。
人間は一番オーガニックな楽器なのかもしれない…と、Salyuさんの歌声を前に思います。
どこまでも遠くへ飛んでいけそうな爽快感、胸の奥をしめつけられる切なさ、温かいジンジャーティを飲んでいるようなリラックスしたやさしい気持ち。「ハルフウェイ」「飽和」「エロティック」「Lighthouse」…など、Salyuさんの表情豊かな歌声をめぐりながら、感情を揺さぶられていきました。
小林武史さんの出身地は山形県新庄市。Salyuさんのご親族も山形が故郷とのことで、ここはお二人にとってのルーツの地。山形でのライブは今回が初めてで、印象に残るステージだとおっしゃっていました。
「山形は食文化が個性的で、芸工大をはじめとしたクリエイティブな磁場がある。勝つか、負けるかといった殺伐とした社会情勢の中、いま改めてクリエイティブの力を信じている」と語る小林武史さんとSalyuさん。お二人からのあたたかく力強いメッセージが、まっすぐ胸まで届きました。
町中で音が鳴り、音楽のチカラ、楽しさを肌で感じた一日。次回はどんな音が広がるのか、来年の開催も楽しみにしています。