【長野】100年を見つめる店主 松葉屋家具店7代目店主 / idobata 店主 滝澤善五郎さん
長野市・善光寺近くに、ひっそりとたたずむ家具の店「idobata」。店主・滝澤善五郎さんに話を聞きました。
使いこまれるほどに、丸みを帯びる木椅子や艶やかになる木机。時間と共に暮らしの痕跡が刻まれ、価値が増していく暮らしの道具たち。それらは家族の宝物になってゆくかもしれない。付いた傷もその家族の暮らしの証しであり、深みになるかもしれない。
しかし……、本当に100年先も、使われ続けているのだろうか?
そんな疑問を抱いた「松葉屋家具店」7代目店主・滝澤善五郎さんは、古い納屋を改装して新たなお店「idobata」を開き、自分の目で確かめてみることにした。使われなくなった古い暮らしの道具を蒐集し、手を加え、もう一度次なる人へと届けていく。
長野市大門町。観光客で賑わう善光寺中央通りから一本入った裏手に「idobata」はある。もともと土壁の納屋だった室内は、梁がそのまま露わになっており、空間全体は白く塗られている。奥の窓からは自然の光が差し込む。磨かれた棚、手入れされたアルミの箱、古い器などが静かに並んでいる。ひとつひとつのものが、改修されたこの空間の中でまた命を吹き込まれたかのように、真新しい姿を見せる。
「モノも、空間も、どんな風に使い続ければその価値を本当に活かし輝かせることができるのか」。善五郎さんはそう考え続け、ここに辿り着くまでには、実に20年以上の歳月を必要とした。
「この場がボロボロだった頃から、少しずつ直して、ようやく人に見せられるようになりました。モノの命の終わりはどこにあるのだろうか?とずっと考えていて。雨ざらしにされて朽ちていったり、ましてやゴミとして捨てられてしまったりするのも、そのモノの運命かもしれない。けれど、もう一度きちんと使えば、また新たな暮らしとともに価値を重ねていくことができるはず。こうして、手を加え、直すことで、モノの行く末がどうなるか、見てみたい」
また「松葉屋家具店」で扱うのは新品であるが、素材や製造工程にこだわり国産の広葉樹を使った一枚板のテーブルや学習机、椅子などを、「100年経っても使える家具」として販売している。
本当にいいと思えることを
「本当にいいなと思えるやり方を貫くというのは、そうそう簡単なことではないですよね。だからこそ、ぶれていないかちゃんと判断できるために、自分の価値観を見失わず持ち続けている必要があります。
そのためには、僕自身も、歳をとってもいろんなものを見て、細かな差異を感じとれるように常に心がけたいなと思っています」
「idobata」はモノや空間との関わり方を教えてくれる場所だ。ぜひ訪れてみてほしい。
名称 | 松葉屋家具店+くらし道具学研究所 / idobata |
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URL | http://www.matubaya-kagu.com |
住所 | 長野県長野市大門町45 |
営業時間 | 10:00〜18:00 |
定休日 | 水曜日 |
TEL | 0120-55-2346 |