摩耶詣に行ってきました
山頂に馬?昆布?摩耶山の奇祭を初体験
俳句に「摩耶詣(まやもうで)」という春の季語(*)があるのをご存知でしょうか?
昨年まで東京に住んでいた私には、まったく馴染みのない言葉でした。
その「摩耶詣」が今年は3月25日に行われると聞き、摩耶山へ行ってきました。
* 季語:(伝統的な)俳句では1句に1語入れることに(概ね)なっている、季節をあらわす言葉。その言葉があるだけで、同じ情景や気分が皆に伝わる“パワーワード”(かつてそうだったもの)。あらかじめ決まっていて、「歳時記」に載っている。
「摩耶詣」とは、旧暦二月の初午の日に、馬を連れて摩耶山天上寺へ参詣する風習のこと。(※現在は3月に開催)
近隣の農家を中心に、かつては実に3000頭もの馬とそれ引き連れた人々が参詣し、馬の息災と一家の無事繁栄を祈念したといいます。
馬を連れた参拝客は、摩耶山に咲く菜の花を奉納し、馬を飾りつける「花かんざし」と「摩耶昆布」を拝領します。
人馬の息揃つて弾む 摩耶詣(伊丹三樹彦)
鞍につけて長々しさや摩耶昆布(松根東洋城)
馬を飼う農家が減少し、昭和期には途絶えていた「摩耶詣」ですが、平成5年に復活。近くの六甲山牧場から馬を借りて、この儀礼を再現しているそうです。
現在は摩耶山の春山開きの儀を兼ねて開催されており、修験者の方々による護摩供や、ポニーのショー(!)なども行われています。
上の写真、馬の鞍に昆布が垂れているのがわかるでしょうか?
これが、参詣した馬に授けられる「摩耶昆布」です。
なぜ山で昆布なのかというと、北前船(江戸時代の商船)が瀬戸内海を通る際、摩耶山に海産物を奉納する習わしがあり、そこで納められたものの中から、長寿の縁起物である昆布を参拝人におすそわけしたことに由来するそう。
現在、一般客には、山開きの式の最後に、駄菓子の「都こんぶ」が配られています。(筆者は時間の都合でもらいそびれてしまいました。)
ところで、季語の「摩耶詣」以外でも摩耶山と俳句は所縁が深く、有名な与謝蕪村の「菜の花や月は東に日は西に」は摩耶山を詠んだ句だとされています。
これをはじめ、境内にはなんと10もの句碑が建っています。
見物客の中にも、メモ帳片手のご婦人方が見受けられましたが、きっと俳句をやっている方に違いありません。
しっかりお参りさせていただきましたが、さて、良い句が出来るご利益があるでしょうか……。
「摩耶詣」の模様をレポートさせていただきました。いかがでしたでしょうか?
神戸中心部から1時間足らずで登ることができる摩耶山では、大人気の「マヤ遺跡ガイドウォーク」や、山上フリーマーケット「リュックサックマーケット」など、いろいろなイベントが常時開催されています。
俳句に興味がある方もそうでない方も、手書きイラストが楽しい「マヤ暦(ごよみ)」で予定をチェックの上、ぜひお出かけください。
*「マヤ暦」最新号のペーパーは神戸各所で入手できるほか、mayasan.jpからダウンロードも可能です。
URL | 摩耶山ポータルサイトmayasan.jp: |
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