材木座「STOVE」愛着を持つ暮らしを提案する店舗がオープン
2018年7月に鎌倉市材木座にオープンした「STOVE」。もともとは、オリジナルの家具や住居のリフォームの提案などを行う実店舗のない業態だったが、この度、オリジナル家具をはじめ、「愛着が湧き長く使える」というコンセプトで選ばれたプロダクトを、現行品、ヴィンテージを問わず紹介するショップが誕生した。
店主の石川さんが、鎌倉に引越してきたのは、7年前のこと。東京生まれの石川さんにとって、自然が豊かでのんびりした雰囲気のある鎌倉という地はとても魅力的だったという。そんな土地に住み始め、自分の店舗を持ちたいという気持ちも温めてきたが、なかなかいい物件に巡り会えなかったという。それでも、探し続けた結果、現在の建物に出会った。
もともとは、古い建具屋兼住居だったというこの建物。石川さんが借りる前は倉庫として使われており、しかも、建物は見るからに傾いていたという。しかし、駅から程よい距離がありつつ、材木座海岸へと続く道にあったこと。そして賃料が魅力的であったため、時間をかけてリノベーションが可能だと思ったことが決め手となった。「古いものを手直しして使い続けていくこと、愛着を持つことを大切にしたい」という石川さんの考えを存分に反映できる物件だったのだ。
物件を手に入れてからは、約2年半かけて、丁寧に手直しを行っていった。建物の減築から始まり、主な柱はそのままに。そして、天井は抜いてみてからの判断となったが、運良く状態が良かったので、すすを払ってそのまま生かした。入れ物の部分をしっかりと直してから、細かなパーツの部分までこだわって仕上げたという店内は、シンプルながら味わいのある柱が個性を出す、雰囲気ある空間となっている。
店内には、オリジナルの家具、アメリカで仕入れたヴィンテージ、手入れすれば100年は使えるというフライパンや、雑貨など、選び抜かれたプロダクトが並ぶ。空間として、建物と家具や小物とのマッチングも検討できるため、これから自宅をリフォームしたい。家具の新調やインテリアの相談をしたい。そんなニーズにも答えられる店舗となっている。
石川さんは、「STOVE」を始める前は、都内の家具店で働いていたのだが、実はイギリスやドイツで家具職人として修行していた時期があったという。ヨーロッパで作られる家具は、手直しできることが前提で、接着にもニカワなどを使うため、何度でも修理が可能なのだそうだ。実際、工場で働いていると、毎日のようにリペア依頼の古い家具が運び込まれてきたという。そうして、代々受け継がれる家具を見てきたため、日本でも、手直しして大切に使い続けていくという意識を広めていきたい、と自然に思うようになったのだそうだ。
日本の家具も、昔は手直しして長く使っていけるものだった。だが、現在では桐箪笥や建具などは修理することが難しかったり、修理してもとても高額になったりする。そんな背景もあって、現代の日本では大量生産、大量消費が一般的になってしまったが、これは家具に限った話ではない。建物もそうだし、小さな雑貨でもそうだろう。そんな状況は悲しいし、少しずつでも変えて行きたい、と石川さんは言う。
鎌倉には、しっかりと自分たちで手直しして、建物も、家具も長くいいものを使っていきたいという意識の人たちが多く集まる。そういうアンテナを持った人たちに、リフォームからインテリアまでトータルの提案ができれば、と石川さんは言う。少しずつ人々の意識が変わり、街並みを守ること、長く手入れして使うことがスタンダードになれば面白いですね、と話してくれた。
名称 | STOVE |
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URL | |
住所 | 神奈川県鎌倉市材木座一丁目6-24 |
TEL | 0467-67-7612 |
営業時間 | 11:00~19:00 |
定休日 | 水曜日 |
アクセス | JR横須賀線「鎌倉」駅より徒歩15分 |