神戸はどんな街を目指しているのですか?

神戸市 久元喜造市長 インタビュー

この度、神戸市長に、神戸が目指す街の姿についてインタビューすることができました。まず、神戸市が策定しているVISION2020(詳細はこちら)の話から始まりました。

−−神戸市は「VISION2020」のメインテーマを「若者に選ばれる街+誰もが活躍する街」とされました。その意図や背景についてお聞かせ願えますか。

久元喜造市長(写真右)に直接お話を聞いてきました。
久元喜造市長(写真右)に直接お話を聞いてきました。撮影=編集部

はじめに申し上げておきますが、「若者に選ばれる街」とは、若者だけに向けた言葉でありません。若者は夢を持ち、人生の選択肢についてたくさんの可能性を持っています。ですから若者に選ばれる街であれば、すべての年代の方々に選んでいただける街にもきっとなってくれるだろうという意図があります。

ご存知のように今現在も、就職のタイミングでかなり多くの若者が東京に吸い寄せられています。ただ、東京は家賃が高く、通勤電車も過密で生活は過酷です。もっと「人間らしい暮らし」がしたいと思っている人たちが数多くいらっしゃるのではないでしょうか。神戸はそういう方々にとっての選択肢になり得る街です。

神戸市が運営する、神戸の暮らしと働くを紹介するウェブサイト「KOBE live+work」
神戸市が運営する、神戸の暮らしと働くを紹介するウェブサイト「KOBE live+work」
「KOBE live+work」より、神戸市中央区北野の風景写真。住宅地背後にすぐ山がそびえる。撮影=藤田 育
「KOBE live+work」より、神戸市中央区北野の風景写真。住宅地背後にすぐ山がそびえる。撮影=藤田 育

選ばれるための入り口は旅行でしょう。もっとも神戸は実はインバウンド観光において遅れをとっている状況です。旅行でこの街に来て頂いても、この街には京都のような豊富な観光資源があるわけではありません。では何を目的に来てもらう街であるべきかというと、それは神戸の人の暮らしを体験してもらうことではないかと思っています。

神戸の人の家にステイするとか、地元の人が散歩する道を一緒に歩くとか、神戸の人と一緒に料理をつくって食べるとか、旅行者と住民が交流しながら街を楽しむイメージですね。

神戸には北野や旧居留地のような外国的な街、新開地や長田といった下町、須磨・垂水のような海沿いの街、北区や西区の農村地帯など多様な受け皿があります。例えば、神戸市北区の淡河(おうご)という農村地帯に、東京から30代はじめの若者が移り住んできました。彼は東京を出たくてしょうがなかったそうで、たまたま淡河に来て気に入って住みついたそうです。今では地域に密着しながら、新しい人を受け入れる活動をされています。

「KOBE live+work」より、神戸市垂水区塩屋の風景写真。神戸の海側では暮らしの中でこうした風景を見ることができる。撮影=片岡杏子
「KOBE live+work」より、神戸市垂水区塩屋の風景写真。神戸の海側では暮らしの中でこうした風景を見ることができる。撮影=片岡杏子

「神戸」という街は幸いにも神戸の先人が作り上げた良いブランドイメージがあると思います。また一方で阪神大震災時に街は破壊されたという記憶もありつつ、そうした苦難の時にも常に前を向いて街の人たちが街のブランドイメージをつないできた街です。

「KOBE live+work」より、神戸市北区の田園風景の写真。茅葺古民家が数多く残っている。撮影=片岡杏子
「KOBE live+work」より、神戸市北区の田園風景の写真。茅葺古民家が数多く残っている。撮影=片岡杏子

新しく来られた方も、古くからこの街にいらっしゃる方も、一緒になって神戸の多様な地域性を、そしてそこでできる暮らしを、改めてブランドイメージづくりを行い、伝えていく。それによって、観光から定住につなげられるようにしていきたいと考えています。

ナイトエコノミーを活性化する

そのような街に近づいていくためには、神戸をどう伸ばし、欠けている点をどのようにブラッシュアップしていかなければならないとお考えでしょうか?

神戸はご存知のように関西経済圏の中心都市ではありません。関西は大阪、九州は福岡、北海道は札幌などの中核都市に人が集まり、メディアなども集積しています。神戸はそうした意味では優位性を持っていません。では、我々はどうすべきかというと、独立した神戸の都市としての魅力を伸ばし、欠けている部分を補っていかなければならないと思っています。魅力を伸ばすという意味では、先ほども申し上げたように常に新しいブランドイメージを創造していかなければならないでしょう。

今年開港150年を迎えますが、この街は開港以来、常に海外から入ってくる新しいものに好奇心を抱き、自らをブラッシュアップしてきた。そういう進取の精神を常に持ち続けないといけないと思います。

「KOBE live+work」より、神戸市北中央区の夜景の写真。撮影=片岡杏子
「KOBE live+work」より、神戸市中央区の夜景の写真。撮影=片岡杏子

欠けている点で言いますと、例えば神戸は夜が寂しいと言われています。それが来訪者の方々が神戸に泊まらない理由かもしれません。魅力的なお店やレストランはたくさんあるのですが、概してお店が閉まるのが早いように思います。思い切って店も博物館も美術館も閉館時間を伸ばしてみるのも大事かもしれません。演劇やライブなどエンターテイメントを見た後、少し遅めの時間でもワインでも飲みながら美味しいご飯を食べることのできる場所を増やす、そうしたナイトエコノミーを活性化するのは我々の課題です。

民間と行政が一緒になってクリエイティブな街にしていく

そうした都市課題に対して神戸市では、民間の事業者に対して、「一緒にやりましょう」というスタンスなのでしょうか?それとも神戸市が先導して事業を実施していくというイメージなのでしょうか?

一緒にやりましょうというスタンスです。先日は海沿いの公園・メリケンパークをリニューアルしました。以前は寂しい感じでしたが、芝生広場をつくり、カフェをつくり、イベントを多々開催し、結果としてたくさんの方々が訪れるようになりました。三宮駅南の東遊園地でも芝生化を行い、ファーマーズマーケットなどを開催し、多くの皆さんに喜んで頂いているようです。

今年の5月初めには「078」という、ITを軸としたクロスジャンルのイベントの開催も新しい試みとして始まっています。これらはまだささやかな動きかもしれませんが、民間の方々と行政が一緒になってアイデアを出しながらクリエイティブな街にしていくための取り組みです。

神戸市中央区東遊園地で開催されているファーマーズマーケット。撮影=片岡杏子
神戸市中央区東遊園地で開催されているファーマーズマーケット。撮影=片岡杏子

500 KOBE ACCELERATOR」という、ITスタートアップの集積・育成を支援する取り組みも始めています。ぜひ数多くの方に神戸で起業して、事業を展開してもらいたい。そしてグローバルに活躍してもらいたいと思っています。今、グローバルに活躍する人は地球上に幾つかの拠点を持っているのが普通なので、神戸もその一つとして考えてもらう感じで良いと思っています。我々は優秀な人を囲い込もうとは思っておらず、外からどんどん入ってきてここでチャレンジしてもらってまた世界に羽ばたいていただきたいと思っています。

「神戸に行ったら何か新しいことが始まる」という雰囲気の街にしたいと考えています。多くのみなさんと神戸の新しいブランドづくりを行いたい。ぜひ我々と一緒にわくわくする街をつくりましょう。

「KOBE live+work」に掲載している写真より。神戸市兵庫区新開地の風景。 撮影=藤田 育
「KOBE live+work」に掲載している写真より。神戸市兵庫区新開地の風景。 撮影=藤田 育
URL

KOBE VISION2020

http://kobevision2020.org

KOBE live+work

http://kobeliveandwork.org

500 KOBE ACCELERATOR

http://jp.500kobe.com