【長野】CRIF 寺久保尚哉さん&古後理栄さん 不動産のリノベから変える、長野市の暮らし
長野市内で新しく始まったプロジェクト「CRIF」。
中古物件の紹介からリノベーションまでをワンストップで行うことで、施主の手間を軽減するとともに、プロの手が入ったリノベーションで快適な居住空間を提供するというもの。
今回はそのプロジェクトに携わる人ってどんな人?ということで、リファーレ総合計画の寺久保尚哉さんとCREEKSの古後理栄さんのお話をうかがいました。
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リファーレ総合計画 寺久保尚哉さん
町並みと文化、人とともに歩む不動産
寺久保さんは長野県下諏訪町の出身。大学進学で東京に出て、大手建設会社に就職しました。現在は築45年の建物をリノベーションした複合施設「SHINKOJI」内で、まちなか再生事業や物件売買など不動産にまつわる会社を運営しています。
「起業するにあたっては、転勤で5年くらい勤務していたこともあり長野市に拠点を構えました。これ言うと笑われちゃうんですが、“県の匂い”ってあるんですよ。海外旅行から日本の空港に戻ると“日本の匂い”ってあるじゃないですか。いろんな地方に転勤して、僕は長野の匂いが好きだなって思ったんです」
2009年に長野市で「リファーレ総合計画」を起業した寺久保さん。そこに至るまでには、20年間勤めてきた建設会社時代に自分がやってきた仕事への振り返りがありました。
「僕がやっていたのは、大きな区画を買い新たな建物を造る開発の仕事。でも2000年をピークに人口が減り始めるなど、今まで自分が20年間やってきた流れでいいのだろうか?と思ってしまったんです。反省の意味を込めて、住宅は従来の町並みや地域の文化とともにあるべきじゃないかと考え出してしまったんです」
大手で大規模な開発をしていた寺久保さんがまず事業として行ったのは、“不動産にまつわる建物再生屋”。会社員時代に培った長野市の不動産のマーケット感覚があったことも、事業を行う上で役に立ったといいます。
「賃貸マンションをリノベーションしてお客さんに仲介したり、オーナーから相談を受けた古いホテルを改修して、別の運営会社への取次をしたり。借りたいという人に対して、貸せる状態に改修するといくらかかるという、費用対効果のバランスを考えてあげる仕事ですね」
寺久保さんは新しい土地や新しい人の輪に入っていくことにあまり躊躇がないそう。その性格(?)を活かして、NPO法人長野門前創造会議を仲間たちと立ち上げ、かつて赴任した金沢市と長野市を繋ぐことを目的とした、まち歩き小冊子『まちるん』を2007年に発行。「北陸新幹線で金沢ー東京が繋がったのですが、長野も通るんだよって言いたくて、金沢のNPOさんと協力して冊子を作り、相互PRしました」。
このNPOの活動は、現在では長野門前大学というかたちで、門前の歴史や文化と伝え、人々を繋ぐ役割を担っています。現在進行形の町をかたち作っていくのは、スクラップ&ビルドの開発だけではない。寺久保さんの活動にはそういった思いがあるのかもしれません。
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CREEKS 古後理栄さん
継続できる仕組みとして賑わいづくり
一級建築士の資格を持ち、コワーキングスペース「CREEKS」の代表取締役である古後さん。肩書を見るとバリバリのキャリアウーマンだけど、これまでの経緯は意外(?)なゆるさもあるようです。
「私は福岡県久留米市出身。大学院で千葉に移り、そのあと東京で就職。インテリア設計の大きな事務所に3年間いました。そのときは汐留の開発時期で大規模物件を担当。スケールも違うし、見積書も桁が違うのばっかりみていましたね(笑)」
その古後さんが長野市にやってきたのは、2005年。結婚がきっかけでした(現在1児の母)。
「長野に来たときは無職を満喫していました(笑)。建築の仕事は大変だったんです。でもこっちに知り合いがいなくて友達を作りたかった。そんなところに日和カフェのオープニングスタッフ募集の貼り紙を見つけて、こういうところで働ければ、おしゃれだしいいなーと応募したんです」
見積書の桁が違う建築の仕事から、カフェスタッフへ。その動機は友達作りとおしゃれな働き場所。古後さんの意外な一面です。日和カフェを運営していたのは、まちなみカントリープレスという地域情報誌などを発行する会社。当時はその会社が建物をコーディネートする事業を始めたところでした。
「カフェスタッフで履歴書を出したら、そちらをやってほしいと言われて。ちょうど広瀬さん(CREEKSの取締役。広瀬毅建築設計室)もその事業に関わっていました。会社には半年在籍しましたが、私はインテリア設計出身。どうせ建築のことをするなら、きちんと関わりたいと思い、広瀬毅建築設計室に移ったんです」
大変だと思って一度はやめた建築の仕事へ、自分の意志で戻ることになりました。この人生2度目の建築との関わりが、古後さんの現在の活動へと繋がっていきます。
「2009年に広瀬さんと私を含む7人のメンバーで古い工場を借りてリノベーション、シェアしました。それがカネマツです。でも自分たちの事務所を作るというよりは、あそこを賑やかな場所にしたいという思いで。みんな独立したてで若く、最初はイベントをいろいろ開催していました。でもそれぞれ本業が忙しく、継続していくことが難しくなったんです」
リノベーション、人が集まる場所、賑わう地域。古後さんの軸となるものがカネマツでの活動を通して見えてきました。
「そんなときに、(現在CREEKSのあるビルの)フロアが開くという話が早めに入ってきました。異業種や異世代のコラボレーションをサポートするコワーキングをやってみようと思い、CREEKSを始めたんです」
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異なった道を歩んできて、建物や場づくりを通じて長野市の活性化に携わってきた2人がたどり着いた、CRIFというプロジェクト。ぜひお楽しみに!
↓CRIFの事業についての記事はこちら
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