【長野】叶えたい働き方を模索する場所 権堂パブリックスペースOPEN
長野駅と善光寺のほぼ中間に位置する権堂町。メイン通りとなる権堂アーケードには、個人商店をはじめ大型スーパー、日本最古級の木造建築の映画館などが軒を連ねています。私(くぼたかおり)が小さかったころ、両親が「街に行くよ」と連れて行ったのがこの権堂町でした。当時は映画館がいくつもあって、映画好きの父とともに観賞した思い出があります。
時を経て2011年、私を含む11の事業主が集まって複合施設「権堂パブリックスペースOPEN」を作りました。
OPENの敷地・建物はかつて呉服問屋の方の住居と2戸前(とまえ)の土蔵、納屋の4つの建物と、小さな広場からなります。この町に残る数少ない土蔵造りの建物であるにも関わらず壊される寸前で、偶然通りかかった株式会社MYROOMの倉石智典さん(空き家の仲介・リノベーションを専門に行う不動産業者)によって取り壊しを回避。そのころ私も倉石さんを通じて仕事場を探していた1人で、後にOPENとなるこの建物を紹介してもらいました。商店街を一歩入った途端に、でーーーんと現れた建物の存在感に瞬時に惹かれ、中に入ったときには「ここだ!」と決めていました。そして、扉を「開けた」ときに感じた閃きや興奮、想いから、「OPEN」という施設名称にしたのです。
発足当時、飲食店、オーダー専門のパティスリー、CDショップ、革職人の工房、グラフィック&WEBデザイナー、イラストレーター、編集者、ライター、脚本家、大学の准教授の11事業主が集まりました。これだけいろんな業種が集まっていると、たくさんのアイデアが生まれます。
例えば、長野市ではゴールデンウィーク中に道路を20〜30mもの花絵で街を彩る「善光寺花回廊」という催しがあります。この時には広場で花や香り、色などをテーマにした小さな市「OPENMARKET」を開きます。ほかにもメンバー同士の何気ないおしゃべりから実現したトークイベントやワークショップ、イベントなども開いてきました。
こう紹介していくと、OPENにいるメンバーはいつでも一緒に行動しているように見えますが、無理に1つになろうとせずにいることを大切にしています。ずっと同じメンバーで運営しようとも考えていません。何年か経てば、人生のステージが変わって当然。だからOPENでは5年を1区切りとし、そのタイミングで出ていく人を送り出すこともあれば、可能性を求めて新たに入る人も受け入れます。 OPENがこの先も続いたら「私は第1期メンバーです」なんて思い出話が生まれるかもしれない。まるでどこかのアイドルグループのようでしょ?
2017年から第2期を迎え、初夏には新たなメンバーによる試みがスタートする予定です。それぞれが叶えたい働き方を模索する場所―、それが『権堂パブリックスペースOPEN』です。いろんな業種の、さまざまな働き方を覗きにきてくださいね。