山菜、キノコ、ロックンロール。 local musicians file 003 | 草階亮一(halos)
東京以外を拠点に活動する、全国各地の「リアルローカルなミュージシャン、リアルなローカル・ミュージシャン」を紹介するシリーズ。
第3弾は、秋田に暮らす、バンド「halos」のボーカリスト/ギタリスト草階亮一さん。
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「halos」の音楽を聴くと、子どもの頃に感じた「バンドってかっこいい!」というシンプルな気持ちを思い出す。
ドラム、ベース、エレキギター、キーボード、ヴォーカル。バンドの定番、王道といえるこの楽器編成が、いかに魅力的なものなのかを、再認識させてくれる。
「俺らはいまだに、その中高生のときの気持ちが、ずっと続いてるんですよ」
halosのヴォーカリスト/ギタリストで、作詞作曲を手がける草階亮一さんは、そう言って笑う。
18歳でアメリカに渡り、帰国後東京を経て20代前半で故郷の秋田に帰り、以来ずっと暮らしている。
halosの結成は2005年。前身バンドの時代も含めると20余年、音楽活動の拠点は秋田だ。
「アルバムをリリースするたびに、東京へもライブへ行くんですけど、もともと都会の風土が苦手でこっちに住んでやっているくらいで、行くとダメージがでかい(笑)
見たいと言ってくれている人たちがいるから、行きますけど、最近は特に『東京でやらなきゃいけない』ということに、はてなが付くようになっています」
バンドだけで生計を立てていくのが難しいのは、東京であっても変わらない。そう考えると、むしろ地方で活動することにはメリットがあると言う。
「高校から30代半ばまで払い続けてきたスタジオ代を計算してみたことがあるんですけど、800万くらいになるんですよ。建てれたな、と。
今は事務所兼スタジオを借りてますけど、家賃は月々の携帯電話代に毛が生えたくらい。しかもだいぶ郊外なので、夜中に窓を開けてドラム叩いても文句は来ないです。
籠もってしっかりリハーサルする場所を気軽に持てるのは、田舎の強みですね。
ただ、レコーディングは、キジの声とかセミの声をいかに騙しながら録音するか、工夫がいるんですけど(笑)」
バンド活動のほか、地元企業や商店街などの依頼で音楽制作も行っている。録音環境を持ち、制作コストが減ったことで、低予算のプロジェクトでも収益化できるようになった。
「こういう値段で、曲を書いてもらったり、演奏してもらえるんだ、とか、今まで知らなかったからやっていなかったところに、こんなことできますよと営業をかけて、開拓したりね。東京や他の都市より少ないのは確かですけど、昔よりは確実に増えてきていますね」
「県内には携帯の電波も届かないような田舎もあって、そういうところへ行ってもお客さんが来てくれて、喜んでくれたりする。
ロックバンドをやっているくらいですから、若い頃はむしろ地元・田舎に閉塞感を感じていたわけだけど、地方でそれなりに長くやってきて、今はそういうところの若い人たちにきっかけを届けたり、東北のアーティストで徒党を組んで何か『東北シーン』のようなものを示すのも、大事なのかなと思い始めてきています」
仕事以外の時間は、もっぱら愛犬を連れて山へ出向き、キノコや山菜を採り、岩魚などの川魚を釣って暮らす。
音楽でなくアウトドアの方で、雑誌や地元メディアの取材を受けることもある。
「何が仕事になるかわかりませんね。周りを見ても、あいつ何して食ってるんだろうというやつがいっぱいいる。俺もそう見えてると思うんだけど。
遊んでいても、ただ遊びはじめたくらいのことじゃ全然だめで、遊びまくってるくらいの方が、目に留まったり、何かになったりするのかなと思いますね」
2017年10月に発売となる6枚目のアルバム『MACARONI』は、「思いつく限りのふざけたアレンジを出し合って、ゲラゲラ笑いながら作った」という。
決して気楽ではない音楽稼業だが、地方で目一杯楽しみながら20年を走り続けてきた先輩の姿に、少し光明を見た気がした。
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URL | halos Official Website http://halos.cc |
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備考 | halos 6th Album『MACARONI』 |