ぼくたちがマルシェをやる理由
七日町「シネマ通りマルシェ」レポート
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7月15日、山形市の中心街・七日町シネマ通りにて第一回「シネマ通りマルシェ」が開催されました。
コーヒー、植物、パン、野菜、アクセサリー、食品など、山形県内から22のショップや農家、作家がシネマ通りに集合。
多くの人で通りが賑わい、「普段なかなか行けない郊外のお店の出店がうれしい」「久しぶりにシネマ通りと歩いた」との声がありました。
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リアルローカル山形では、本マルシェ実行委員のBOTAcoffee店主・佐藤英人さんを直撃。シネマ通りマルシェ運営の舞台裏についてうかがいました。
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──はじめてのマルシェを終えていかがでしたか?
佐藤さん:たくさんの方に来ていただけて安心しました。シネマ通りの賑やかな姿を見られたのは嬉しかったですね。
でも、実はいろいろ反省点もあるんです。マルシェをやるには、シネマ通り周辺の商店街やご近所に暮らす方々からの理解を得られないといけない。
ぼくはこのシネマ通りで〈BOTAcoffee〉をオープンして1年半が経ちましたが、まだまだ周りの人とコミュニケーション不足だったことに気づかされました。ぼくの準備不足でご指摘もいただきました。
だけど、1日を終えて最終的にはみなさんから「今日は賑やかでよかったね」と笑顔で言っていただけました。商店街のみなさんと対話できたことが一番の収穫だったかもしれません。
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──そもそもマルシェを企画した意図は?
自分自身が七日町で店をやっていて、魅力的な店舗がある街だと気づきました。だから、七日町やシネマ通りを知ってもらうきっかけをつくりたかったんです。
まずは、お客さんに対して。車社会の山形市では、きっかけがないと七日町には来ないんですよね。普段来ない人たちに七日町やシネマ通りを歩いてみてほしかった。
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もうひとつは、出店者のみなさんに対して。ゆくゆくは店舗を持ちたいと考えるプレーヤーの方々に、七日町のポテンシャルを感じてもらいたかった。「あ、七日町で店やるのっていいかもしれない」なんて、思ってもらえたらと。
──将来的に七日町の空き店舗解消にもつながるかもしれませんね
そうですね。マルシェは気軽に出店できるのが特徴です。店やブランドの認知拡大もできるし、お客さんと話すことでニーズを知ることもできるし、将来的な出店に活かしてもらえるのも出展者にとってのメリットです。
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──今回は学生さんも関わっていたんですよね
合計20名ほどの学生ボランティアスタッフがいて、すごく頼もしかったです。ストリートファニチャーをつくったのも学生たちです。
マルシェのプロジェクトメンバーに郁文堂の追沼くんと芳賀くんがいて、ふたりが中心となって学生チームをつくってくれました。彼らは芸工大(東北芸術工科大学)の学生ですが、山大(山形大学)にも声をかけて、それぞれ半分づつくらいのメンバー構成となりました。
ぼくも芸工大出身なのでわかるのですが、山形市では普段、芸工大と山大の学生同士が交わることがほぼないんです。今回は2校につながりが生まれたのがよかったです。学生同士も交流を楽しんでいたようです。
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──今日はシネマ通りが見違えるほど賑わっていましたね。エリアリノベーション(※)の観点で、このマルシェはどんな成果がありましたか?
いまシネマ通りのエリアリノベーションとして、主に〈とんがりビル〉〈郁文堂書店〉〈BOTAcoffee〉の3者それぞれが、独自の路線で活動しています。
今日は同日に「シネマ通りマルシェ」「とんがりマーケット」、郁文堂ではワークショップを開催していました。1店舗のチカラでは足りません。この「同時多発的」がポイントなんです。
「みんなで通りを盛り上げよう」と3者が意識することで、さらなる爆発力が生まれました。1日にしてこれだけ空間が変わることをみんなで証明できたのは、エリアリノベーションにとって大きな成果でした。
(※)エリアリノベーションとは、建物のリノベーションを超えて、点と点から、面へと広がるまちづくりのこと
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──今後のシネマ通りマルシェの展望は?
継続していくことが大切だと思ってます。
今回のマルシェで県や市からの補助金は入っていません。運営費用は出店料でカバーできたので、行政に頼らない自立したプロジェクトとして無事に成し遂げられました。引き続きこの運営体制で続けていきたいです。
今回は歩道だけを使いましたが、今後は車道を含めて公共空間を広く活用したいです。少しづつ出店数を増やして、ゆくゆくはシネマ通りから七日町全体に波及していきたいと思っています。
山形市外からも、もっとたくさんの人に遊びにきてもらいたいですね。
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マルシェは日常生活が少し楽しくなるスパイスのような存在。「リラックスしたこの豊かなまちの風景が、移住促進にもつながるかもしれません」と実行委員の方は話していました。
実行委員のみなさんの行動力、そして、まちへの熱い思いを感じた取材でした。
第二回の開催も楽しみです。詳細が決定次第、リアルローカル山形でお知らせします。