ネパールから山形へ
〈カフェ・ヒマラヤ〉店主のプラさん
山形市七日町のネパール料理店〈カフェ・ヒマラヤ〉。
おいしいカレーとお酒が楽しめる、山形の小さなインターナショナル空間です。
〈カフェ・ヒマラヤ〉の名物店主であるプラさんが、最初に山形を訪れたのは17年前のこと。当時山形に住んでいたネパール人の遠い親戚を訪ねて、2ヶ月を山形で過ごしました。
山形の第一印象は、「涼しくて、静かで、過ごしやすいまち」。
9〜10月の気候がいい季節に滞在したこともあり、山形にとてもいい印象をもちました。まちなかに出て、日本語がわからないながらも、地元の人と飲みながらたくさん接したといいます。
滞在中に、後に奥さんとなる山形在住の女性と出会いました。
プラさんが帰国した後、山形とネパール間で6年にわたる遠距離恋愛を経て、結婚を機にプラさんが奥さんの地元である山形市へ移住することになりました。6年ぶりに山形へ戻ってこれて嬉しかったといいます。
最初はネパールとは真逆の気候に戸惑いました。「山形は秋が短くて一気に寒くなるのが驚きでした。冬はどんなに寒くても雪の中を黙々と歩いていて、山形の人は辛抱強い印象があります」
山形へ移住してから、最初の4年間は飲食店で働き、7年前の2010年8月にカフェ〈カフェ・ヒマラヤ〉をオープンしました。
オープンした初年度は大変でした。その年の冬は大雪が降り、まちに人は出てこない。
ようやく春になったと思った矢先に、地震と原発事故が起きました。停電になってまちから人が消えて、赤字が続きお店が潰れる覚悟もしていたそうです。
知り合いの外国人は「もうダメだ」と、何人も祖国に帰っていきました。しかし当時プラさんは、子どもが生まれてお店を持ったばかり。大変なときこそ、ここにいようと決めました。
「あの時ふんばってよかったなと思います。あそこで諦めていたら、いまの楽しい時間はなかったんですから」
山形に来て12年目。いまでは日本語を流暢に話し、すっかり「山形の人」になりました。
次第にこのまちの一長一短が見えてきたそうです。
「ウワサがすぐ回ります(笑)。お店をやっているせいか、人に顔を覚えられていて、まちを歩いているときはプライベート感があまりないですね」
この小さなコミュニティーが心地良いと感じることもあります。
「山形には人のつながりが見える安心感があります。お店とお客さん全体が、大きな親戚みたいな感覚です」
山形に住む外国人と地域との架け橋のような存在の〈カフェ・ヒマラヤ〉。
山形大学や短期大学の留学生、地元企業に勤める外国人、英語教師など、外国人も多く訪れます。
外国人が少ないこのまちで、おいしいカレーとインターナショナルな空気感が、彼らの心の拠り所になっているようです。
大学の先生に頼まれて、留学生向けのイベントを手伝ったり、韓国、中国、タイ、アフリカなど、留学生のアルバイトを雇うことも。
「ぼくも外国人なので留学生の気持ちはわかります。日本語が話せなくても、働く経験を積むことで、きっと山形での世界が広がるんじゃないかと思うんです」
カレーが看板メニューの〈カフェ・ヒマラヤ〉ですが、ネパール風のパスタ、焼きそば「チャオメン」、オムレツ、グラタンも人気です。
プラさんの祖父母がネパールで飲食店を経営しており、そのときに見て習っていたレシピが〈カフェ・ヒマラヤ〉の味を築いています。
プラさんの料理は油が控えめなのが特徴。豚肉、鶏肉など、素材から出る自然の油を生かしています。コクがありながら、さっぱりしていて、お腹いっぱい食べても、もたれません。
夜はバーとして、深夜12時までオープンしており、カウンターを中心に賑わいをみせます。カレーをお酒のつまみにする女性や、はたまた「シメカレー」として、飲んだ帰りにカレーを食べに立ち寄る人も。
店員もお客さんもフレンドリーで、知らないお客さん同士で話が盛り上がることもあるそう。「気楽に遊びに来てほしい」とプラさんは言います。
おいしいカレーはもちろんのこと、懐が深くて気さくなプラさんがこの店の揺るぎない魅力。人気のマンゴービールでも飲みながら、プラさんとお話してみてください。
屋号 | cafe HIMALAYA |
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URL | https://www.facebook.com/Cafe-Himalaya-Restaurant-and-Bar-224224374427975/ |
住所 | 山形市七日町1-2-42 |