湘南には、「空家レンジャー」がいる

未来を救う世界を作り続ける創造革命家 加藤太一さん

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5人ではなく、取材日現在で130名位、日々増えている。そしてレンジャーはそれぞれが色名で呼び合う。もう全ての色は埋まっていると思いきや、「色って無限なのです」と、「ピンク」の加藤さんは言う。無限の色数と呼応して空家レンジャーは無限に増殖していくイメージを持っている。

空家レンジャーの面々 玄関横のボードに張られた写真は日々増えていく
空家レンジャーの面々 玄関横のボードに張られた写真は日々増えていく

主催する加藤太一さんの肩書きは創造革命家だ。逗子に移住後、以前このコラムで紹介した「浜の芸術祭」や「逗子クリエイターズ」という交流会の仕掛け人でもある。その加藤さんが始めたまたまた独創的な活動が「空家レンジャー」なのだ。

創造革命家 加藤太一さん 作業日に着用するツナギの色が彼のカラーを表している
創造革命家 加藤太一さん 作業日に着用するツナギの色が彼のカラーを表している

一言で言うと、それは「空き家再生」なのだろう。だが、加藤さんが始めたことは単なる再生にとどまらない。方法論というかその仕組みが独特で「DIYを軸に据えたコミュニティによる空き家再生活動」と言語化するとこんな感じだろうか。

「空家レンジャー」は、逗子の住宅街に潜む1軒の空き家の改修計画から始まった。目的は、シェアハウスづくり、地元の人だけではなく都心部からも数多くのレンジャーが参加する。月3〜4回程度の活動日には、大まかな改装計画をもとに、2〜3名程度にチームが分けられそれぞれの任務を与えられる。

取材日にしばらく作業の模様を見学させていただいた。

その日の作業内容が記載された黒板 作業ごとに担当チームに分かれる
その日の作業内容が記載された黒板 作業ごとに担当チームに分かれる

廊下の天井をアーチ型にするという任務を請け負った二人の女子はジクゾーという工作機械を使って合板を半円に切り抜く作業中、リビングに足湯が欲しいと言い出したレンジャーは床下を開けてそこに置く足湯用の浴槽のレベルをどう合わせるか検討中、キッチン天井下に海の家のような雰囲気の屋根とカウンターを作る若い男子レンジャー二人は加藤さんとプランの作戦会議中、階段の吹抜けに下駄箱を設置するためリンゴ箱を持ち上げて墨出し中の女子レンジャー、と各チームが本日のミッション完遂に向けて作業を続けていた。みんな真剣だ、しかし本気で楽しんでいる。

キッチン造作の打ち合わせ風景 海の家感の表現がテーマとか
キッチン造作の打ち合わせ風景 海の家感の表現がテーマとか

「何となくのイメージはあるけれどレンジャーと一緒に考えながら進めています。みんなプロではないので作り直しも少なくないけど結果的にこれが絆を深め、愛着につながっているのではないかと思います」と加藤さんは言う。

この日はじめて触ったというジクゾーで合板を半円に切り抜くレンジャー女子2名
この日はじめて触ったというジクゾーで合板を半円に切り抜くレンジャー女子2名

この日初めて来たという女性は、古い家を改装するというTV番組を見て以来、いつかやりたいと思っていたとレンジャーになった動機を話してくれた。

階段の吹抜けに下駄箱を設置作業中
階段の吹抜けに下駄箱を設置作業中

ところで未完成にもかかわらず、面白いことにこの改修作業に参加したレンジャーがシェアハウスの住人となるという現象が起きている。一人ではなく5室が募集活動も行わず満室となったのだ。自分が参加した改修物件に住みたいという動機はわからなくもないが果たしてそれだけの理由で逗子へ移住を決めるものだろうか。レンジャーを続ける内に逗子という街が好きになり、そしてこのコミュニティ自体をより理解することで、ここで暮らしたいと思うようになったのだろうか。

リビング床を抜いて作る「足湯」、試行錯誤を続ける男子レンジャー
リビング床を抜いて作る「足湯」、試行錯誤を続ける男子レンジャー

加藤さんはこの現象についての理由を説明してくれた。

「自分が改装する家に愛着がわいてくることのほかに、事前にこの活動を通して住人と交流していることで仲良くなって入りやすくなることがあると思います。おそらく、シェアハウスじゃなくても、その建物を改装していると、そこにいるメンバーで盛り上がって一緒に何か始めようという流れが起こる気がしています。」

「それに、DIYは共同作業になるので、世代問わず短時間でも仲良くなる傾向があると感じています。数多くのコミュニティを運営してきましたが、空家レンジャーはこれまでで一番仲が深まるスピードが速いです。」

そう、「空家レンジャー」は単に改修工事を行う集団にとどまらないソーシャルな拡張を予感させるコミュニティなのだ。

キッチンの完成イメージ図
キッチンの完成イメージ図

加藤さんの本職はエンジニアでメカ設計を行なっている。しかし学生時代に雑誌の企画でお部屋改造に応募しトップの賞を取ったこともあるという。「当時はインテリアの仕事に就きたかったのです、その夢は今も諦めていなくて40代になったら建築家になろうと決めています。少しフライング気味ですが、いつか空き家建築家と名乗りたい」と加藤さんは言う。「空き家建築家」の定義はまだ定まっていないが、その萌芽はきっと空き家レンジャーの中にあるに違いないと思う。

葉山の作業に参加したレンジャーたち
葉山の作業に参加したレンジャーたち

空家レンジャーの存在は少しずつ知られるようになっていて、最近では改修依頼も来るようになったという。もちろん依頼を引き受けるための仕組みが整っていないため業としては受けられない。しかしその中でも空家レンジャーとして取り組むべき案件には挑戦したいと考えている。「まだ公にできないけどこれから葉山町のある場所で何かが始まるかもしれませんよ」と加藤さんは楽しそうに話してくれた。

これから、レンジャーの技術に応じてバッチを用意し、ある水準を超えるとインストラクターになれる制度などを検討していると加藤さんは言う。DIYのスクールやワークショップの計画もあり加藤さんの構想は広がっていく一方だ。

「未来を救う世界を作っていく」と語る創造革命家は、「空家レンジャー」という全く新しいコミュニティを通じて、楽しみながら日本中の空き家を空き家でなくしてしまうかもしれない。

この記事をご覧になっている、あなたも、空家レンジャーに加わってみませんか?

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空家レンジャー

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創造革命家 加藤太一さん

https://reallocal.jp/430

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